私のところにカウンセリングに来るのは、不安型の女性が多いです。そして、その恋人や片思いの相手は、回避型の男性であることが多いです。
なので、不安型と回避型は惹かれ合うように思えますが、必ずしもそうではありません。
愛着スタイルに関係なく、全員が頭の中では安定型を求めているのです。
しかし、あるポイントを超えた時点で、不安型と回避型は惹かれ合うようになります。
回避型と不安型が惹かれ合う理由
回避型と不安型が惹かれ合うのには様々な理由があり、個々に違います。
そんな中でも、よくあるのが子供時代の親子関係の影響です。
親の愛情が不安定だと、それが親密な関係の型であるという認識が強まり、感情が揺さぶられる関係のほうが、無意識に「恋愛っぽい」と感じられるようになるのです。
それぞれの恋愛パターンについて、もう少し分かりやすく説明します。
回避型が不安型に惹かれる理由
回避型は、恋愛に限らず誰かと距離が近づくことを恐れています。
「弱い部分を見せたら飲み込まれる」「自由を奪われる」という不安を持っているからです。
しかし、同時に隠れた承認欲求も持っています。
「自分は本当に必要とされるのか」「深く愛される価値があるのか」ということを、確かめたいと思っているのです。
そこに、ハッキリとした愛情表現をして、自分を強く求める不安型がやってくると、惹かれてしまうのです。
また、回避型の親が不安型だったパターンでは、無意識に同じような相手に惹かれてしまうこともあります。
良い悪いは別として、子供時代に慣れ親しんだパターンに、特別な感情を持っているからです。
また、親と同じパターンということは、よく知っているパターンともいえますから、不安型に対し「コントロールしやすい相手」という認識を持つこともあり、それが安心感につながることもあるのです。
不安型が回避型に惹かれる理由
不安型の共通点として、親の愛情表現が安定していなかったということが挙げられます。
親の機嫌がいい時は可愛がられるけれど、疲れていたりイライラしていたりすると冷たくされるといった経験をしています。(完全にネグレクトなパターンもありますが)
こうした経験をしているうちに、「親密な関係というのは不安定で、感情を揺さぶられるものなのだ」という潜在意識が形成されます。
すると恋愛においても、同じような関係を作る相手を求めるのです。そこで惹かれるのが回避型です。
なぜなら、回避型は愛してる素振りを見せたと思ったら、急に冷たくなったり、音信不通になったりという、不安定な愛情を見せるからです。
回避型と恋愛をする中で、辛さや見捨てられ不安を感じることで、子供時代と同じ感覚がよみがえり、これこそ親密な関係だと思い込むのです。
また、「親に愛されたかった」という欲求を、恋人で満たそうとする心理が、回避型を求める場合もあります。
親と同じように100%の愛情を向けない相手からの愛情を得ることで、子供時代のやり直しをしようとしているのです。
「愛着安全性仮説」は全ての愛着スタイルに当てはまるく
とはいえ、回避型も不安型も、理性の部分では「安定した相手を求めるべき」ということを分かっている人が多いです。
そして、実際に、安定型の愛着スタイルを持った相手が好きと言うのです。
なぜなら、人間は自分の愛着スタイルに関係なく、最も安心感を与えてくれる相手を好む性質を持っているからです。
これを、心理学で「愛着安全性仮説(attachmen security hypothesis)」といいます。
この説によれば、回避型も不安型も、安定型に惹かれるのです。
回避型も不安型も、安定型を好きになる
ヘリオット・ワット大学の、ビャルネ・ホームズ博士らが、愛着スタイルと恋愛の好みに関する過去の研究を再分析したデータがあります。
このデータによると、多くの研究で「愛着安全性仮説」が立証されていることが分かっています。
回避型も不安型も、安定型を好きになるということです。もしくは、類似性の法則により、自分と似た特徴を持つ相手に惹かれます。
回避型と不安型が惹かれ合う、ということはなかったのです。
回避型と不安型が惹かれ合うパターン
しかし、条件を変えると、回避型と不安型が惹かれ合うパターンが出現しました。
それは、実際に会っているパターンです。
心理学研究には様々な手法があります。
例えば「あなたはどんな人が好きですか?」という自己申告のアンケートに答えてもらうものや、お見合いパーティーのように実際に会って好きかどうかを判断してもらうもの、恋人関係にあるカップルにインタビューをするものなどです。
自己申告では、回避型も不安型も「安定型が良い」と答えていました。
しかし、実際に関係が発展している段階では、自分と反対の愛着スタイルに惹かれていたのです。
つまり、回避型と不安型が惹かれ合っていたということです。
回避型と不安型が惹かれ合うタイミング
回避型も不安型も、頭では「安心できる相手と付き合うべき」と分かっているのです。
しかし、実際に対面してしまうと、反対の愛着スタイルを持つ相手に惹かれてしまうのです。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?
「似ている人が好き」が「反対の人が好き」に変わるポイント
恋愛相手の好みに関して、心理学では2つの説がよく挙げられます。
類似性仮説と相補性仮説です。
分かりやすくいうと、自分と似ている人に惹かれるのか、短所を補ってくれる反対の人に惹かれるのかということです。
出会ったばかりの頃は、類似性を求めます。相手をよく知らない段階では、自分と似ている方が理解しやすいので、安心できるからです。(※1)
相手のことをよく知るようになってくると、今度は相補性を求めます。なぜなら、長く一緒にいるなら、補い合える関係のほうがメリットが大きいからです。
つまり、相手のことを理解できました、というタイミングを超えたとき、回避型と不安型が惹かれ合いやすくなるということです。
(※1 初期段階で回避型も不安型も安定型を求めることがあるのは、安定型はどちらのタイプにも適した接し方ができるため、そこに類似性や安心感を覚えるからです)
自己モデルから他者モデルに移行すると、愛してくれない人を選ぶ
時間経過とともに、回避型と不安型が惹かれ合う理由は他にもあります。
それは自己モデル(自分をどう見るか?)と他者モデル(他人をどう見るか?)です。
恋愛の初期段階では、どんな人かを知って安心したいので、他者モデルが強くなります。それにより「愛してくれる人だ」と思える相手に惹かれます。
しかし、時間が経過すると自己モデルが強くなります。
つまり「自分は愛される人だ」と考え、愛してくれる人を選ぶのですが、これはあくまで安定型の場合です。
回避型や不安型の場合は「自分は愛されない人だ」「自分は依存される人だ」というネガティブな、自己モデルを持っています。
人間というのは、悪いことであっても自分の考えが間違っているとは思いたくない生き物です。
そのため、愛してくれる人よりも、「自分は愛されない人だ」という自己モデルを証明してくれる人に惹かれてしまうのです。
このように、優先度が他者モデルから自己モデルへと変化することも、時間経過によって、回避型と不安型が惹かれ合うようになる要因です。
惹かれ合うことと、幸せになることは別
色々と説明してきたのですが、相談に来ている方の話を聞いていると、会った瞬間にビビッと来たというパターンも非常に多いです。
不安型女性が、モラハラタイプの回避型男性と出会ったときは、「会った瞬間から付き合うって分かった」と言うことが多い気がします。
最初から惹かれ合おうと、途中から惹かれ合おうと、不安定な愛着スタイルを持つ人の恋愛はうまくいきにくいものです。
不安型・回避型のいずれも、恋愛関係の質にマイナスの影響を与えます。
特に回避型は満足度、絆、サポート感の低さと関連し、不安型は葛藤、見捨てられ不安の多さと関連しやすいとされています。
惹かれ合うことと、幸せになることは別です。
ビビッときたら、それは正常な恋愛感情なのか、不安定な愛着スタイルの悪影響なのか、少し引いた位置から見極める習慣を身に着けてください。
- Holmes, B. M., & Johnson, K. R. (2009).dult attachment and romantic partner preference: A review.

