回避型の人は、別れたいと思ってもはっきり伝えず、自然消滅を狙うことが多いという印象を持っているかもしれません。
しかし、回避型だからといって、必ずしも曖昧な別れ方をするわけではありません。
実は、別れ方には愛着スタイルだけでなく、交際中の「感情的な親密度」が大きく関係していることが心理学の研究から分かっています。
今回は、回避型の人がどのような別れ方を選びやすいのか、そして、どのような関係であれば誠実に別れを伝えられるのかを解説します。
別れ方に影響する「感情的な親密度」とは何か
まず、知っておいてほしいことは、愛着スタイルに関係なく、別れ方に強く影響するのは感情的な親密度だということです。
感情的な親密度とは、恋愛関係において、お互いの気持ちを安心して共有でき、理解し合える程度です。
具体的には、嬉しいことや辛いことがあった時に相手に話したいと思うか、話した時に気持ちを受け止めてもらえると安心できるか、ということです。
逆に、気持ちを話した時に、恋人から無視されたり、拒絶されたりする不安を感じるなら、感情的な親密度は低いということです。
感情的な親密さが高ければ、別れ話において明確に「別れたい」と伝え、また、付き合ったことへの感謝を伝えやすくなることが心理学研究からも分かっています。
反対に、感情的な親密度が低ければ、曖昧な別れ方を選びがちになります。
回避型は直接的な別れ話を避けがち
もちろん、愛着スタイルも別れ方に影響を及ぼします。
カンザス大学のウィリアム・ホフマン博士が、最近、自分から別れを切り出した174人を対象に行った調査があります。
この調査によると、回避型は直接的に別れ話をしない傾向にあることが分かりました。
面と向かって「別れよう」と言うことは少なく、仮にそのようなシーンになっても、「付き合えてよかった、ありがとう」といった肯定的なフォローはしないことが多いのです。
回避型が好む別れ方
では、回避型はどのような方法で別れるのでしょうか。
一つは自然消滅狙いです。デートの頻度を減らしたり、連絡しなくなったりすることで関係を終わらせます。
共通の友達に別れたい気持ちをそれとなく伝え、本人に漏れるのを期待することもあります。
もう一つのパターンとして、日常会話の中でさりげなく別れたいことを匂わせるということがあります。
「価値観が合わないかも」「一緒にいても幸せになれないかも」といったことを言うのです。
相談に来る方から「回避型の彼氏の言動が、別れたいのかどうなのかよく分からない」と言われることもあるのですが、このパターンがよくあります。
面と向かって「別れよう」と言えない理由
回避型が直接的な別れ話を避けるのは、自分の感情を開示することに抵抗を感じやすいからです。
別れ話では自分の気持ちを説明しなければならず、精神的な負担が大きくなります。
また、相手の悲しみや怒りといったネガティブな感情にも向き合わなければなりません。
回避型にとっては、それを想像するだけでも億劫になるのです。
回避型がハッキリと別れの意思表示をする条件
とはいえ、回避型が必ず別れ話から逃げるとは限りません。
実は、先ほどの調査では、この記事の前半で説明した感情的な親密度も確認していました。
それによると、回避型でも、感情的な親密度を考慮すると、対面での別れ話以外は有意差が出なかったのです。
つまり、回避型は直接顔を合わせての別れ話は避けがちですが、感情的な親密度が高い関係においては、LINEで別れの意思を伝える可能性はありますし、必ずしも自然消滅を狙ったり、日常会話の中で別れたい雰囲気を匂わせたりするわけではないということです。
感情的な親密度が高いと、別れ話において回避型のネガティブな側面が出にくいのはなぜでしょうか。
それは、相手との絆や、それによって得られた肯定的な経験を認識しているからです。
つまり、関係の価値を認めているため、別れる場合であっても、その価値を毀損するような行動を避ける動機が生まれやすいのです。
別れたい気持ちと、相手への感謝や思いやりが両立している状態とも言えます。
愛着スタイル以上に感情的な親密度の影響は大きい
別れ話から逃げられると、回避型だからと思うかもしれません。
しかし、研究では、愛着スタイル以上に感情的な親密度の影響が大きいことが分かっています。
もちろん、回避型は親密さを感じていても、直接的な別れ話を避けます。
しかし、そこまで回避型のレベルが高い人は少ないです。
「どちらかといえば回避型かも…」というレベルの人が多いです。
そのレベルの回避型であれば、気持ちを打ち明けても大丈夫という安心できる環境を築くことで、感情的な親密度を高めることは可能です。
そうすることで、意見が食い違った時にも話し合いで解決しやすくなり、交際中のすれ違いや不満を減らすことにもつながります。
それが、別れ際に希望と不安の間でグダグダした状態に陥ることを避けることにもなるのです。
不安型があっさり別れられる理由
余談ですが、回避型の恋人を持つ人は、不安型の愛着スタイルを持っていることが多いです。
この二つは惹かれ合いますから、不思議なことではありません。
今回の調査では、不安型も直接的な別れ話を避けることが分かっています。
相手の反応や拒絶、対立に対する不安が強いことが要因のようです。相手が怒ったり、傷ついたりする状況に心理的負担を感じるのです。
ただ、多くの不安型のカウンセリングをしてきた経験から言わせてもらうと、少し違う気もします。
不安型は自分から別れを切り出すより、回避型の相手から切り出されることの方が多いです。しがみついたり、未練が残ったりしやすい傾向があります。
逆に言えば、別れたいと思った時は、気持ちが冷め、相手のことなんかどうでもいいと思っているので、あっさりしてしまうのです。
なので、わざわざ手間を掛けずにさっさと切るということです。
研究では、不安型は、交際中の感情的な親密度が高くても、別れたいと思ったらフェードアウトを狙う傾向が結構高いことが分かっています。
ただ、そういう気持ちになっているときには、新たな依存相手が見つかっていることも多いので厄介だったりします。
- W. Hoffman. (2020).Communication Modes During Romantic Dissolution: The Impact of Attachment and Intimacy on Initiator Breakup Strategies


