長年一緒にいると、夫婦はマンネリしてくるものです。出会った頃のような恋愛感情は薄れてしまい、ドキドキ感もなくなります。
嫌いではないし、好きではあるけれど、それは家族的な愛情という夫婦も少なくありません。
しかし、このような状態が固定化すると、やがてはレスになってしまうこともあります。既になっているなら、より異性として見られなくなります。
そうならないように、失われた恋愛感情を取り戻しましょう。そのためには、思い出話と懐かしい曲、そして自己開示が効果的です。
ノスタルジーを感じると絆が強まる
過去を思い出し懐かしむ気持ちを、ノスタルジーといいます。
このノスタルジーは、人間の心に良い影響を与えることが、近年の研究でも分かってきました。
たとえば、子供時代によく行った場所や通った道に行くことで、幸福度が高まるという研究結果などがあります。
また、ノスタルジーを感じることで、家族や親密な人たちとのつながりに対する認知が高まります。それによって、絆も強まります。
そして、このような効果は恋愛のパートナーに対しても起こるのです。
懐かしい体験と曲が恋愛感情を取り戻させる
テキサス大学エル・パソ校のニコラス・エバンス博士らが、ノスタルジーと恋愛感情の関係について調べました。
この研究では、安定した恋愛関係にある134人の男女を2つのグループに分け、一方にはパートナーとの懐かしいロマンチックな体験を書かせ、もう一方には現在の体験について書かせました。
その後で、パートナーに対してどう思っているか調べたところ、懐かしい体験について書いたグループの方が恋愛感情が高いことが分かりました。
別の参加者151人は、パートナーとの思い出の曲を想像するグループと、好きな曲を想像するグループに分けられました。そして、それぞれが想像した曲をSpotifyで検索して聞かせました。
こちらの実験でも、パートナーとの思い出の曲を想像して聞いたグループのほうが、ロマンチックなつながりや、情熱的な愛情のレベルが高いという結果になりました。
さらに、108人を対象に2週間に渡り日記をつけてもらったところ、恋愛的な懐かしさを感じた日ほど、パートナーとのつながりを強く感じ、離れたくないという気持ちも強いことが分かりました。
これらの実験結果は2人が一緒にいる時間の長さに、関係ありませんでした。長く一緒にいても、効果が発揮されたのです。
つまり、ノスタルジーは、長年連れ添った夫婦の恋愛感情にも、プラスの影響を与えるのです。
「この人との恋愛は本当に素晴らしいものだ」
ノスタルジーによって、恋愛感情を取り戻すためには、二人が出会った頃の思い出話をしたり、そのときによく聞いていた曲をかけましょう。
ロマンチックな思い出話の良いところは、たいてい良いイメージが浮かぶということです。
なぜなら、都合の悪いことは忘れるか改ざんされていますし、良い部分はさらに美化されているからです。
すると、お互いに「この人との恋愛は本当に素晴らしいものだ」という思いを強くするのです。
他の研究では、過去のセックスを思い出す性的ノルタルジーによって、満足度が上がることも分かっています。
自己開示が新鮮さを取り戻してくれる
ノスタルジーのほかに、自己開示も、夫婦の恋愛感情を取り戻すのに有効です。
自己開示とは、考え方や価値観、経験を相手に伝えることです。
こうした、親密で深い話をすることで、出会った頃のような新鮮さが復活します。それだけでなく、恋愛感情に関連するホルモンの分泌量も増えます。
安心感が興奮や魅力を感じにくくする
男女が出会ったばかりの頃は、どんな人だろうという不安や、身体的な魅力に対するドキドキ感があります。
こういった体験は、良い意味でのストレスと興奮をもたらします。
そして、それらの刺激によって、恋愛感情につながるドキドキ感を高めるコルチゾールや、性欲に関連するテストステロンといったホルモンが多く分泌されます。
しかし、時間が経ち二人の関係が親密になるにつれ、安心感が芽生えますから、ホルモンレベルは低下し、興奮や性的魅力を感じにくくなります。
親密で深い会話をしたカップルは新鮮さが甦る
このように夫婦間の新鮮さがなくなってしまったときは、会話の内容を変えましょう。自己開示を促すような、親密で深い会話をするのです。
ミシガン大学のクリスティ・チン博士らの研究チームが、18歳から40歳までの105組のカップルに30分間の会話をさせる実験を行いました。
このとき、親密な会話をするグループと、気軽な会話をするグループの2つに分けられました。
親密な会話とは「友情において最も大切な価値観は?」「素晴らしい一日とはどんなものでしょうか?」といった、自己開示をする内容です。
気軽な会話とは「読んでる雑誌は?」「最近1時間くらい歩いたのはいつ?」といった、雑談のような内容です。
会話後にホルモンレベルを確認したところ、親密な会話をしたグループは男女ともに、会話前よりもコルチゾール値とテストステロン値が高くなっていたのです。
会話によって自己開示が促されたと感じた人ほど、この傾向が強いことも分かりました。
また、この結果に付き合いの長さは関係しませんでした。長年一緒にいるからと、効果が出にくいということもなかったのです。
夫婦の会話におすすめのネタ
自己開示が促されるような親密で深い会話をすることで、新鮮さが甦るといっても、どのようなネタが良いのでしょう?
実は今回の実験で、親密な会話をしたグループが使ったのは、親密さを増すためのプログラムで使用される質問リストでした。
このプログラムは、初対面の人同士を仲良くするために開発されたものですが、その実験に参加した人たちの中には結婚にまで至った人もいます。
そして、これが初対面同士でなくとも、有効であることが複数の研究で判明しています。
会話のリスト
具体的な内容をいくつか紹介すると次のようなものがあります。
- 最も大切な思い出は何ですか?
- 最も感謝していることは何ですか?
- 水晶玉が未来を教えてくれるとしたら何を知りたいですか?
- 火事になったら家族やペット以外で何を真っ先に持ち出しますか?
- 私たちの間にある3つの共通点などもあります?
内容から分かる通り、価値観に関係するものが多いです。
このリストに関係なく、深く考えて答えるようなネタを夫婦で共有すれば良いということです。
夫婦で定期的に深い会話をする
恋愛感情が落ち着いてしまった夫婦であっても、相手の新たな一面を知ることで新鮮な気持ちが芽生えることがあります。
仮に気持ちが変化しなくとも、時々は夫婦で深い会話をしましょう。
お互いの価値観を知るきっかけとなりますから、関係満足度の向上にも寄与します。
日本の夫婦間の恋愛感情が低下しやすい要因?
余談ですが、洋画を見ていると夫が「妻と初めて出会ったときは天使かと思ったよ」などと言うシーンが頻繁に出てきます。これもノスタルジーを促すものです。
しかし、邦画ではあまりこういったシーンは見かけません。そういった文化がないからでしょう。
このような違いも、日本の夫婦間の恋愛感情が低下しやすい要因なのかもしれません。
男性も女性から言葉で魅力を伝えられると、セックスしたい気分まで高まることが分かっていますから、どんどん褒めてあげましょう。
- Kelley, N. J., Davis, W. E., et al. (2022).Nostalgia confers psychological wellbeing by increasing authenticity.
- Evans, N. D., Juhl, J., et al. (2022)Romantic Nostalgia as a Resource for Healthy Relationships.
- Chin, K., Reese, Z. A., et al. (2021).Closeness-inducing discussions with a romantic partner increase cortisol and testosterone.

