機能不全に陥った家族の中で存在しないように扱われたり、自分から感情や気配を消していた子供のことをロストワンといいます。
兄弟姉妹の中でも末っ子に多いとされています。
しかし第一子である長女や長男でもロストワンというアダルトチルドレンはいます。特に珍しいことではないのです。
また機能不全家族で育っていなくとも「自分はロストワンではないか？」と思ってしまう人もいます。
私が相談を受けている感覚ですが女性にそのタイプが多いように思います。
なぜロストワンは第一子に少ないと考えられているか？
なぜロストワンは長女や長男に少ないのでしょうか？
それは機能不全家族においては親が役割を果たさないため最初に生まれた子供が代わりをやらざるを得ないからです。
家事をしたり両親の仲を取り持ったり愚痴を聞いたりとやることが多いのです。
そのため自分の存在を消すということが出来ないのです。
後から生まれてくる子の場合はすでに上の子が役割を果たしてくれているため何かする必要はないかもしれません。
しかし愛情を注がれることもないため早々に期待するのをやめてロストワンとなりやすいと考えられているのです。
長女がロストワンになるのはおかしなことではない
最初に生まれた子が様々な役割を果たすと説明しましたがこれはアダルトチルドレンという概念が生まれたアメリカの理論に基づくものです。
そのため日本の文化には当てはまり難いこともあります。
アメリカと日本を比べたときに子供の独立が早いのは後者です。
小さい頃から「個」として尊重されることも多いです。
そのため子供であっても大人の役割を担おうという気持ちになりやすい環境があるともいえます。
日本の機能不全家族においては最初に生まれた子供が様々な役割を担うという考えはアメリカほど強くは当てはまらないのかもしれません。
日本の子供の場合は親の代わりをしようというよりも、親の負担を増やさないようにしようとか目立つことをして怒らせないようにしようと考えるのです。
つまり親が役割を果たしてくれない家庭では長女かどうかに関係なく、何もしなければロストワンとなる素地があるということです。
長女がロストワンとなりやすい（又は感じやすい）環境
長女がロストワンとなりやすい（又は感じやすい）環境についていくつか列挙します。
中には本人の勘違いもあります。
下に弟が生まれた
それまでは普通に接していたのに下に弟が生まれたことで長女が無視されることがあります。
途中からロストワンになるパターンです。
ずっと男の子が欲しいと思っていたり、男の跡継ぎを産めというプレッシャー掛けられていたりするとこうなることがあります。
「母親が弟ばかり可愛がった」とか「父親が弟しか大学に行かせてくれなかった」という苦労をする長女もこのパターンが多いです。
片方の親からの無視でロストワンと感じる
ロストワンというのは両親から無視されている状態ですが片方から無視されることでそう感じることもあります。
例えば夫婦仲が悪いと相手に似ている子供に憎しみを抱くことがあります。
憎しみの表現方法が無視になることがあります。
母親と仲が悪いという女性に話を聞くと「私は父親似です」という人が多いです。
こういう家庭では父親も愛情を与えないか影が薄いため、母親から無視されるとロストワンのような気分になるのです。
母親似なのに無視される場合は嫌な部分やコンプレックスが子供に投影されている可能性が考えられます。
長女は母親からすると同士
機能不全ではなかったけれど他の兄弟姉妹と比べて放っておかれた気がするという人がいます。
これも長女に多いパターンですが親から嫌われていたからということではありません。
特に母親は「自分にできることは娘にもできるだろう」と無意識に期待していることが多いです。
女の子が家事を手伝っても当然のような顔をしているのに男の子が手伝うととても感謝する母親がいるのはこのためです。
男の子は何も出来ないと思っているのです。
（関連記事：娘に嫉妬する母親のコンプレックス）
生活面においてその傾向が強いため娘には手出しすることが少なくなるのです。
さらに長女は母親からすると同士のような感覚になりやすいため余計にそうなってしまうのです。
これが放っておかれたと勘違いしてしまう原因です。
上記以外にも長女がロストワンと感じる要因は複数あります。
アダルトチルドレンのタイプを考えるとき生まれた順番にとらわれ過ぎる必要はありません。
（※機能不全家族でなくとも下の子供が生まれたときに自分が無視されていると感じるのは自然な感覚です。）
＜ACのタイプ一覧＞
・スケープゴート（生け贄）
・プラケーター（慰め役）
・ピエロ／クラウン（道化役）
・ロストワン（失われた子供）
・ヒーロー（英雄）
・イネイブラー（世話役）
