人の悪口ばかり言う人の育ち。服従志向の家族間コミュニケーションが原因

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人の悪口ばかり言う人を見ると、「いったいどんな育ちをしているのか?」と憤りを覚えることもあるでしょう。

一般に、親の言葉遣いは、子供にうつりやすいものですから、親が同じように悪口ばかり言っていたことが一つの要因といえます。

しかし、それだけではなく、家族のコミュニケーションのパターンも、悪口の言いやすさにつながります。

健全なコミュニケーションが行われていない家庭環境で育つと、言語によって葛藤を解決する能力が育たないため、それを悪口で解決しようとしてしまうのです。

家族間のコミュニケーションと言語的攻撃性の関係

家族のコミュニケーションパターンが、言語的攻撃性にどんな影響を与えるか調べた、テキサスクリスチャン大学のポール・シュロッド博士らの研究があります。

言語的攻撃性とは、相手の性格や能力を否定したり、からかったり、侮辱したりするような言葉のことです。要するに悪口です。

この研究では474人の男女を対象に、家族のコミュニケーションの取り方や普段どれくらい攻撃的な発言をするかを質問しました。

家族のコミュニケーションのパターンは以下の2つに注目しています。

  • 会話志向:家族で自由に話し合えるかどうかを示します。親子間で意見や感情を尊重し合える家族は会話志向が高いです。
  • 服従志向:家族が同じ考えや価値観を持つことを重視するかを示します。親が「自分たちのルールに従いなさい」と強調する場合は服従志向が高いです。

研究の結果、会話志向が低く、服従志向が高い家族で育った人は、言語的攻撃性が高いことが分かりました。

それに対して、会話志向が高く、服従志向が低い家族で育った人は、言語的攻撃性が低いことが分かりました。

悪口ばかり言うようになる理由

なぜ、会話志向が低く、服従志向が高い家族で育つと、悪口ばかり言うようになってしまうのでしょうか?

それには、次のような理由があります。

【理由1】冷静に言葉を選ぶ能力が未発達

家族内の会話が少ない家庭で育つと、子供は自分の気持ちや考えを、言葉でうまく表現する機会が限られてしまいます。

そうした環境では、子供が「自分の意見を伝える」ことに慣れず、他者との対話を通じて物事を整理したり、折り合いをつけたりする力が育ちません。

すると、意見が対立する場面で、冷静に言葉を選んで自分の主張を伝えることが難しくなり、感情的な対応に陥りやすくなります。

そして、建設的な議論をする代わりに、相手を傷つける言葉で感情をぶつけるような悪口が現れるのです。

【理由2】感情を言語化する方法が学べない

服従志向が強い家庭では、親が主導権を握り、子供は親の意見や価値観に従うことが求められます。

このような家庭では、子供の個性や考えが十分に尊重されず、自分自身の意思を持つことが抑えられる場面が多くなります。

子供は、親の期待やルールに応じることが優先されるため、自分の意見を自由に主張する機会がさらに少なくなり、不満やストレスが内面に蓄積されやすい性格になります。

これらの感情を正しく言語化して、発散する方法を学ばないままでいると、他者と向き合った際にそのフラストレーションが攻撃的な言葉となって表面化してしまうのです。

【理由3】対話で解決するスキルが未発達

さらに、このような環境で育った子供は、対立や意見の違いを「避けるべきもの」として認識しやすくなります。

その結果、問題を対話で解決するスキルが、未発達のままとなります。

すると、自分の意見が受け入れられないと感じた瞬間に、相手の言葉や人格を攻撃するようなコミュニケーションに走りやすくなります。

このような習慣が形成されると、成長後もそれが日常的な対人関係に影響を与え、意見の衝突が起きるたびに悪口が出てしまうのです。

悪口ばかり言う人から身を守る方法

言語的攻撃性の高い人(=悪口ばかり言う人)と接する際には、相手の言葉に影響されず、自分を守る方法を身につけることが大切です。

以下に具体的な、対処法をいくつか紹介します。

1. 相手の言葉を個人的に受け止めない

悪口を言われれたときに、それを自分への「正当な評価」として受け止めないようにしましょう。

言語的攻撃性の高い人は、自分の感情をコントロールできずに、相手を攻撃することがありますが、その言葉は、相手自身の問題が投影されたものであり、あなたの価値を正しく反映したものではありません。

「これは相手の問題であり、自分の本質とは無関係」と意識することが大切です。

2. 悪口の言いがいをなくす

感情的に反応すると、相手の攻撃をエスカレートさせてしまうことがあります。

深呼吸をして気持ちを落ち着け、冷静に対応しましょう。感情が高ぶりそうなときは、一旦その場を離れるのも有効です。

冷静さを失わずに対応することで、相手は悪口の言いがいがなくなるので、何も言ってこなくなります。

3. 境界線を設定する

相手が何度も悪口を使う場合は、「これ以上は許容しない」という自分の境界線を明確にしましょう。

たとえば、「そのような言い方をされると話を続けられません」といった言葉で、相手に自分の意思を伝えることができます。

適切な距離を保ち、必要であれば会話を中断する勇気も必要です。

4. 共感よりも観察を重視する

攻撃的な人の言葉に対して、無理に共感しようとするのは、かえって負担になります。

それよりも、冷静な観察者の立場に立つことを意識しましょう。

「この人は今、自分のストレスを言葉で発散しようとしているのかもしれない」という視点で状況を捉えると、感情的に巻き込まれずに済みます。

これらの対策を取ることで、言語的攻撃性の高い人と接しても、自分の心を守ることができます。

大切なのは相手の悪口に振り回されず、自分をしっかりと守る意識を持つことです。

参考文献
  • Schrodt, P., & Carr, K. (2012).Trait Verbal Aggressiveness as a Function of Family Communication Patterns.