アダルトチルドレンの女性は彼氏からどんなに愛情表現をされていても「近いうちに別れが訪れるに違いない」という恐怖を抱えてしまうことがあります。
このようにアダルトチルドレンが別れを怖いと思うのは不安定な愛着のせいです。
不安定な愛着を持っていると自分に自信が持てず、恋愛関係の質が下がるので、見捨てられ不安を持ってしまうのです。(参考:見捨てられ不安の原因と克服方法)
自分に自信が持てないから「彼氏も私を低評価している」と思い込む
不安型の愛着スタイルを持っている人は恋愛関係の質が低い、ということは複数の心理学研究でも判明しています。
自分に自信が持てないので「彼氏も同じように自分を評価するだろう」と決めつけて勝手に不安になってしまうのです。
すると彼氏の些細な言動も大袈裟に受け止めて心がザワついてしまうのです。
そして「いつか見捨てられる」という別れの恐怖を抱くのです。
愛着の問題と恋愛関係の質に影響するもの
彼氏と別れることを怖いと思っているアダルトチルドレンはどうすれば良いのでしょうか?
カンタベリー・クライスト・チャーチ大学のO.C.ボルト博士らの研究があります。
この研究によると愛着の問題と恋愛関係の質はセルフ・コンパッションによって媒介されることが分かっています。
つまり愛着に問題を抱えたアダルトチルドレンでも適切なセルフ・コンパッションが出来ているかどうかで、恋愛関係の質も変わるということです。
セルフ・コンパッションとは
セルフ・コンパッションとは日本語にすると「自己への慈しみ」「自分への思いやり」などとなります。
とはいえ単に自分に優しくしましょうという単純なものではありません。
他にマインドフルネスや、苦しみを他の人も体験する普遍的なものと認識することなども含みます。
「compassion」には「哀れみ」という意味もありますがセルフ・コンパッションは「自己憐憫」という意味ではありません。
なので「なんて可哀そうな私」と自分を憐れむことはセルフ・コンパッションではありません。
セルフ・コンパッションの実践
具体的にセルフ・コンパッションをどう実践すれば良いのでしょうか?
方法は色々とあるのですが全て紹介するのは不可能です。
そこでセルフ・コンパッションがどれくらい出来ているかを調べる「Self-Compassion Scale」という尺度があるのですが、その内容を参考に実践できる内容をいくつか紹介します。
- 辛いことや困難に遭遇したとき他の人にも起こり得ることだと理解する
- 気分が落ち込んだとき世界には同じように落ち込んでいる人が大勢いることを忘れない
- 何か起こったとき偏った感情による判断をせず公平な目線で判断する
- 自分の短所や性格の嫌いな部分を理解し寛容になる
上記の考えが出来ているかを確認することでセルフ・コンパッションを高めることができます。
すると恋愛関係の質が高まり、別れが怖いという感情を抑えることにもつながるはずです。
⇒彼女に興味がない彼氏は回避型。ストレスで余計に興味を持てなくなる
参考文献
・Bolt, O. C., Jones, F. W., Rudaz, M., Ledermann, T. and Irons, C. (2019) Selfcompassion and compassion towards one’s partner mediate the negative association between insecure attachment and relationship quality. Journal of Relationships Research, 10.
・KRISTIN D. NEFF. The Development and Validation of a Scale to Measure Self-Compassion. Self and Identity, 2: 223–250, 2003.