レスになったら終わり?39.5%は大丈夫と判明

「レスになったら、もう関係が終わりなのではないか」と不安になるかもしれません。

実際、夫婦や恋人同士であればセックスがあるのが自然で、なくなったら愛情も冷めている証拠だと考える人もいます。

ちなみにレスで別れることになるかどうかは「セックスレスの離婚率は74.2%と判明。日本は56.8%」を参考にしてください。

しかし、過去3ヵ月間セックスがなかった夫婦のうち、約39.5%はふたりの関係に幸福を感じていることが分かっています。

つまり、レスそのものが関係の終わりを意味するわけではないのです。

だからといって「レスでも気にしなくてよい」という話でもありません。レスになっても関係が続く夫婦もいれば、それをきっかけに気持ちが冷め、別れに向かう夫婦もいます。

では、その違いはどこにあるのでしょうか。

当カウンセリングルームでは、セックスレスのご相談をお受けしております。
対面(東京)でもオンラインや電話でも対応可能です。
  • 相手が応じてくれない
  • 自分の性欲がわかない
  • 相手にバレずにできる対策を知りたい
  • 夫婦・恋人間の仲を良くしたい
  • 話し合いをしたが解決しなかった
  • 産後、妊活中のレス
  • 2人目がほしいのにレス
最初から話し合いをしてしまうと、逆効果になりやすいので注意してください。

話題になったニューヨークタイムズ紙のコラム

2024年にニューヨークタイムズ紙のサンデーマガジンに掲載され、ちょっとした話題になったコラムがあります。

そのタイトルは『Can a Sexless Marriage Be a Happy One?(セックスレスの結婚生活でも幸せになり得るか?)』です。

作家のアマンダ・モンテイ氏が、30組以上のカップルへの取材をもとに書いたものです。

その中には、夫婦の性欲のズレによって「応じてもらえない/応じてあげられない」という精神的苦痛を感じている夫婦もいました。

一方で、性行為がなくとも、ハグなどのスキンシップや深い会話によって、十分な愛情を感じている夫婦もいました。

こうした事実に基づき、セックスレスは必ずしも愛情の欠如や関係の失敗を意味しないということを主張しています。

そして、苦しんでいる人も、愛情が続いている人もいるのだから、夫婦は世間の「あるべき性生活」ではなく、自分たちにとって無理のない親密さの形を見つけるべきだと提言しています。

なぜこのコラムが話題になったかというと、アメリカでは今でも「夫婦や恋人同士はセックスすべきもの」という価値観が強いからです。(※1)

レスになったら終わり、という考え方を持っている人が多いのです。

そのため、レスなのに幸せなんてことがあり得るのか?と感じる人が多く、話題になったのです。

もちろん、アメリカに限らず日本でもこうした考えを持つ人はいますから、あなたが「レスになったらもう終わり」と不安になるのもおかしなことではありません。

※1 その証拠に、日本より性科学の研究が進んでいるはずのアメリカで、2010年代に「毎週する日を決めてセックスすることが関係を良好にするためには有効」といった考えが支持されたこともあります。しかも、それをカップル問題を扱うカウンセラーが実践させていたりもしたのです。
もちろん妊活中やレスの改善の初期段階でもない限りは、この施策は逆効果となるケースの方が多いです。

レスでも幸福な夫婦は39.5%

「レスで幸せな夫婦なんて本当にいるのか?」ということを調べた、アルバータ大学のマシュー・D・ジョンソン博士らの調査があります。

この調査では2,101組の夫婦のパネルデータから、性生活と幸福度の相関を分析しています。

それによると、まず全体の約86%は高い幸福度を示し、その人たちは頻繁にセックスを行っている傾向にありました。平均すると週1回を少し下回る程度です。

全体の約3.5%は幸福度が低い傾向にありました。そして、その人たちのセックスの頻度は低い傾向にありました。

対立が多いカップル、感情を共有することが少ないカップル、双方のコミットメントが弱いカップル、そして男性側の年齢が高いカップルでこうしたマイナス傾向が見られました。

過去3ヵ月間で1度もセックスをしていないカップルは124組いました。そしてそのうちの49組は双方がその関係に対して高い幸福度を感じていました。

つまり、レスでも約39.5%の夫婦は幸せということです。

とはいえ別の見方をすると、レスでも幸せな夫婦は、全体の2.33%(2,101組中の49組)しかいないともいえます。

レスになったら終わりになる人の特徴

相談に来る人のなかにも、レスが改善されずに別れを決断したり、完全に気持ちが冷めてしまったという人はいます。

なかにはレスが改善されたにもかかわらず、破局してしまう人たちもいます。

こうなる大きな要因は2つあります。「向き合わない態度」と「セックスの価値観の違い」です。

1. 向き合わない態度が離婚につながる

レスそのものが離婚や破局の原因となるケースは意外に少ないです。実際に日本の夫婦のレス率は6割ともいわれていますが、ほとんどが婚姻関係を継続しています。

それより問題なのは、片方がレスを解決したいという希望を伝えたときに、もう一方がきちんと向き合わないことです。

話し合いを避けたり、問題を軽く扱ったりすることで「この人とはやっていけない」と思い、そこからどんどん気持ちが冷めていき、離婚につながるパターンが多いのです。

相談を受けていても、レス以外の問題もあることを後から伝えられることは多いです。一つの問題に向き合わないパートナーは、その他の部分でも向き合わないのです。

特に「性」は動物の本能に関わる部分ですから、ここでの相手の向き合い方に対しては、シビアに評価するのです。

皿洗いをサボったことを大目に見ることができても、レスの話し合いをスルーしたことは大目に見られないのです。

2. セックスに対する価値観

とはいえ、レスそのものが破局原因となることもあります。

どちらか片方が「夫婦や恋人同士であればセックスをするのは当たり前」という価値観が強い場合です。

これは性欲が強いということではありません。

一緒に食事したり、旅行に行ったりするのと同じくらい、セックスするのは当然のことという考え方です。性欲解消よりも愛情確認の意味合いが強いのです。ですから、こうした価値観を持っているのは悪いことではありません。

その分、厄介ともいえます。「セックスしないのに一緒にいる意味があるの?」とさえ思ってしまうからです。

愛に対する考え方は、遺伝子やそれまでの経験によって作られるものですから、変えるのは難しいです。

レスが解消しても終わってしまうカップル

レスが解消しても終わってしまうカップルはいます。

片方が「相手を不機嫌にしないために」という動機で、無理をして再開した場合です。

レスでなくとも、どちらかがこの感覚を持っているカップルは長続きしません。

1ヵ月後に破局していたカップル

サンフランシスコ州立大学のエミリー・インペット教授らが、男女153人を対象に、パートナーとの日々のやり取りや、そのときの感情について調べた研究があります。

この研究では、相手のために自分を犠牲にすることがあったかや、相手に対して親密さや満足を感じたかを毎日記録させたのです。

自分を犠牲にするというのは、やりたかったことを我慢することも、やりたくないことを行うことも含みます。

具体的には、相手のために仕事や勉強の都合をつけたり、日常の雑務を行ったりすることです。もちろんセックスも含まれます。

これらの記録を分析したところ、まず参加者は2週間の調査期間の中で、約半数の日で自分を犠牲にする機会があることが分かりました。

そして、それがどのように影響するかは、動機によって変わりました。

相手の喜びのために自分を犠牲にする人は、幸福感や満足感が高かったのです。

それに対して、相手の機嫌を取るために自分を犠牲にする人は、幸福感や満足感が低く、対立が増えていると感じていることも分かりました。

さらに調査が終了してから1ヵ月が経過したとき、フォローアップのメールで関係のステータスを確認すると、相手の機嫌を取るために自分を犠牲にする人は破局している確率が高いことも判明しました。

これは付き合った当初の、気持ちや絆の強さとは関係ありませんでした。

セックスが苦役と認識される

レス状態から脱したとき、どちらか一方はあまり乗り気でないというケースは珍しくありません。

それでも、相手が喜びや満足感を示していれば、自分の行動にポジティブな意味づけをすることができます。

しかし、セックスをすることで、「するのが当たり前でしょ」「ようやくマイナスがゼロに戻った」という態度を示されると、セックスが単なる苦役となってしまいます。

そして、これからも自分がこの苦役を続けなければ、良好な関係は維持できないと思います。

すると一緒にいること自体が、今後の人生に暗い影を落としているような感覚になるのです。

強引にセックスレスを解決した場合、再びセックスレスとなったときの解決は非常に難しくなります。

なぜなら人間の脳は「好きなことは我慢しながらやらない」と知っているからです。

我慢してやるということは、この相手とのセックスは好きではない苦痛なこと、という認識を強めてしまい、関係が終わってしまうのです。

性的欲望は「性欲・愛情・芸術」で変化する

ここまでの説明でお分かりいただけたと思いますが、レスになってどうなるかは人によって違うということです。

双方がセックスに対して、それほどの価値を見出しておらず、しなくても良いと思えているなら問題にはなりにくいでしょう。

ただし、男女ともにホルモンのバランスや、価値観は変化する可能性がありますから、そこを考慮する必要があります。「自分は絶対に性的欲望が変化しない」と言い切れるのかということです。

ちなみに人間を「セックスしたい」という気持ちに駆り立てるものは、性欲の他に愛情と芸術があります。

性的興奮がなくなっても、性的欲望まで失われるとは限らないことも知っておきましょう。

「この人と一生を添い遂げられるなら」という気持ちは3年で消滅

また、子供がほしいと思っているけれど結婚前や新婚時からレスの場合、それで子供ができなかったとき、諦めをつけるのは難しいです。これは相談に来ている人を見ているとよく分かります。

もちろん、不妊治療をしてもできないことはあります。しかし、やれるだけのことをやってできない場合と、やれることがあったのにそれをやらずにできなかった場合では気持ちが違います。

人間の脳は、やらなかった後悔のほうを大きく感じるようになっているからです。

「レスは解消しないかもしれないけれど、愛しているから」という考えで結婚や、一緒にいることを選んでいるなら、3年後もその気持ちが継続しそうかよく考えてください。

激しい恋愛感情をもたらすフェニルエチルアミンというホルモンが、同じ相手を見たときに生成・分泌されるのは半年から3年です。

その興奮が失われたあとも、「この人と一生を添い遂げられるなら、セックスも子供もいらない」と思えるかどうか、よく考えましょう。

参考文献
  • Montei, A. (2024, April 17).Can a sexless marriage be a happy one? The New York Times Magazine.
  • Johnson, M. D., Li, W., et al. (2025).How are sexual frequency and relationship satisfaction intertwined? A latent profile analysis of male–female couples.
  • Impett, E. A., Gable, S. L., & Peplau, L. A. (2005).Giving up and giving in: The costs and benefits of daily sacrifice in intimate relationships.