セックスレス!夫が拒否するのはなぜ?科学的根拠に基づく理由

セックスレスになったとき、夫に「なぜしないの?」と聞いても正直な気持ちを教えてくれることは少ないです。

本音を伝えることで、妻を傷つけてしまうと考え「疲れているから」などと言って誤魔化すのです。

しかし、夫が拒否する理由として疲労が本当の理由であることは少ないです。

では、夫はどのような心理によってセックスレスに陥っているのでしょうか?

レスの相談を受けている中で分かったことと、研究によって判明している科学的根拠に基づく理由を説明します。

当カウンセリングルームでは、セックスレスのご相談をお受けしております。
対面(東京)でもオンラインや電話でも対応可能です。
  • 相手が応じてくれない
  • 自分の性欲がわかない
  • 相手にバレずにできる対策を知りたい
  • 夫婦・恋人間の仲を良くしたい
  • 話し合いをしたが解決しなかった
  • 産後、妊活中のレス
  • 2人目がほしいのにレス
最初から話し合いをしてしまうと、逆効果になりやすいので注意してください。

回避型の愛着スタイルを持っている

愛着スタイルとは、人間が他者とコミュニケーションをする際の「型」となるものです。

子供時代に親との関係によって形成されるものですが、大人になった後の対人関係にも影響します。

全体の約3~6割は安定した愛着スタイルを持っているとされますが、残りは不安定な愛着スタイルを持っています。

その不安定な愛着スタイルの中で、男性に多いのが「回避型の愛着スタイル」です。相手と親密になることを恐れ距離を置くのです。妻や彼女に対してもです。

このようなコミュニケーションの不全が親密な関係を築く障害となり、セックスレスにつながることがあります。

実際に、ジュネーヴ大学のニコラ・ファヴェズ教授らの研究によれば、回避型の男性はパートナーに対する性欲が低く、性交頻度も低い傾向にあることが分かっています。しかし、一人でする頻度は高いです。

参考文献
  • Favez, N., & Tissot, H. (2017).Attachment tendencies and sexual activities: The mediating role of representations of sex.

マドンナ・ホア・コンプレックスに陥っている

結婚するなら清楚な女性が良いけれど、セックスするならケバい女性のほうが興奮するという男性がいます。

このような心理を「マドンナ・ホア・コンプレックス(聖母か娼婦かの葛藤)」といいます。「愛する女性には欲望できず、欲情する女性は愛せない」という葛藤です。

「愛すべき女か、欲情すべき女か」という二分法で見てしまうのです。もっと下品な言い方をすれば「聖なる存在か、性なる存在か」ということです。

夫がこの心理を持っている場合、妻が聖なる存在となってしまい、性の対象として見られなくなることがあります。

100年以上前に、ジークムント・フロイトが提唱した古い理論ですし、セックスレスの文脈でこの話をするのは私くらいしかいないのですが、相談に来ている男性がこの状態になっていることは決して珍しくありません。

参考文献
  • Freud, S. (1912).On the universal tendency to debasement in the sphere of love.

テストステロン値の低下

夫の性欲そのものが加齢によって低下しているせいで、セックスレスになっていることもあります。

男性の性欲を高めるのは「テストステロン」という男性ホルモンです。テストステロンは体内で産生・分泌されますが、その量は年齢が上がるとともに減っていきます。

ニューイングランド研究所のヘンリー・ヘルドマン博士らが、1,000人以上の男性を約10年にわたり追跡調査したところ、中年期以降から毎年0.8%~1.6%ずつテストステロン値が低下していくことが分かっています。

また結婚をしている男性のほうが、独身の男性よりもテストステロンが減るスピードが早いことも分かっています。

参考文献
  • Feldman, H. A., Longcope, C., et al. (2002).Age trends in the level of serum testosterone and other hormones in middle-aged men: Longitudinal results from the Massachusetts Male Aging Study.

子供が欲しいから

矛盾するようですが「子供が欲しい」と思っている男性のほうが、セックスをしたいという欲求が低いことがあります。

ローマ・サピエンツァ大学のフィリッポ・ニンビ博士らが、298人の男性(平均年齢32.6歳)を対象にどのような要因が男性の性欲を低下させるのか調べたところ、エロティックな思考の欠如、恐怖心などとあわせ、子供がほしいという願望もマイナス要因であることが分かったのです。

これは子供ができることで責任が増えたり、生活習慣が変化することへの無意識の恐れが、妻とのセックスに対する拒否感につながっている可能性が考えられます。

夫も子供を欲しがっているのにセックスレスになっているという人は、将来の不安などがないかきちんと話し合ったほうが良いかもしれません。

参考文献
  • Nimbi, F. M., Tripodi, F., Rossi, R., & Simonelli, C. (2018).Expanding the analysis of psychosocial factors of sexual desire in men.

妻に他の男の子種が入る心配がなくなった

「妻に他の男の子種が入ることはない」と安心することも、セックスレスにつながることがあります。

オークランド大学のマイケル・N・ファムらの調査によると、妻が男友達と過ごす時間が長い夫ほど、妻とのセックスに対する欲求が強いことが分かっています。

これは夫の中に「妻が他の男の子供を妊娠するかもしれない」という心理が芽生えているからです。

妻が自分以外の男性と過ごす時間が長いということは、自分の精子が追い出されるリスクが高いということです。実際に浮気されるかどうかは別として、男性は無意識にそういったリスクを想定するのです。

そのリスクを下げるためには、常に自分の子種を送り込んでおく必要があります。そのためセックスへの欲求が高まるということです。

逆にそういった心配がないと、興奮しにくくなるともいえます。

参考文献
  • Pham, M. N., & Shackelford, T. K. (2013).The relationship between objective sperm competition risk and men’s copulatory interest is moderated by partner’s time spent with other men.

お金の心配で妻に欲情しない

ワシントン大学のラマー・ピアース教授らの調査によると、結婚後に妻に年収を抜かされた男性はバイアグラを使う可能性が高くなることが分かっています。

これは「男は稼いでナンボ」という心理が強すぎるため、妻より低年収になったことで自分の男性としての価値がなくなってしまったように感じ、それが性機能にも悪影響を与えてしまうためと考えられます。

また、常にお金の心配をしている男性は、セックスをするときでさえ頭の片隅に不安が浮かぶため楽しむことができません。

それがやがて、性欲低下につながりセックスレスを招くこともあります。

参考記事:妻の方が収入が多いと、夫のプライドが傷ついて離婚率は高まるのか?

参考文献
  • Pierce, L., Dahl, M. S., & Nielsen, J. (2013).In sickness and in wealth: Psychological and sexual costs of income comparison in marriage.

ゲームにハマって性欲が低下

セックスをすると、脳内の報酬系が活性化され興奮や快感を覚えます。

しかし、他の手軽な方法で報酬系を活性化することに慣れてしまうと、セックスに対する欲求が低下することがあります。

その代表的なものとしてゲームが挙げられます。

ローマ・サピエンツァ大学のアンドレア・サンソーネ准教授らが18〜50歳の男性396人を対象に行った研究によると、1日に1時間以上ゲームをする人は、しない人と比べて性欲が低いことが分かっています。

これは因果関係ではなく、あくまで相関関係ですが、脳が「ゲームから得られる快感で十分」という状態になっている可能性があるのです。

また、ゲームの刺激が強すぎて、それに慣れるとセックスの刺激に魅力を感じなくなってしまうこともあります。

ちなみに、相談に来ている女性からも「夫はスマホゲームにハマりまくってます」という話を非常に多く聞きます。余談ですがポケモン率が高いです。

ゲームに限らず、夫が何らかの気軽に快感を得られる方法を持っていることが、セックスレスの原因となっているケースは多いと思います。

参考文献
  • Sansone, A., Sansone, M., et al. (2017).Relationship Between Use of Videogames and Sexual Health in Adult Males

賢者タイムに求められて刷り込みが発生

男性がセックスで射精した後の急激に興奮が治まった状態を「賢者タイム」といいます。心身ともに疲れ果てグッタリとしている状態です。

この状態のときに妻から2回戦を求められたり、そうでなくとも愛撫や愛情表現を求められるとかなり疲れます。

そして、それが何度も繰り返されると夫の脳に「妻とのセックスは面倒なもの」という認識が刷り込まれ億劫になってしまうのです。

挿入自体は嫌でないけれど、その後のケアやシャワーを浴び直すのが面倒なのでセックスへのモチベーションが上がらないという心理の男性は少なくありません。

これに関しては紹介できる研究はありませんが、セックスレスの相談に来ている男性からよく聞く話です。

身体的なコンプレックスを抱えている

男性の体に対する自信と、セックスの頻度には相関があるといわれています。

つまり、身体的なコンプレックスを抱えていると、それがセックスレスにつながる可能性があるのです。

ブリティッシュコロンビア大学のシェリー・ラ・ロック博士らの調査でも、身体イメージが否定的な人ほど性行為を避ける傾向が強いことが分かっています。

自分の男性器に満足している男性は、4割ほどしかいないという調査もあります。妻から体型をイジられることが、コンプレックスを強めることもありますから、お腹をつまんでプヨプヨするのは控えたほうが良いかもしれません。

逆に妻からの声掛けで体に自信を持つと性欲が高まることも分かっています。詳しくは「旦那をその気にさせる方法が判明。この言葉でボディイメージを高めてあげろ」の記事を参考にしてください。

参考文献
  • La Rocque, C. L., & Cioe, J. (2011).An evaluation of the relationship between body image and sexual avoidance.

「有害な男らしさ」を求められている

「男はこうあるべき」という古臭い価値観を「有害な男らしさ(Toxic Masculinity)」といいます。

男はパワーがなければならない、お金を稼がなければならない、といった考え方が該当します。

このような有害な男らしさを求められることで、それを達成できていないときに劣等感を持ちやすくなります。

自分の男らしさが脅かされていることに対する不安を「PMB(Precarious Manhood Beliefs)」といいます。日本語になっていないのですが「不安定な男性らしさの信念」とでもいったところでしょうか。

「男性性の獲得は困難で失われやすく、社会的に認められてこそ男」といった考えが強い人はPMBが高いといえます。

チューリッヒ大学のアンドレアス・ワルサー博士らが500人以上の男性を対象に調査したところ、PMBとED(勃起障害)には相関があることが判明しています。

あなたは夫に「しっかりしてよ、男でしょ」などと言って余計なプレッシャーをかけていないでしょうか?

参考文献
  • Walther, A., Rice, T., & Eggenberger, L. (2023).Precarious manhood beliefs are positively associated with erectile dysfunction in cisgender men.

家事をやりすぎている

夫が家事をやりすぎていることが、セックスレスにつながることがあります。

社会学者サビーノ・コーンリッヒらの調査によると、食事の準備や皿洗い、掃除、洗濯などの家事をしている夫は、そうでない夫に比べて性交回数が少ないことが分かっています。

これに対し、女性の場合は平等に家事を分担して関係に満足している人のほうが、性欲が高まりやすいという研究があります。

この違いも有害な男らしさで説明できます。

「男が家事をするなんて女々しい」という価値観が心のどこかにあると、男らしさが失われた感覚となり、セックスへのモチベーションが下がるのです。

こうした価値観を持たない男性では、家事をしても性交頻度は落ちないことも分かっています。

参考文献
  • Kornrich, S., Brines, J., & Leupp, K. (2013).Egalitarianism, housework, and sexual frequency in marriage.

妊活がプレッシャーになっている

妊活中のタイミング法がプレッシャーとなり、セックスできないということもあります。

スケジュールを決めると楽しめないどころか、勃起しなくなることもあります。それがトラウマとなって余計に苦手意識を持ってしまうのです。

CHA江南医療センターのソン・スンフン医師らの調査によると、タイミング法を行っている男性は、妻の妊娠可能期間に、46.2%が心的ストレスが高まり、42%が勃起機能が弱まる傾向にあることが分かっています。

参考文献
  • Song, S.-H., Kim, D. S., et al. (2016).Sexual function and stress level of male partners of infertile couples during the fertile period

性的過少バイアスが生じている

夫が拒否しているわけではないけれど、誘ってくることもないというパターンもあると思います。

この場合には、「妻はそれほどセックスをしたがっていないだろう」という勘違いをしている可能性もあります。

通常、男性は「相手はセックスしたいはずだ」とプラスに勘違いする傾向を持っています。これを性的過大バイアスといいます。

しかし、結婚をすると「妻はセックスしたくないはずだ」というマイナスの勘違いをする傾向に変わりやすいのです。こちらは性的過少バイアスといいます。

詳しくは「自分から誘うのをやめた夫は「性的過少知覚バイアス」が強まっている」の記事を参考にしてください。

このような心理によって誘っていない可能があります。

妻に性的な魅力を感じなくなった

なぜ、夫が拒否するのかという理由を説明してきましたが、疾患などがない場合に、夫がセックスを拒否する理由として多いのは結局のところ「妻に性的な魅力を感じなくなってしまった」というものです。

求められなくなったことで愛情がなくなったと勘違いしてしまう女性もいますが、結婚したらセックスレスに向かうのが自然な流れなのです。

魅力を感じなくなる原因としては、新鮮さや危機感が失われることが考えられます。

オルブライト大学のスーザン・M・ヒューズ博士らの実験でも男性が女性に新鮮さを求めることが分かっています。

妻といつも一緒にいて同じようなセックスをしていると、新鮮さが失われてしまい魅力を感じなくなります。

また、結婚によって性欲を司る男性ホルモンの分泌が減少するのも理由と考えられます。

しかし、夫側の拒否によるレスであっても解決できないわけではありませんから、辛いでしょうが自信を失わないでください。

愛情によるセックスに移行しなければならないことと、愛情がないことは別なのです。

それと夫に「なぜしないの?」と聞くこと自体がセックスレスを悪化させる原因となることもありますから、気をつけてください。

参考文献
  • Hughes, S. M., Aung, T., et al. (2021).Experimental evidence for sex differences in sexual variety preferences: Support for the Coolidge effect in humans.