アダルトチルドレンの振る舞いは、自信なさそうだったり、控え目に見えることがあります。
しかし、行動に表れていないだけで、内面には強い承認欲求を抱えています。
恋人に依存してしまうのも、「私を愛すべき存在と強く認識して」という承認欲求の延長線上にある感情といえます。
こうした感情が芽生える原因は、子供時代の家庭環境、特に親の愛情の与え方にあります。
親の愛情が歪んでいると、承認欲求が強まるのです。
それだけではなく、自分の悪い一面を異常なほど隠したがるようにもなります。
アダルトチルドレンの承認欲求が強くなる原因
アダルトチルドレンの承認欲求が強くなる原因は、親の条件付きの愛情です。
分かりやすくいうと、「良い子にするなら、愛してあげる」というものです。
人間は、生まれてすぐに最も身近な他人(親)から、無条件に愛されることで、自分の存在価値を認めることができます。
自分は存在しているだけで、食事を与えられる権利があると思えるのです。
しかし、条件付きでしか愛されないと、「良い子にしていないと食事を与えられない(生きていけない)」という、生存の危機を無意識に覚えます。
すると、生き延びるためには愛される必要があり、愛されるためには自分の良い面を認めてもらう必要があると考え、承認欲求が強くなるのです。
認めてもらうことが、生きることになっているため、大人になってからも、周りからの承認を求め続けてしまうのです。
条件付きの愛情を受けた子供の25年後
心理学者のロバート・シアーズが、400人近くの母親を対象に、どんな子育てスタイルを採っているかをインタビューしました。
それから25年後に、別の心理学者タルマ・ロベルが、その母親の子供たちを探し出し、協力を取り付けられた78人の承認欲求を調査しました。
その結果、母親の養育行動と、成人後の承認欲求には関係があることが分かりました。
条件付きの愛情しか与えられなかった人は、成人後に自分の良い面を積極的にアピールし、認められようとする傾向が強かったのです。
このような結果となる理由は、さきほど説明した通りです。
拒絶や愛情の喪失を避けるために、親に認められるような行動を取り続け、そのパターンが成長後も残るからです。
そして、それが他者にまで広がり、他人から好ましい人として注目されたいという、承認欲求につながるということです。
「こんな自分を見せたら嫌われる」
アダルトチルドレンは承認欲求が強いだけでなく、自分の悪い面を隠そうとする傾向も強いです。
この悪い面というのは、社会通念上、悪いとされるものではなく、本人がそう思い込んでいるものです。
たとえば、誰かに何かをしてあげたときに、見返りを求めたり、感謝してほしいというのは自然な感情です。
しかし、アダルトチルドレンは、このような感情を持ってしまったとき、自分は性格が悪いと考え、それを隠したがるのです。
「お礼くらい言ってほしかったな」と思ってしまうことさえ、悪いことと思っているアダルトチルドレンもいます。
そして、「こんな自分を見せたら嫌われる」と恐れているのです。
これも、親の条件付きの愛情の影響です。
善悪の判断の軸がブレている
アダルトチルドレンが、自分のネガティブな感情を隠したがるのは、これまでと逆パターンの条件付きの愛情です。
「良い子にするなら、好きになる」ではなく、「悪い子にするなら、嫌いになる」というものです。
子供が悪いことをしたとき、叱るべきはその「行動」です。
子供の存在価値と、行動を切り分けるスタンスが重要なのです。
英語圏の子育ての本にはよく「I love you, but I don’t like what you did.(あなたを愛している。でも、あなたがしたことは好きではない)」と叱ることが大事と書かれています。
このように叱られた子供は、「自分は大切にされている」という安心感を失わないまま、自分の行動を振り返ることができます。
反対に、「そんなことする子は嫌い」といった叱り方をされると、食事を与えられないかもしれない(生存の危機)と考えてしまうのです。
しかも、子供をアダルトチルドレンにしてしまうような親は、悪くないことでも、自分が気に入らないという理由だけで怒りますから、子供は善悪の判断の軸がブレます。
罪悪感を持たなくて良いことまで、悪いことと考えてしまい、それを隠そうとするのです。
なぜなら、それを見せると親に愛されなくなり、生きていけなくなるという思考回路が勝手に働くからです。
ステレオタイプを強制されたアダルトチルドレン
アダルトチルドレンが、自分の心の中に少しでも否定的な感情を持ったとき、それをとても悪いことであると感じてしまうのは、親が型にハメようとする子育てをしていたケースが多いです。
具体的には、「子供はそんなことするな」「女の子はこうしろ」といったステレオタイプを強制するというものです。
このような育てられ方をすると、自分がどう感じるかよりも、他人からどう思われるかを優先するようになってしまうのです。
そして、他人の期待を裏切るのは、とても悪いことであると考え、そういった一面が出てきてしまったときは、必死で隠そうとするのです。
反対に、親がステレオタイプな子育てをせずに、伸び伸びと育てた場合には、自分の感情を尊重できるようになります。
さきほどの研究でも、母親が「反撃すべきときはして良い、女の子だからって遠慮する必要はない」というスタンスで、子育てをしていた場合には、他人から悪く思われることを心配しすぎることなく、自分のネガティブな面を隠そうとする傾向もないことが分かっています。
「良い人」として承認されることに依存していないからです。
承認欲求を減らす
条件付きの愛情によって、承認欲求が強くなったアダルトチルドレンは、「認められない=愛されない=生きられない」という結びつきを少しずつ弱めることが大切です。
まず、相手の不機嫌や沈黙をすぐに「自分が嫌われた」と解釈しないことです。
目の前の相手の反応と、過去の親子関係で身につけた不安を分けて考えましょう。
次に、承認されないことに慣れることも必要です。完璧に振る舞わなくても、関係がすぐ壊れるとは限らないという経験を重ねると、不安は弱まっていきます。
仮に恋愛関係がそれで壊れるようなら、相手に問題があるか、あなたがまだ恋愛できる準備が整っていないということです。
承認欲求を完全に無くす必要はありません。
承認されれば嬉しいけれど、承認されなくても「まあいいや」と思えるくらいが理想です。
- Lobel, T. E. (1982).Parental antecedents of need for approval—A longitudinal study.


