アダルトチルドレンの原因となる親の特徴(研究論文をもとに解説)

アダルトチルドレンの原因は、家庭内で安心して甘えたり本音を言えなかったため、不安定な愛着が形成され、大人になっても我慢したり他人に合わせすぎたりする癖が抜けなくなること。などと言われます。

こういった説明は見飽きたという人も多いかもしれません。そもそも「それをブログに書いてるカウンセラーだって、ネットの情報をまとめ直しただけだろう」と感じている人もいるでしょう。

少なくとも当方に相談に来ている人はそういう人が多いです。「どのサイトも同じことしか書いてない」と困惑しています。

そこで今回は研究を紹介しながら、アダルトチルドレンの原因となる親の特徴について説明したいと思います。

アダルトチルドレンは正式な心理学用語ではありませんから、研究においてはアタッチメント(愛着)や心理的支配、ペアレンティフィケーション(子に親の役割を背負わせる)として扱われることが多いです。

ここでも、そういった研究から子供をアダルトチルドレンにしてしまう親の特徴を探っていきます。

可能な限りインパクトファクター(※1)の高い学術誌に掲載されている、もしくは被引用数の多い研究を選んでいます。

※1 インパクトファクター:学術雑誌の権威や影響度を示す指標。「掲載されている論文が引用された数の合計」を「掲載されている論文の数」で割って算出。

当カウンセリングルームでは、次のようなご相談をお受けしております。
対面(東京)でもオンラインや電話でも対応可能です。
  • アダルトチルドレン
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【親の特徴1】子供に対し「感情の無効化」をする

アダルトチルドレンを生みやすい親の特徴のひとつに、子供に対し「感情の無効化」を行うことが挙げられます。

感情の無効化とは

感情の無効化とは子供が気持ちを表現したときに否定したり、罰したり、あざ笑うことでその感情体験を無価値化してしまうことです。

具体的には子供が不安や寂しさを表したときに「そんなことで泣かないの」と軽く扱ったり「あなたが泣くからこっちがつらい」と罪悪感を持たせて黙らせたりすることが該当します。

感情のコントロールが苦手な親自身が動揺して、子供に罪悪感を抱かせてしまうことも含まれます。

感情の無効化が「感情抑制」につながる

デューク大学のエリザベス・D・クラウス博士らが、18〜30歳の成人127名を対象に行った調査でも、感情の無効化をする親に育てられた人は、成人後に抑うつや不安などの心理的苦痛を持っている傾向にありました。

感情の無効化が「感情抑制」につながることが原因です。

親から「感情の無効化」をされた子供は「感情を見せると拒絶される」と学習します。すると、自分の感情を隠したり遠ざけて対処するようになります。

この対処法が慢性化すると、次のような感情抑制が起こるようになります。

  • 思考抑制:自分の考えを頭から追い払おうとする
  • 回避的な対処:問題や感情に向き合わず、なかったことにしようとする
  • ストレス反応の回避:不快な出来事を思い出さないようにする
  • 感情表出への葛藤:感情を出そうとすると不安や抵抗が生じる

感情抑制は一見すると、ネガティブな感情を消しているように見えますが、実際には感情処理を止めているだけなのです。こうして適切に処理されなかった感情は心身の緊張を長引かせ、心理的苦痛や生きづらさにつながります。

【親の特徴2】条件付きの肯定をする

親から「条件つきの肯定」をされ続けた子供は、アダルトチルドレンになりやすいです。

条件つきの肯定とは成果に応じて、愛情・承認・関心を強めたり弱めたりすることです。「テストで良い点を取ったら認める、悪い点なら冷たくする」といった対応が当てはまります。

条件つきの肯定の悪影響は自分で自分を認められなくなったり、人間関係や恋愛がうまくできなくなることです。

随伴性自尊感情が強く「自分は無価値」と思うアダルトチルドレン

ニューイングランド大学心理学部の研究チームのメタ分析によると、条件つきの肯定と「随伴性自尊感情」には相関があることが分かっています。

随伴性自尊感情とは、何らかの成果を出すことで得られる「自分には価値がある」と思う感覚です。たとえば仕事や勉強で成果を上げることで、自分の価値を認められるということです。

子供時代から「条件つきの肯定」をされてきたアダルトチルドレンは、随伴性自尊感情が強くなりがちです。成果を残したときしか褒められなかったからです。

逆に、ありのままの自分に価値があるという「基本的な自尊感情」は弱くなります。

基本的な自尊感情が弱く、随伴性自尊感情が強い人の場合「自分には価値がない」という思いを持ってしまいがちです。

なぜなら、常に成果を出せるとは限らないため「期待に応えられない自分はダメだ、価値がない」という思考になりやすいからです。

見捨てられ不安により恋愛がうまくいかなくなる

この研究では条件付きの肯定を受けた人は、交友関係やコミュニケーション、恋愛に問題が起きやすいことも分かっています。

親との関係で身についた不安定な結びつき方が、友人や恋人にも適用されるからです。

親の愛情が条件付きだった場合「相手の期待に応えないと嫌われるかもしれない」という見捨てられ不安が強くなります。

そして、相手に認められる自分でいようとして、自然体でいられなくなります。こうした関係を続けることでストレスが蓄積したり、自分の本音や感情がわからなくなり、心身の不調につながることもあります。

また、愛情が不安定なものであるという感覚が強いため、見捨てられないように過剰に依存したり、最初から関わらないほうが良いと回避したりすることもあります。

【親の特徴3】心理コントロールをする

心理コントロールをする親も子供をアダルトチルドレンにしやすいです。

ここでいう心理コントロールとは、直接「こうしなさい」と命令するのではなく、罪悪感や親への気遣いを利用して、親の気持ちに添った行動をするように仕向けることです。

たとえば「あなたのためを思って」「私がどれだけしてあげたと思っているの」「親を大事に思うなら、そんなことはしないはず」といった言い方をして、子供をコントロールするのがそれです。

心理コントロールをされた子供は自分の気持ちよりも、親の機嫌や期待、失望を優先して行動を決めやすくなります。

感情調整の能力が低下する

カリフォルニア州立大学のアラセリ・ゴンザレス教授らが青年期から成人期へ移行する18〜25歳を対象に、親の接し方と心の状態を調べた実験があります。

この実験ではストレスを与えた状態で、呼吸性洞不整脈(※2)を測定しました。

結果、親から心理コントロールを受けていた人は、ストレス化で自律神経が乱れやすいことが分かりました。これは、感情の感情を調整する能力が低いことを意味します。

質問票による調査でも、親から心理コントロールを受けた人の感情調整の能力が低いことが分かっています。

これは親の気持ちを優先して自分の気持ちを後回しにしてきたせいで、自分の感情を理解する能力が育たずどう処理すれば良いのか分からなくなっていることが原因です。

2 呼吸性洞不整脈:息を吸うと心拍数が上がり、息を吐くと下がる現象。自律神経のリラックス機能と相関しているとされ、ストレスの感じやすさを測る指標となる。

不安を感じやすくなる

この実験では、親の心理コントロールを高く知覚している人ほど、日常生活のなかで不安を感じやすくなることも分かっています。

緊張しやすい、心配しやすい、落ち着きにくいといった傾向がみられたのです。

不安は危険を予測して備えるための反応ですから、危機的状況でなければ感じる必要のないものです。

しかし、アダルトチルドレンは「親が不機嫌になると危険」と刷り込まれているので、日常の選択や対人関係まで危機の対象となり不安を感じやすくなるのです。

【親の特徴4】親自身もアダルトチルドレンだった

これもよくある特徴ですが、親自身もアダルトチルドレンだったというパターンです。

マルトリートメントは祖父母から子、そして孫へと繰り返されてしまうものなのです。マルトリートメントとは子供に対する不適切な扱い全般のことです。虐待やネグレクトを含みます。

具体的には身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、世話の放棄、DVを目撃させることなどです。

親がマルトリートメントを受けていた子供の恋愛はうまくいかない

マギル大学のセリーナ・ピジョンらが139組の親子に聞き取りを行ったところ、親が子供時代にマルトリートメンと受けていた場合、その子供が同じようにその被害を受けている可能性が高いことが分かっています。

そして、このような親に育てられ、親子関係の質が低い子供は成人後の愛着が不安定となり、恋愛関係にも支障が出やすい傾向にありました。

恋人からの連絡が遅いと不安になったり、嫌われたのではないかと思い込んでしまうことが多いのです。

幼少期に拒絶・無視・不安定な反応を受けると「人は急に離れていく」と感じやすくなり、その不安が恋愛にも持ち込まれるからです。

小児期の逆境的な体験をした親は子供をACにする

ケント州立大学のティファニー・ロウェル博士らが、過去に行われた親子関係に関する研究を再分析したところ、ACEs(小児期の逆境的な体験)がある親は子供に対して適切な対応ができにくくなることが分かりました。

子供に対して敏感に反応しにくくなったり、怒鳴る・叩く・厳しく罰するなどの不適切なしつけを使いやすくなったりするのです。

そして、その子供は不安や抑うつ、攻撃、反抗などを示しやすいことも分かりました。

子供は親との関係を通じて安心感や感情調整の仕方を学ぶものですが、親が安定していないとそれが学べないためこうした不適応が起こるのです。

機能不全家族は3世代で連鎖。どうすればいい?」でも説明していますが、良くも悪くも家庭環境というのは繰り返されるものなのです。

【親の特徴5】脆弱型ナルシシズムを持っている

ナルシシズムというと、自信満々で偉そうなタイプを思い浮かべるかもしれません。確かにこのような誇大型ナルシシズムを持つ親も、アダルトチルドレンの原因となり得ます。

しかし、脆弱型ナルシシズムとよばれる表面的には自信なさそうに見えて、内面には強い承認欲求や「自分は特別に扱われるべき」という感覚を持つ親もアダルトチルドレンの原因となります。

自尊感情と心理的幸福感が低下する

ブリッジウォーター州立大学のエイミー・ポランボらが、253名を対象に行った調査によると、脆弱型ナルシシズムを持つ親に育てられた子供は、成人後に自尊感情と心理的幸福感が低い傾向にありました。

自尊感情とは、自分には価値がある、物事をうまくやれるという感覚です。心理的幸福感とは、物事に関心や楽しさを感じ、日々をどれだけ前向きに感じられるかという感覚です。

これらが低いと、ストレスへの対処力が弱まり、対人関係・学業・仕事に悪影響が出やすくなります。アダルトチルドレンの典型的な特徴です。

脆弱型ナルシシズムを持つ親は、自己中心的でありながら傷ついたり被害者意識を持ちやすく、子供に情緒的な安心感を与えにくいです。

そのため子供は「自分は大切にされている」という感覚を持ちにくく、自尊感情や幸福感が低くなりやすいのです。

親のナルシシズムと子供の愛着スタイルの関係

もちろん、誇大型ナルシシズムも悪影響を及ぼします。

この研究では親の脆弱型ナルシシズムと誇大型ナルシシズムの両方が、子供の成人後の不安定な愛着に関連していることも分かっています。不安型や回避型の愛着スタイルと相関していたのです。

つまり、ナルシシストな親を持つ人ほど、親密な関係で不安を感じたり、他者に頼ることを避けたりする傾向が高くなるということです。

これは、親が情緒的に不安定かつ自己中心的だと安全基地になりにくいため、子供が見捨てられ不安や他者を遠ざけることを身につけやすいからです。

アダルトチルドレンの原因となる親に共通する特徴

もちろん、ここに挙げた以外にもアダルトチルドレンの原因となる親の特徴はたくさんあります。アルコール依存症(※3)の親や、精神疾患などもアダルトチルドレンと関連します。

アダルトチルドレンの原因となる親の特徴を一言で表すなら、「子供が子供でいられなくする」ということです。

安心して泣けない、怒れない、甘えられないといった環境では、子供は早くから自分を守るための生き方を身につけます。空気を読み、感情を抑え、人に合わせるのです。

これらの適応は過酷な家庭で生き延びるためには必要なものでした。しかし大人になると、その適応が苦しさに変わることがあります。

自分の感情が分からなくなったり、人間関係を構築しにくくなるのです。そして常に生きづらさを感じるようになるのです。

これがアダルトチルドレンの背景にある、子供時代の「適応」が大人になってからの苦しさへと変わっていく流れです。

3 もともとアダルトチルドレンは「Adult Children of Alcoholics」といってアルコール依存症の養育者のもとで育った成人を指す言葉でした。

参考文献
  • Krause, E. D., Mendelson, T., & Lynch, T. R. (2003).Childhood emotional invalidation and adult psychological distress: The mediating role of emotional inhibition.
  • Haines, J. E., & Schutte, N. S. (2023).Parental conditional regard: A meta-analysis.
  • Goger, P., Rozenman, M., & Gonzalez, A. (2020).The association between current maternal psychological control, anxiety symptoms, and emotional regulatory processes in emerging adults.
  • Pigeon, S., Brassard, A., & Langevin, R. (2024).Intergenerational continuity of child maltreatment exposure, mother-offspring relationship quality, and adult romantic attachment in emerging adults.
  • Rowell, T., & Neal-Barnett, A. (2022).A systematic review of the effect of parental adverse childhood experiences on parenting and child psychopathology.
  • Palumbo, A., & Hansen-Brown, A. (2025).Is my parent narcissistic? Retrospective perceptions of the adult child on their parent’s narcissistic tendencies.