オープンマリッジの離婚率は92%?実際の夫婦の結末を調べた研究

オープンマリッジという結婚形態があります。

簡単にいうと、夫婦双方が相手の不倫を認め合っている関係のことです。

いわゆる、ノンモノガミー(非一夫一婦制)のパートナーシップの一つですが、特に珍しいものでもありません。

相談に来ている人から、オープンマリッジの話をされることもよくあります。

自分がそれを望んでいたり、相手が望んでいたりして、どうしたものかという相談に来る人も多いのです。

ただし、こうした結婚生活については、人によって考え方が大きく異なります。

理解できない人には全くできないのです。「なぜ、そんな関係が良いと思うの?」と不思議ですし、気持ち悪く感じたりします。

逆に希望する人からすると、特に明確な理由があるわけではなく、本能的な欲求として湧いてくるのだからどうしようもないという感覚だったりします。

ということで、今回はオープンマリッジを希望する人の心理について、研究に基づいて解説します。

また、オープンマリッジは幸せなのかと、離婚率が高くなりやすいのかについてのデータも紹介します。

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オープンマリッジを望む人の心理を調査した研究

オープンマリッジとは、専門的な言い方をするなら「Consensual non-monogamy(合意的非一夫一婦制)」です。

この合意的非一夫一婦制を実践している人達を対象に行った、ゲルフ大学のジェシカ・ウッド博士らの調査があります。

対象となったのは19歳から82歳までの540人の男女で、彼らは平均で2.33人のパートナーがいました。

この調査では、なぜ合意的非一夫一婦制を行うのか?について自由に回答してもらっています。

これらの回答を分析したところ、主に以下の6つの理由に分類できることが分かりました。

1.自律性(自分らしさを発揮するため)

ここでいう自律性とは、自分自身の肉体的な欲望や、恋愛の希望を好きなように叶える自由のことです。

人によっては、「一夫一婦制は窮屈で、自分らしさを発揮できないもの」と感じることがあります。

こうした人たちにとっては、誰と性的関係を持ち、どんなことをするか自由に決められる関係が、「自分らしさ」を守れているという感覚を与えてくれるものなのです。

自律性を重視する人は、「自分自身にもパートナーの自由を奪う権利はないので束縛するべきではない」という考え方を持っているケースが多いです。

2.信念・価値観(一夫一婦制こそ不自然で不誠実)

一夫一婦制の「一人の相手とだけ関係を結ぶべき」という規範そのものを疑問視している人も多くいました。

「人間の自然なあり方にそぐわない」「本音を隠す不誠実な態度」とみなしていたのです。

それに対し、合意的非一夫一婦制は人間が本能的に持つ不倫願望や性的欲求を隠すことなく開示するため、むしろ誠実な選択肢と位置づけていました。

また、パートナーの一人に自分のすべての欲求を満たしてもらうことを期待するのは現実的ではなく、むしろ複数の関係を築く方が夫婦双方の限界や特性を尊重し合えるという価値観も持っていました。

3.関係性(絆が増えることでの心理的安全性の確立)

血縁や法的なつながりに基づく家族ではなく、自分の意思で選んで築いた人間関係を「Chosen family(選ばれた家族)」と呼ぶことがあります。

合意的非一夫一婦制を実践する人たちの中には、この「選ばれた家族」の構築を重視する人も多くいました。

複数の相手と愛情の交換が行われることで、「孤独ではない」「一人に過度な期待や依存をしなくてもよい」という安心感につながるからです。

そしてその安心感が、本来のパートナーとの安定した関係の構築にも有効に働くと考えているのです。

4.性的欲望や好奇心の探求

参加者の多くが性的欲望を満たしたり、好奇心を探求できることに、合意的非一夫一婦制の魅力を見出していました。

長期的な関係で感じやすいマンネリや、刺激の減少を避けたいという気持ちから、新しい出会いや体験を求める人もいました。

また、性癖やフェティシズムの違いをめぐる動機も多く見られました。自分の望むプレイをパートナーがしたがらなくとも、他の人と行うことでそのニーズが満たされれば、双方がプレッシャーを感じずに済むということです。

多様な関係を経験することで「自分は何を望んでいるのか」「どのような親密さが心地よいのか」を知り、自己理解につながっているという人もいました。

5.成長と自己拡張

複数のパートナーとの関係を通じて自分の感情や限界に直面することが、成長につながると感じている人もいました。

たとえば、嫉妬や不安といった感情に向き合い、それらを健全な方法で解決することで、感情的な成熟や自己管理能力の向上につながると感じていました。

また、人間には「自己を拡張したい」という欲求が備わっていますが、これは新しい体験や出会いを通じてなされることが多いものです。

複数の異性と親密になることで、相手の視点を内包する機会が増え、自己拡張につながっていると感じている人もいました。

6.実用性・現実対応(物理的な制約など)

現実的な問題から、合意的非一夫一婦制を選択している人もいました。

たとえば遠距離に住んでいたり、お互いの生活リズムが合わなかったりすることで、性交渉の機会が取れないケースなどです。

また、夫婦の一方が性産業で働くセックスワーカーの場合などに、もう一方も他の相手と関係を持つことを認めているという夫婦もいました。

一夫一婦制では、たった一人の相手に過度の期待が集中する状況が生じやすいのに対し、複数の関係を持つことで精神的・感情的な負担を分散できるという実利的な考え方も示されていました。

このように、自己実現の追求だけでなく、生活スタイルに柔軟に対応するための合理的な手段として、合意的非一夫一婦制を位置づけているケースもありました。

幸せな結末を迎えられるのか?

ところで、実際にオープンマリッジを取り入れている夫婦は、幸せになれるのでしょうか?

これに関しては過去に様々な調査が行われていますが、結果はバラバラです。

オープンマリッジの方が結婚生活の幸福度が低いというものもあれば、高いというものもあります。変わらないというものもあります。

オープンマリッジの実践者は、比較的裕福で高学歴な白人に多いというデータもあるため、元から幸せな人だからアンケートにも「幸せ」と答えてるだけじゃないかという説もあります。

こうした過去のデータをまとめて検証した、アルバータ大学のエリック・キリーンの研究があります。

この研究結果によると、オープンマリッジが必ずしも、幸福度を低下させるものではないことが分かっています。

自分の理想通りのオープンマリッジが実現出来ている人の幸福度が高く、そうでない人は低いのです。

また、社会の偏見に晒されているのではいか?という不安を抱えている人や、「一夫一婦制こそ正しい」「複数のパートナーを持つのは不健全だ」といった価値観の内面化がなされている人は、幸福度が低いことも分かりました。

要するに、オープンマリッジが幸せかどうかは、本人の価値観次第ということです。

オープンマリッジの離婚率

人工知能(AI)の精度が低かったころは「オープンマリッジ 離婚率」と検索すると92%という数字が出てくることがありました。

おそらくReddit(英語圏のネット掲示板)に誰かが適当に書いた数字が拡散して、それをAIが学習してしまったことが原因だと思います。なのでデマでしょう。

では実際の離婚率はどうなのでしょうか?

オープンマリッジの夫婦を5年間追跡調査

オープンマリッジの離婚率に関する研究は非常に少ないのですが、ニューヨーク市立大学のアーリン・ルビン教授の調査があります。

この調査ではオープンマリッジの夫婦34組と、一夫一婦制(※1)の夫婦39組を5年間にわたり追跡しています。

その結果、オープンマリッジの夫婦は23組(68%)が、一夫一婦制の夫婦は32組(82%)が、5年後も一緒に生活していることが分かりました。

逆の見方をすれば、オープンマリッジの夫婦は11組(32%)が、一夫一婦制の夫婦は7組(18%)が、離婚もしくは別居をしていたということです。

【※1】オープンマリッジでない夫婦は正確には「排他的関係の夫婦」と言いますが、この記事では分かりやすくするために「一夫一婦制」としています。

オープンマリッジの離婚率は高いといえるのか?

「やはりオープンマリッジの離婚率は高いですね」と言いたいところですが、そんなことはありません。

この数字を統計的に分析すると、有意な差があるとはいえないという結果となっています。簡単にいうと、今回は偶々この数字が出ただけの可能性があるということです。

サンプル数が少ないこともあり、再調査をしたら逆の結果となる可能性もあるのです。

なので現状では、オープンマリッジの離婚率が高いのか低いのかは判断が難しそうです。

また、この論文が発表されたのは1986年ですから、今の時代に再び調査をしたら結果が変わる可能性があります。

オープンマリッジはやめたほうが良いのか?

結局、オープンマリッジはやめておくべきなのか?ということですが、こればかりは人によるとしかいえません。

双方がそれを望んでいるのなら、社会的規範など気にすることなく実践すれば良いと思います。

結婚満足度の調査でも、望み通りのオープンマリッジが叶えられていない人は不満が溜まりやすいことが分かっています。

また、先ほどの調査では一夫一婦制の夫婦でも、68人のうち42人(62%)は婚外交渉を考えたことがあると回答し、19人(28%)は実際に1回以上婚外交渉を行ったと報告しています。

不倫願望を持っている人は少なくはないのです。オープンマリッジを批判している人も、チャンスがあればパートナー以外とセックスする可能性はけっこう高いと思います。

セックスレスとの関係

最期にセックスレスとの関係について書いておきたいと思います。当サイトの主題の一つはそれですからね。

オープンマリッジを希望する人の心理の中にも、マンネリ解消や刺激を求める部分があることは説明した通りです。そして、実際にそうした効果があると思います。

セックスを性的刺激のみで捉えるのであれば、夫婦間でしかしないよりも、オープンマリッジの方がレスにはなりにくいでしょう。

しかし、「自分を捨てることなく永遠に愛してくれるという安心感がなければセックスしたい気分になれない」という心理を持っている人は、逆効果となる可能性が高いです。特に女性にこうした心理が多い傾向にあります。

ですから自分達がどのタイプなのかをきちんと見極めてから、実践したほうが良いと思います。

また、寝取られ願望があるからといって、必ずしもオープンマリッジが効果的とも言い切れません。

最初から浮気OKのシチュエーションでは、恥じらいがなさ過ぎていて興奮しないというパターンもあり得ます。

オープンマリッジを採用する前に、自分自身とパートナーについて、しっかりと理解を深めることが大切です。

参考文献
  • Wood, J., De Santis, C., et al. (2021).Motivations for engaging in consensually non-monogamous relationships.
  • Killeen, E. (2022).Consensual non-monogamy and relationship satisfaction.
  • Rubin, A. M., & Adams, J. R. (1986).Outcomes of sexually open marriages.