カウンセリングを受けても意味ない人。研究で分かった効果の出ないパターン

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カウンセリングに通っているけれど、何の変化もなく、本当に効果があるのかと不安になっている人は少なくありません。

私のところに通っている方でも、そのように思っているケースがあるかもしれないので、とやかく言えた義理ではないのですが。

実は、カウンセリングを受けても意味のない人というのが、研究で分かっています。

これには2パターンあり、本人がカウンセリングに向いていない場合と、カウンセラーの提供する手法が合っていない場合です。後者はほとんどの人が該当します。

それぞれについて、分かりやすく説明したいと思います。

カウンセリングの意味がない人の特徴

まず、カウンセリングを受けても、意味がない人の特徴についてです。

心理的リアクタンス、愛着、性格という3つのポイントに分けて説明します。

1. 心理的リアクタンスが強い

心理的リアクタンスとは、自分の行動や選択の自由が奪われそうになったとき、それを取り戻すために生じる反抗心のことです。

勉強しようと思っていたタイミングで、親から「勉強しなさい」と言われると、やりたくなくなることがあるのは、この心理が働くからです。

臨床心理学者ラリー・E・ビュートラーらが1,100名以上のデータを分析したところ、心理的リアクタンスが強い人は、カウンセリングの効果が出にくいことが分かりました。

カウンセラーから具体的な改善策を提案されたとき、「命令されたくない」と感じて、かえってやらなくなったりするからです。

2. 不安定な愛着スタイルを持つ

愛着スタイルとは、他者とどう関係を築くかという人間関係の型です。安定している人は、健全な関係を築きやすいです。

それに対し、不安定な人は、依存しすぎたり、逆に心を閉ざしたりします。

マサチューセッツ大学のサマンサ・バーネッカー博士らの研究によると、不安定な愛着スタイルを持つ人は、「作業同盟」を結びにくいことが分かっています。

作業同盟とは、カウンセラーと相談者との間に形成される、カウンセリングを成功させるための協力関係です。主に、目標の共有、進め方の同意、信頼して話せる感覚によって作られます。

不安定な愛着スタイルを持つ人は、見捨てられるのでは?とか、自分の情報を出しすぎると利用されるのでは?といった不安を持ちやすいため、こうした感覚を持ちにくいのです。

そもそも、不安定な愛着スタイルを持っているから、カウンセリングに通うんだろ、という気もしますが…

3. カウンセリングの効果が出にくい性格

性格傾向がカウンセリングの効果にどのような影響を与えるか、という研究も複数あります。それらの結果からよく言われるのは、次のような性格傾向を持つ人は、カウンセリングの効果が出にくいということです。

神経症傾向が高い

神経症傾向とは、不安や怒り、傷つきやすさなどが強く出やすい特性のことです。

これが高い人は、カウンセラーのちょっとした一言を、否定や見捨てられと受け取ったり、カウンセリング後に「変なことを言ったかも」と反芻しやすくなります。

そのため、カウンセリングそのものが憂鬱になってしまうことがあります。

協調性が低い

協調性が低い人は、他人を信頼せずに疑ったり、自分の考えを優先しがちです。

カウンセラーの言葉に対しても、反論したり、「どうせ分かっていない」と感じやすいため、効果がでにくくなります。

開放性が低い

開放性とは、新しい考え方、体験、価値観を受け入れたり試したりしやすい性格傾向のことです。

カウンセリングというのは、今までの凝り固まった思考の癖を修正する作業でもあります。

しかし、開放性の低い人は、新しい考え方やモノの見方を試してみようという気になりにくいですから、思考の癖も変わりにくいのです。

誠実性が低い

ここでいう誠実性は、まじめな性格というだけではありません。物事を計画的に進めたり、地道に続ける力のことです。

カウンセリングにおいては、面談中だけではなく、日常生活でも思考を変えるワークなどを、実践しなければならないことがあります。

誠実性の低い人は、こうした実践を継続できないことがあります。

外向性が低い

外向性とは、人と関わることや刺激的な体験から、元気を得やすい性格傾向のことです。

自己開示ともかかわる性格傾向のため、これが低い人は、カウンセリング中に、自分の内面をさらけ出すまでに時間が掛かることがあります。

傾聴型のカウンセリングは意味がない

ここまで、カウンセリングを受けても意味がない人の、個人的な特性について説明してきました。

ここからは、ほとんどの人に意味がない手法について説明します。

それは何かというと、多くのカウンセリングルームで行われている「非指示的療法」です。

その名の通り、カウンセラー側から何かをするよう指示することはなく、クライエント(相談者)の自由にさせるという手法です。

双方が何もせずに黙ったままということさえありますが、「非指示的療法」の中でよく使われるのが「傾聴」です。

傾聴とは、相手の言葉や気持ちを否定せず、理解しようとして丁寧に聴くことです。

人間には元から自分自身を改善し、成長する能力が備わっているため、傾聴によって、感情の整理や自己理解が進めば、メンタルも改善するという考え方に添ったカウンセリング手法です。

33%の人にしか効果を発揮しない

この傾聴をはじめとした、非指示的療法ですが、あまり効果がないことが分かっています。

心理学者ピム・クイパース博士らが、過去に行われた心理療法に関するデータを分析したところ、非指示的療法によって抑うつ症状が50%以上改善した人は、約33%しかいないことが分かりました。

ちなみに何もしなかった人たちでも、24%が改善しています。そして、10~15ヵ月後には、非指示的療法と何もしなかった人の差はなくなっていました。

また、同博士の他の研究では、認知行動療法や対人関係療法など様々なカウンセリング手法の効果には大差がないことが分かっていますが、唯一の例外として、非指示的療法だけが、他の手法と比べ有意に効果が低いことも分かっています。

非指示的療法がダメなのではない

実はここで紹介した研究は、非指示的療法がダメということを証明したものではありません。むしろフォローしているのです。

過去に行われた比較実験の設定に問題があったのではないか?ということを指摘しています。

どういうことかというと、例えばA療法の効果を調べる実験を行うとします。

このとき、比較をするために、被験者を2グループに分け、何もしないグループ(対照群)をつくります。

とはいえ本当に何もしないのではなく、話を聞くくらいはすることがあります。ここで実験スタッフが被験者の話を聞く際のマニュアルとして使われるのが、非指示的療法だったりするのです。

そして最終的に、「A療法は非指示的療法よりも効果があった」という実験結果が出るということです。

しかし、これは少しおかしいです。なぜなら、ちょっとマニュアルを見ただけの実験スタッフが実施した、非指示的療法の効果がきちんと出るかは不明だからです。

このことは、実際のカウンセリングにおける示唆も与えてくれます。

なぜ傾聴は意味がないのか

傾聴を含む非指示的療法が効果を発揮するためには、カウンセラーと相談者の間にラポール(心の架け橋)と呼ばれる信頼関係が形成される必要があります。

そして、相談者が「理解されている」という感覚を持たなければなりません。

そのためには、カウンセラー側の知識や経験、態度も重要となってきますが、これらを全て兼ね備えた人間は滅多にいません。

そのため、実験スタッフと同じように、ただ話を聞くだけで終わってしまうのです。

認知行動療法のように、具体的にやることが決まっている手法であれば、脳への有効な刺激が入りますから、未熟なカウンセラーであっても、何らかの効果が出ることはあります。(悪化の可能性もありますが)

それに対し、非指示的療法は共感・傾聴・感情的支持が中心なので、変化させる具体的作業が少なく、カウンセラーの力量が問われる手法であるため、よほどの実力者でもなければ、他の手法ほどの効果を出せないということです。

カウンセリングに意味があるかを見分ける方法

非指示的療法の厄介なところは、傾聴や肯定をしているだけなので、カウンセラーの実力差が見えにくいことです。

そのため、意味がないことをしていると気づかずに、何度もカウンセリングに通い続けてしまうことがあります。

では、自分の受けている傾聴型のカウンセリングに意味があるのか、ないのかどう見分ければ良いのでしょうか?

それは、直感を大事にすることです。

急に非科学的に思うかもしれませんが、直感というのは過去の経験によって蓄積されたデータをもとに、瞬間的に判断を行うAIのようなものですから、当たることが複数の研究で判明しています。

もし、カウンセリング中にカウンセラーに対し、「答えを出せないから、傾聴で誤魔化しているのでは?」という疑念を持ったら、それは当たっています。

仕事でも、考えさせるために質問している優秀な上司と、分からないから誤魔化すために質問する無能な上司の違いは分かると思いますが、それと同じです。

とはいえ、カウンセラーに依存してしまっていたら、直感も鈍るので難しいところではありますが…

効果が出ていないなら、一度立ち止まって、そのカウンセリングを継続することに意味があるのか?を考えてみましょう。

参考文献
  • L.E. Beutler, T. Mark, et al. (2011).Resistance/Reactance Level
  • S.L. Bernecker, K.N. Levy, W.D. Ellison. (2013).A meta-analysis of the relation between patient adult attachment style and the working alliance
  • P Cuijpers, C Miguel, et al. (2024).Non-directive supportive therapy for depression: A meta-analytic review