セックスレスの改善の見込みがないときに、浮気の公認を考える夫婦もいます。この相談はけっこう多いです。
浮気公認のメリットは大きく分けて二つあります。
一つは欲求不満が解消されることです。そして、もう一つは嫉妬心が芽生えて性的欲求が復活し、レスが解消することです。
相談に来ている人の中でも、これらのメリットを享受している人はいます。
ということで、今回は「浮気を公認したら夫婦に何が起こるのか」ということを調査などを交えて説明したいと思います。
合意に基づく非一夫一婦制(ノンモノガミー)
特定の1人とだけ恋愛や性的関係を結ぶことを「モノガミー(Monogamy)」といいます。
世界の主権国家は約200ありますが、約150ヵ国が一夫一婦制ですから、ほとんどの国はモノガミーです。
しかし、これを国ではなく文化圏で分類して計算すると逆になります。
文化人類学などで用いられる、「Standard Cross-Cultural Sample」という世界の文化・社会を比較するための標準サンプルでは、186社会のうち153社会が非一夫一婦制(ノンモノガミー)という調査結果もあります。
つまり、人間という動物がモノガミーに向いているのか、ノンモノガミーに向いているのかは、確定できないということです。
そして、一夫一婦制の国に住む人たちも「果たしてこのスタイルが合っているものなのか?」という考えを持ち、ノンモノガミーを実践する人たちもいます。
つまり夫婦の双方が浮気を公認し、他の相手ともセックスをするということです。
このような形態を「Consensual nonmonogamy」といいます。「合意に基づく非一夫一婦制」という意味です。
浮気を公認(ノンモノガミーへ移行)した233組の夫婦の調査
浮気を公認し、ノンモノガミーに移行するとどうなるのかを調べたユタ大学のアネリース・マーフィーらの調査があります。
この調査では、これからノンモノガミーを開始しようと検討している夫婦を、2ヵ月にわたり追跡しました。
対象となったのは233組の夫婦ですが、このうちの155組が調査期間中にノンモノガミーを開始しました。
その結果なにか変わったのでしょうか?
本妻との関係の質は変化ナシ
この調査では、本妻との関係の質、つまり夫婦関係にどれくらい満足しているかをノンモノガミーに移行する前と後で計測しています。
その結果、関係の質の変化はありませんでした。良くも悪くもならなかったのです。
これは、ノンモノガミーを検討する夫婦は、何でも話し合い、双方の願望を尊重できる関係の良さがあるため、それ以上は質が改善されなかったためと考えられます。
また、相手に対する興味を失っているほどに関係が悪化している夫婦では、そもそも嫉妬心さえ芽生えないため、それ以上に低下することもなかったということもあり得ます。
もちろん、関係の質が変化するまでには時間が掛かりますから、2ヵ月という短い調査期間では変化が表れなかっただけという可能性もあります。
性的満足度は上昇した
性的満足度については、ノンモノガミーを開始した人たちは上昇していました。
これは新たな相手とのセックスによって、新鮮な体験や刺激が増えたことが大きな要因といえます。
ノンモノガミーを開始しなかった人たちは、性的満足度が低下していました。
これはノンモノガミーを検討する人々は性的満足度が低下している途中にいる可能性が高いため、その状態が継続することで余計に悪化したことが原因と考えられます。
ただし、ここでいう性的満足は、本人が性生活に満足しているかどうかを調べたものです、そのため、本妻と浮気相手それぞれに対する満足度は分かっていません。
ノンモノガミーを開始する理由が重要
ノンモノガミーを開始した全員の性的満足度が高まったわけではありませんでした。
ポイントは「なぜノンモノガミーに移行するのか?」という理由でした。
本妻との性欲の不一致や性的嗜好がズレているという理由で、移行した人たちの性的満足度は高まっていました。これは本妻で満たせない性的ニーズが他の相手で満たせるようになったことが要因といえます。
一方で、「一夫一婦制は自分にとって自然ではない」 「非一夫一婦制は自分のアイデンティティの一部である」といった内発的動機によって、ノンモノガミーに移行した人たちの性的満足度に変化はありませんでした。
これは、最初から性的ニーズを満たすことを目標にしていないことが要因です。自分らしさや、価値観に合うライフスタイルを実現することを目的にしていたからです。
ただし、この内発的動機によって、ノンモノガミーに移行した人の「人生に対する満足度」に変化はありませんでした。期間が短かったことや、恋愛や性交だけでは人生の満足度に影響しなかったことが要因と考えられます。
つまり内発的理由は「自分に合った関係のスタイル」を選ぶ理由にはなっても、短期間で人生全体の満足を変化させるほど強い要因ではなかったということです。
本妻の浮気が夫の性的興奮につながるメカニズム
ここまでは、浮気公認で欲求不満が解消されるメリットについてでした。
ここからはレスが解消するメリットについて説明したいと思います。
なぜ男性器はあの形状なのか?
少し話題が変わりますが、男性器の形状を思い出してみてください。
陰茎(棒)の先に亀頭が傘のように被さって、段差ができていますね。この段差が何のためにあるかというと、他の男性の精子を掻き出すためという説があります。
心理学者のゴードン・ギャラップ博士らが、男性器と女性器の模型を使って検証したところ、本当に掻き出せることが分かっています。
しかも、奥まで入れるほどに掻き出せる量が増えるのです。75%まで挿入したときより、100%挿入したときのほうが量が多いのです。
逆に50%以下しか挿入しないと掻き出すことはできません。
動物のオスにとって、遺伝的つながりのない子孫にリソースを割くことは大きな損失となります。そのため、パートナーのメスの膣内に他のオスの精子が存在しないようにします。
なので、浮気の疑いがあるときは深く挿入し、それを掻き出そうとします。
浮気後のセックスは深く速くなる
さきほどのギャラップ博士らが、浮気とセックスについて行った調査があります。
300人の男女を対象に、パートナーの浮気が発覚した後にセックスをしたかと、そのとき何か変化があったかを聞き取ったものです。
それによると、浮気後にセックスをした人の半数が、違いを感じたと答えています。
具体的には、より深く挿入し、ピストンのスピードも速くなっていたのです。やはり浮気は男性の危機感を煽り、セックスの方法を変えるということです。
実際に浮気をされなくとも、その疑いを持つだけでもセックスは変化します。
今回の調査では久々に会ったカップルも、いつもより奥まで挿入することが分かっているのです。
カップルの会えない期間が長くなることは、それだけ浮気のリスクが高まるということなので、無意識に「他の精子が入っているのでは」と疑ってしまうということです。
これが本妻の浮気が夫の性的興奮を喚起するメカニズムです。「他のオスの精子を掻き出さなければ=セックスしたい」になるということです。
浮気公認がレスの解消につながることもあるが…
以上の説明からお分かりの通り、妻の浮気は夫の性的興奮を高めます。
レス解消やマンネリ防止のために、NTR(寝取られ)プレイを取り入れている夫婦もいます。
実際に相談に来ている人たちも、浮気を公認したことで興奮がよみがえり、レスが解消されたという人たちはいます。
浮気公認の注意点
しかし、注意しなければならないこともあります。まず、女性ではこの効果が起こる人は少ないです。夫が他の女性とセックスしたからといって、夫に対する性的欲求が復活する可能性は低いのです。
男性の場合はさきほど説明したメカニズムで、復活することがあります。しかも、浮気を公認したときはそういった効果は期待せず、お互いに外で済ませましょうという冷めた動機だったにも関わらず、妻が他の男性とセックスしたと知った途端に急にスイッチが入ったりするのです。
ただし、この効果も一時的であることがあります。しかも、この手のシチュエーションに興奮する男性は公認したときより、していないときのほうがより強く性欲が喚起されます。
また、夫婦の双方がノンモノガミーに賛成していても、実際に行動に移した後で罪悪感や後悔に苛まれることもあります。病気や妊娠のリスクもあります。こうしたネガティブな要素を十分に検証してから実行しましょう。
「単独さん」はまともな人がいない
それと、プレイの一環として一度だけ寝取られをしてみようと考えている夫婦も気をつけてください。相手探しはかなり難しいです。
妻を寝取る男性のことを「単独さん」などといいます。単独さんを募集するサイトなどもあります。しかし、まともな人は滅多にいません。
実際に相談に来ている人の話を聞いたこともありますが、平均レベル以上の単独さんに会えたという人たちは少ないです。
しかも、送ってこられるメッセージを見せてもらうこともあるのですが、みんな同じようなメッセージを送っています。
「清潔感あります」「顔は悪くないといわれます」「アソコのサイズ・テクニックに自信あります」「気に入られてリピートされます」
と、モテないオーラ全開のメッセージが並んでいました。「単独さん」の時点でお察しではありますが…
単独さんよりは、カップルで募集している人たちのほうが、まともな人と出会える可能性は高いです。少なくとも1人のパートナーは得ているわけですから、「イイネ」が1票入っているということです。
浮気の公認は慎重に行ってください。
- Murdock, G. P., & White, D. R. (1969).Standard cross-cultural sample.
- Murphy, A. P., Joel, S., & Muise, A. (2020).A prospective investigation of the decision to open up a romantic relationship.
- Gallup, G. G., Jr., Burch, R. L.,et al. (2003).The human penis as a semen displacement device.
- Vance, G. S., Zeigler-Hill, V., & Shackelford, T. K. (2023).Sperm competition risk: The connections that partner attractiveness and infidelity risk have with mate retention behaviors and semen-displacing behaviors.

