不幸な人が一生不幸な理由!心拍の同期を運命と勘違いすること

今現在、不幸を感じている人の中には「私は一生不幸なんだ」と思っている人もいるでしょう。

子供時代から不幸だったし、大人になってからも嫌なことばかりと。

不幸な人が一生不幸なサイクルに陥ってしまう理由は様々ですが、主なものとして付き合う人間の選び方を間違えていることが挙げられます。

無意識に自分を不幸にする友達や恋人を選んでいるのです。

しかも、それは身体的なメカニズムとして組み込まれているのです。

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社会経済状況と幸福度

社会心理学の研究でよく用いられる言葉に「socioeconomic status」というものがあります。

日本語にするなら「社会経済状況」といったところです。

これはその人自身もしくは家庭まで含む、職業や収入、学歴といった社会的なステータスを示すものです。

お金や教養があるから幸せとは限りませんが、暮らしぶりと幸福度はある程度相関するものです。

精神的に満たされなくても社会経済状況が良ければ「まあ悪くはない人生か」と思いやすいものです。

一方で精神的にも満たされず、社会経済状況も悪ければ「私の人生ってなんて不幸なんだろう」と思ってしまいがちです。

もしあなたが「これからも一生不幸なんだ」と思っているなら、子供時代や現在の社会経済状況が関係している可能性は高いでしょう。

「私は不幸です」という人に共通すること

「私は不幸です」という人からの相談を受けていると、人間関係に問題のあるケースが多いです。

友達でも恋人でも一緒にいたら余計に不幸になるような相手ばかりを周りに置いているのです。

「いつも周りにいる5人の平均があなたである」という言葉を聞いたことはないでしょうか?

つまり考え方や言動、さらには年収にいたるまで、頻繁に会っている相手の影響を受けるということです。

実際に思考は伝染するものです。なぜなら思考というのは脳内の神経細胞の繋がり方のパターンだからです。

いつもネガティブなことばかり考えている人と一緒にいて、その言葉を聞き続けるというのは、ネガティブな思考を生み出すネットワークを繋げるトレーニングをしているのと同じことなのです。

例えば、あなたの恋人が人生を諦めたようなタイプで、常に批判的なことばかり口にしていたとします。

こういう相手と一緒にいるとあなたも同じような思考になりますから、不幸から抜け出すための行動を起こそうと思ったときも「どうせ失敗する」という自動的な思考が最初に生まれ人生を好転させられないのです。

それによって余計に不幸になるという負のループに陥るのです。

そしてあなたは「私は一生不幸なんだ」という思いを強めていくのです。

不幸な人が同じような相手を選ぶ要因

そもそも、なぜ不幸な人は同じように不幸な人と関係を築きがちなのでしょうか?

これには先ほど説明した「社会経済状況」が関係しています。

実は社会経済状況が低い人ほど、他者に依存しがちなのです。

なぜなら金銭や立場といった資源が限られていると、自分だけの力で問題を解決することが難しくなり、自然と周囲の人とのつながりを重視するようになるからです。

また、低い社会経済状況では日常的に不確実性やストレスに直面することが多く、他者との協力や共感的な関係が心理的なレジリエンス(回復力)を高める重要な手段となります。

そして、それがやがて依存へとつながっていくのです。

さらに、依存を許してくれる人というのも、同じように何らかの問題を抱えていることが多いため、同じような人間同士で強い絆を形成するのです。

心拍が同期するせいで「運命の人」と錯覚する

ダメな恋人と付き合っているせいで不幸になっている人が良く言うセリフがあります。

それは「会った瞬間にこの人と付き合うと思った」というものです。ビビッときた感覚があったというのです。

そして付き合いが長くなる中で、相手から酷いことをされても「心のつながり」を強く感じていたりします。

これは間違いのないことだと思います。実際に心臓の鼓動が同期しているのですから。

チューリッヒ大学のタベア・マイアー博士らが、カップルの会話を分析した実験があります。

この実験では被験者に心拍を測定する装置をつけて、会話中にどう変化するか観察しました。

その結果、社会経済状況の低いカップルほど双方の心拍が同期しやすい傾向にあったのです。

一生不幸な人生を歩まないために

研究では、心拍の動きが似ているカップルほど「私たちは一緒」という感覚が強ことも分かりました。つまり、心理的にも身体的にも「心がつながっている」感覚になりやすいのです。

このような結果となる理由は先ほどまで説明した通りです。

社会経済状況の低い環境では「一人では生きていけない」という感覚が強まりやすく、相手への依存が強まるからです。

環境の厳しさの中でお互いを頼りに生きる感覚が芽生え、それが体の反応のレベルでも現れた結果、心拍が同調しやすくなったと考えられます。

つまり、あなたが「この人といても不幸になるのに離れられない」と思っているのは運命の人だからではないということです。

自分自身が無意識に認識している「過酷な環境を生きるために必要な相手」という錯覚が生み出した、心臓の反応のせいなのです。

それを運命と勘違いして、いつも不幸体質の相手ばかりを選んでいたら、あなたは本当に一生不幸になってしまいます。

不幸から抜け出すには、まず付き合う人間を見直しましょう。

不幸体質の治し方は人生の目的を明確にすること

科学的に幸福度を上げる方法

せっかくなので、幸福度を上げる方法を紹介しておきたいと思います。

ブリティッシュ・コロンビア大学の研究者らが、過去に発表された幸福度に関する研究を分析し、幸福度を高めるために効果のある行動、そしてやらない方が良いことを抽出しています。

対象となったのは、事前登録された研究(※1)のみですので信憑性の高いものといえます。

それによると以下のような結果となっています。

※1 事前登録された研究。論文を発表する前に「こういう実験をして、こういう風にデータ取る」ということを第三者機関に登録してある研究。これによりデータを都合よく改竄する行為、いわゆるPハッキングを行っていないことが証明されるので信用度が高まる。

幸福度を高める行動

幸福度を高めるために取り入れるべき行動は以下の通りです。

1.感謝の実践

感謝の念を表現することで幸福度が高まります。例えば、ある研究では参加者に感謝の手紙を書くよう指示したところ、短期的にポジティブな感情が増加したという結果が出ています。

2.社会性の向上

他者との交流は幸福度を高める重要な要素です。研究では他者と積極的に会話を交わした参加者のほうが、孤独に過ごした参加者よりも高い幸福感を報告しました。また、内向的に振る舞うよりも外向的に振る舞うよう指示された人々は、よりポジティブな気分を体験しています。

3.笑顔の効用

「笑顔を作るだけで気分が良くなる」という仮説が長年議論されてきました。最近の大規模な研究では「自然な笑顔」を作ることで実際に幸福度が高まることが分かりました。これは研究者が無意識に掛けてしまう期待や、参加者自身の信念に依存しないことも示されています。

4.新鮮さを取り入れること

日常の経験に新鮮さを加えることで幸福感を増大させることができます。例えば同じ動画を繰り返し視聴する際に「手作りのゴーグル」を使うなどの工夫で体験の楽しさが増すことが報告されています。また、週末を「休暇のように過ごす」という簡単なアプローチでも満足感が向上します。

幸福度を高めるためにやめるべき行動

幸福を増やすためには、新しい行動を加えるだけでなく、日常生活からマイナスなものを「取り除く」ことも重要です。

1.新しいものへの期待

未来の新技術や製品への期待が現在の満足感を損なう可能性があります。例えば新製品の登場を知らされた参加者は、現在利用中の製品への満足感が低下したという結果が示されています。

2.不快なタスク

不快なタスクを減らすことは幸福度を向上させる一つの方法です。家事や雑務を他者に任せることで、ストレスや時間的なプレッシャーが軽減され、幸福度が増すことがわかっています。

3.スマートフォンやSNSの長時間使用

スマートフォンやSNSは便利である反面、過剰な使用が幸福感を損なう原因となります。研究ではスマートフォンの使用を控えることで、家族や友人との食事の時間をより楽しむことができることが分かりました。また、SNSの使用を制限することで幸福度が増すことも分かっていますが、1日程度の抑制ではあまり効果はないようです。

こうしてみると面白いのが新鮮さを取り入れることは幸福度を高めてくれるのに、新しいものに期待するのは逆効果になるというところですね。つまり持っていないものを欲しがるのではなく、自前のもので新しい方法を実践するのが良いということですね。

全てを実践するのは難しいかもしれませんが、できるものから取り入れたり、減らしてみたりしてはどうでしょう。

参考文献
  • Meier, T., Geller, A. M., et al. (2025).Connected at heart? Socioeconomic status and physiological linkage during marital interactions.
  • Folk, D., & Dunn, E. W. (2024).How can people become happier? A systematic review of preregistered experiments.