恐れ回避型は、恋人に受け入れてもらえていない、一緒にいると危険、と感じたときにフェードアウトします。
デートの頻度を減らし、LINEの返信を遅らせ、無視し、ブロックするのです。
こうする理由は、負担を感じていることと、別れ話に価値を見出していないことです。
フェードアウトした直後の恐れ回避型は「元彼のところには戻らない」と思っています。
しかし、本当に戻ってこないということはありません。
相談に来ている人たちの中にも、恐れ回避型にLINEを無視されたり、ブロックされた人もいますが、しばらくして連絡が来ることが多いです。
恐れ回避型が距離を置こうとするメカニズム
恐れ回避型が、フェードアウトしたということは、あなたに受け入れられていないと感じたということです。
その原因はカップルによって異なります。
寂しさや、頼りたい気持ちを出したときに、あなたが戸惑いの表情を見せてしまったのかもしれませんし、自分の過去や欠点を知られて「嫌われる」という不安が大きくなったのかもしれません。
どのような原因があるにせよ、不安型ではなく、回避型の特徴が強く出たために、フェードアウトしたのです。
専門的な言い方をするなら、愛着行動システムが働き、「脱活性化方略」という戦略を採用したということです。
愛着行動システムとは?
人間は不安や孤独、ストレスを感じたときに、安心できる対象との距離をコントロールする仕組みを持っています。
これを発達心理学で「愛着行動システム」といいます。
たとえば、子どもが怖い思いをしたときに親のところへ走っていったり、大人でも、落ち込んだときに恋人や家族に連絡するのは、愛着行動システムが働くからです。
愛着行動システムは、必ずしも誰かに近づく行動として現れるわけではありません。対象と離れることが安心感につながることもあります。
恐れ回避型の心理
辛いことがあったとき、相手が受け入れてくれたと感じられれば、適切な距離感を保ちながら相談したり、アドバイスをもらって安心することができます。
これは愛着システムの第一段階の発動だけで、解決したということです。
しかし、受け入れてもらえなかったり、受け入れられていないと感じてしまうと余計に不安が大きくなり、第二段階が発動します。
第二段階がどう発動されるかは、人によって変わります。
不安型の人は、「過活性化方略」という方法を採用します。これは、さらに近づくことで支援を得ようとする戦略です。
回避型の人は、「脱活性化方略」を採用します。これ以上近づいても無駄、または危険と判断し、愛着欲求を否認し、他者に頼らず自分だけで対処しようとする戦略です。
恐れ回避型の場合、どちらの戦略を採用するかは人によって違いますが、フェードアウトしたということは「脱活性化方略」を採用したということです。
つまり、あなたに受け入れられていないと感じ、回避型の特徴が強く出ている状態です。
なぜ恐れ回避型はフェードアウトするのか?
回避型の特徴が強く出ると、恐れ回避型はフェードアウトします。
LINEを無視したり、ブロックしたりするのです。
カンザス大学のタラ・コリンズ博士らが、18~65歳(平均年齢21歳)までを対象に、愛着と別れ方の関係を分析した調査があります。
この調査によると、回避傾向のある人が恋人と別れるとき、直接会って話すよりも、連絡を無視したり、予定を入れなくするといったフェードアウト型の方法を選びやすいことが分かっています。
また、恋人ではなく、友達などの第三者に別れたい気持ちをほのめかし、恋人に伝わることを期待する場合もあります。
なぜ、こうしたフェードアウト型の別れ方を選択するのでしょうか?
それは、「別れたい」と直接言ったときに、恋人が悲しんだり、理由を聞いてきたり、引き止めてくることを恐れているからです。
これは回避型にとって、大きな負担です。相手の感情に巻き込まれたり、自分の感情を説明する必要が出てくるからです。
こうした負担を避けるために、愛情表現を減らす、会う回数を減らす、LINEをブロックするなどの方法で関係を少しずつ弱めていくのです。
フェードアウトして「もう戻らない」と思っている
恐れ回避型がフェードアウトしたとき、どう思っているのでしょうか?
これは「もう戻らない」と思っている可能性が高いです。
なぜなら、あなたを運命の人ではなかったと思っているからです。
恐れ回避型は「運命の人」を信じている
恐れ回避型というのは、親密な関係を強く求める一方で、近づきすぎることを怖がって避けてしまうものです。
言い換えれば、異性を求めるときは不安型の特徴が、別れるときは回避型の特徴が出るのです。
恋愛関係の捉え方には「運命信念」と「成長信念」の2種類あります。
- 運命信念:恋愛がうまくいく運命の相手は最初から決まっている。又はソウルメイトが存在するという考え方
- 成長信念:恋愛はお互いの努力、対話で発展・改善できる。運命の人は「出会う」のではなく「なる」ものという考え方
不安型は、運命信念を持ちやすいです。
この記事を読んでいるあなたは、不安型の傾向が強いと思いますので、理解しやすいはずです。
出会ったばかりの頃は相手のことを「運命の人」と思ったのではないでしょうか?
この人と一緒にいることで、自分は変われる、救われると。
恐れ回避型の人も、出会った頃はそう思っていたのです。運命信念を持っていたのです。
なぜなら、求めるときは不安型の傾向が出るからです。
恐れ回避型とゴースティング
運命信念を持つ人は、「やっぱり違ったかも」と感じると、恋人に対して急激に冷めます。
あなたが不安型なら、この感覚は理解しにくいかもしれません。
しかし、恐れ回避型は、「運命の人」の魔法が解けます。なぜなら別れるときは、回避型は安定型以上にあっさりしているからです。
そして、フェードアウトしていくのですが、ことのきに「仕方なかった」と思っている可能性が高いです。
連絡を無視したり、LINEをブロックしたりすることを、英語では「ゴースティング」と言います。ゴースト(幽霊)のように急にいなくなってしまうことが由来です。
社会心理学者のギリ・フリードマン博士らが、恋愛関係の捉え方と、ゴースティングについて調べた研究があります。
約1,300人以上を対象に、運命信念を持つか、成長信念を持つかと、別れるときにどんな方法を使うかを調べたものです。
この研究によると、運命信念を持つ人ほど、ゴースティングする可能性が高いことが分かりました。
運命信念を持つ人ほど、相手を「合わない」と判断すると、関係修復の努力や、別れ話は無意味と考えるからです。
ここまでの説明から、恐れ回避型がフェードアウトする理由は、精神的な負担を感じることと、別れ話を無意味と評価していることだと、理解してもらえたと思います。
本当に恐れ回避型は戻ってこない?
運命を信じている人は、恋人が運命の相手ではなかったと判断すると、さっさと見切って次の相手を探しにいきます。
なぜなら、運命の相手は最初から決まっているものなので、違う場合にはどれだけ長く一緒にいても運命の人になることはないと思っているからです。
というと、あなたが恐れ回避型の元彼にフェードアウトされている場合には、ショックを受けるかもしれません。
しかし、恐れ回避型が戻ってこないということはありません。
相談に来ている人でも、LINEを既読無視されたり、ブロックされたりしている人もいますが、その後に連絡が来るパターンも多いです。
数週間だけブロックして、その後に何ごともなかったかのように連絡してくる恐れ回避型もいます。
なぜこのようなことが起こるかというと、恐れ回避型の感情は循環するからです。
フェードアウトしたときは、もう二度と戻ることはないと思っていても、しばらくすると「やっぱり元彼が特別な存在だった」と思うのです。
ですから、そのタイミングで再びLINEをしたり、SNSに反応をしたりするのです。
これは、恐れ回避型に限らず、不安定な愛着を持っている人すべてに該当することです。感情が安定していないので、そのときによって離れたくなったり、依存したくなったりするのです。
恐れ回避型にフェードアウトされても、すぐに追い込みをかけてはいけません。まずは感情のサイクルの、どの位置にいるのかを見極めることが必要です。
少なくともLINEをブロックした直後は、「運命の人じゃなかった」と思っているサイクルにいる可能性が高いです。
- Collins, T. J., & Gillath, O. (2012).Attachment, breakup strategies, and associated outcomes: The effects of security enhancement on the selection of breakup strategies.
- Freedman, G., Powell, D. N., Le, B., & Williams, K. D. (2018).Ghosting and destiny: Implicit theories of relationships predict beliefs about ghosting.

