HSPが「友達はいらない」と感じるのは情緒的孤独感が強いから

HSPの人は「友達はいらない」と感じることがあります。

その理由は友達と会話をしていても「この時間って意味あるのかな?」と感じやすいからです。

このように感じてしまう背景には「情緒的孤独感」があります。それによって、他者と本当に分かり合えているという感覚が得にくいのです。

そして、HSPの疲れやすさを押してまで、このような無意味な時間を過ごすくらいなら、友達はいらないと思うのです。

また、HSPが合わない友達と一緒にいるとその悪影響を受けやすいことも分かっています。

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情緒的孤独感とはなにか

食事に行ったり、LINEをしたりする友達がいても、心が満たされないと感じる人がいます。これは、周囲に人がいるかどうかとは別に、心の深い部分で理解されていないと感じているためです。

このような孤独は「情緒的孤独感(emotional loneliness)」と呼ばれます。

情緒的孤独感とは「自分の本当の気持ちを分かってくれる人がいない」「安心して本音を話せる相手がいない」と感じる孤独です。友達や知人の数が多いか少ないかに関係なく生じる点が特徴です。

情緒的孤独感が強い人は、身近に人がいても「本音を話せない」「頼れない」「理解されていない」と感じやすいです。そのため、悩みや不安を誰かと共有できず、一人で抱え込みやすくなります。

この状態が続くと、人と関わっていても、心の深い部分では孤立しているように感じられます。また、安心感や自己価値感が揺らぎ、ストレスも感じやすくなります。

特に、友達と一緒にいる場面で無理に明るく振る舞ったり、相手に合わせ続けたりしていると、「一緒にいるのに分かってもらえない」という思いが強まります。その結果、孤独感や心理的負担がさらに大きくなってしまうのです。

HSPはこの情緒的孤独感を持ちやすいことが分かっています。

HSPの孤独を調べた研究

チェコのパラツキー大学のチームがHSPの孤独感について調べた研究があります。

この研究では、18〜80歳までの男女3,247名のHSP傾向と情緒的孤独感、社会的孤独を分析しています。

社会的孤独というのは、実際のつながりの数の少なさです。友達や知人が少ない人は社会的孤独が強いといえます。

HSPは情緒的孤独感が強いと判明

まず、この研究で分かったこととして、感受性が高いとされた人たち、いわゆるHSPは全体の約19%いました。

そして、その人たちの情緒的孤独感は、HSPでない人たちと比べて、かなり高いことが分かりました。「理解してもらえない、心の深い部分でつながれていない」と感じやすかったのです。

一方、社会的孤独に関してはHSPもそうでない人も差はありませんでした。HSPだから友達が少ないということはなかったのです。

つまり、HSP傾向が高い人は、友人や知人のネットワークが不足しているというより、親密さや理解されているという感覚が不足しているということです。

HSPほど情緒的孤独感が強くなる理由

なぜ、HSPほど情緒的孤独感が強くなるのでしょうか?

それは、刺激や感情を深く処理しやすいぶん、表面的なつながりでは満たされにくく、自分の感じ方まで受け止めてくれる関係を必要とするからです。人間関係に求める「深さ」や「理解される感覚」が強いのです。

そのため、人と一緒にいるときも「本当に理解してもらえているか」「自分の感じ方を受け止めてもらえているか」に意識が向きやすく、関係性への評価がシビアになるのです。

また、HSPはちょっとした違和感でも心の内側で大きくなりがちです。悩みを話したときに「気にしすぎだよ」と軽く返されたりすると、相手に悪気がなくても「自分の感じ方は理解されないんだ」と受け取ってしまうこともあります。

こうしたことの積み重ねが、情緒的孤独感を強めてしまうのです。

HSPが「友達はいらない」と感じる心理

私たちが友達を作る理由は、一緒に楽しいことをしたいとか、新しい経験をして成長したいなどさまざまです。

そして、それらの根本には分かり合いたい、絆を感じて安心したいという希望があります。

情緒的孤独感が強いHSPはこうした希望が満たされにくくなります。

それどころか、友達がいても本音を出せなかったり、自分の気持ちを十分に理解してもらえなかったりすると、関わるほどに寂しさを感じてしまいます。

このような経験によって傷ついたり消耗すると、他者から距離を置きたくなり「友達がいない方が楽だ、いらない」と感じるようになるのです。

HSPは友達そのものが嫌というより、そこで生じる孤独感が嫌なのです。

合わない友達はいらない

HSPが「友達いらない」と思ったからといって、それを悪いことだと思う必要はありません。

合わない相手と一緒にいて孤独やストレスを感じるくらいであれば、一人でいるほうが精神衛生上も良いです。

また、HSPはその感受性の高さから他人の影響を受けやすいことも知られていますが、特に悪影響ほど強く出るのではないかともいわれています。

HSPが友達から受ける影響を調べた研究

青年期を対象としたものですが、アムステルダム大学のカレン・フィッシャー博士らが、HSPの人間関係について調べた研究があります。

この研究では、親や友人との関係の質がその後の行動にどのような影響を与えるかを調べています。

具体的には、親や友人をどれだけ信頼できるか、対立や衝突はどれくらいあるかということと、行動、感覚処理感受性(HSPの傾向)を調べました。

HSPは友達の影響で外在化行動が増える

そして1年後に再び同じ被験者を調べたところ、友人関係において対立や衝突が多いHSPほど外在化行動が増えていることが分かりました。

外在化行動とは、心の中の不安や怒り、葛藤などが表れる問題行動のことです。攻撃的な言動や、ルールを破る、他者をいじめるなどが含まれます。

こうした影響は親からは受けませんでした。親との関係が悪くても問題行動が増えることはなかったのです。

また、親や友達からのサポートが多いからといって、問題行動が減るという効果もありませんでした。

つまり、HSPは友達からの悪影響は受けやすいけれど、好影響は受けにくいということです。

友達の行動を真似ているのではない

ここで注意したいのは、HSPが悪い友達の行動を真似ているのではないということです。

そうではなく、友達との関係の質が悪いとき、その関係から受ける心理的な負荷が外在化行動に結びついていたのです。

HSPは周囲の刺激を繊細に感じ取り、それを深く処理します。

友人関係であれば、相手の声のトーン、表情の変化、態度の冷たさなどにも敏感になります。(これは本人の思い込みという意味ではなく、人間関係の中にある細かな刺激を拾いやすいということです)

そのため、友達との関係が否定的な場合、HSPにとっては一つひとつの衝突や否定的なやりとりが強い刺激になります。

ほかの人なら「少し嫌だった」で終わる出来事でも、深く傷ついたり、強い緊張として残ったりすることがあります。

その状態が続くと不安や悔しさ、疲労感がたまりやすくなります。

そして、その負荷が内側に向かうと落ち込んだりしますが、外側に向かうと外在化行動として出るのです。

つまり、品行方正な友達であっても、その関係にストレスを感じれば問題行動につながりやすいということです。

自分をすり減らす関係を見直しているだけ

HSPにとって大切なのは、友達の数を増やすことではありません。

近年の公衆衛生の研究でも、社会的つながりは「人数」だけでなく、関係の質や、自分の必要としている支えを得られているかによって決まることが分かっています。

WHO(世界保健機関)も、孤独や社会的孤立は心身の健康リスクと関係すると指摘していますが、これは「誰とでもつながればよい」という意味ではありません。

むしろHSPの場合は、無理に人間関係を広げるよりも、自分の感じ方を否定されず、安心して沈黙できる相手を少しだけ持つことのほうが重要です。

友達はいらないと思う時期があっても、それは人間関係を諦めたのではなく、心が自分をすり減らす関係を見直そうとしているだけなのです。

参考文献
  • Meckovsky, F., Novak, L., et al. (2025).Highly sensitive persons feel more emotionally lonely than the general population.
  • Fischer, K., Larsen, H., et al. (2022).The role of sensory processing sensitivity in the longitudinal associations between relationship qualities with parents and peers and externalizing behavior in adolescence.
HSP(敏感すぎる人)
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著者プロフィール
金子 ゆうすけ
カウンセラー/コンサルタント
1983年 埼玉県生まれ
2005年 青山学院大学 卒業
特殊な「性」についての専門家としてアベマプライム出演
【相談内容】恋愛依存症、回避依存症、AC、恋愛相談、HSP、仕事の悩み、レスの問題など。
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