共依存の恋愛における離脱症状の特徴と抜け出すために知ってほしいこと

カウンセリング予約
アダルトチルドレン、恋愛依存症、回避依存症、共依存、愛着障害の相談・カウンセリングを行っております。
対面・オンライン・電話で対応いたしております。

共依存は恋人や、親子、友人といった関係で起こります。

そしてその不健全な関係を解消しようとするとき、離脱症状が起こることがあります。

私のカウンセリングの経験では共依存に「恋愛」が入ってくると離脱症状が起こることが多いように思います。

それに対し、親子や友人間での共依存では離脱症状はほとんど起こりません。それに似たイライラした感情などが起こることはありますが…。

なので今回は共依存の恋愛関係が解消されたときの離脱症状について説明します。

共依存の恋愛における離脱症状の特徴

共依存の離脱症状といっても、物質依存の離脱症状のように幻覚が見えたり痙攣が起こるわけではありません。

感情が高ぶり震えることはありますが身体反応が起こることは稀です。

共依存の恋愛における離脱症状とは次のようなものです。

強い感情の発生

共依存状態だった恋人と離れることで強い感情体験がずっと続きます。

寂しさや苦しみ、喪失感の他、怒りや、イライラした感情が発生することもあります。

他のことで気分を紛らわせようとしても別れた恋人のことしか考えることが出来ないため感情の高ぶりが治まりません。

相手を壊したいという欲求

全員ではありませんが、決して少なくはない共依存症者が別れた恋人に復讐したいという感情を持つことがあります。

相手の体や持ち物など全てを破壊したいという気持ちが強くなりすぎ実際に行動に移す人もいます。(相手だけではなく自分を含む何もかもを破壊したいという人もいます)

しかしだからといって元恋人を嫌いになったとは限りません。ヨリを戻すことで落ち着く人もいます。

復縁しなければという強迫観念

多くの共依存の恋愛関係の終わりに発生するのが「復縁しなければ」という強迫的ともいえる思考です。

復縁しなければ自分を取り戻すことが出来ない、ダメになってしまうという勘違いがそう思わせます。

相手を取り戻すことだけが唯一の解決策であると錯覚してしまっているのです。

何もかもどうでもよくなり衝動的に行動する

不安や怒りが限界を超えると何もかもどうでも良くなってしまい衝動的な行動に走ることがあります。

行きずりの相手と関係を持ったり、お金を無駄遣いすることもあります。

以上が代表的な共依存の離脱症状ですが人によって反応は様々です。

なぜ離脱症状が起こるのか?

なぜ共依存の離脱症状は起こるのでしょうか?

これには共依存の恋愛サイクルが関係しています。

共依存に陥りやすい人は恋愛の初期(出会いから付き合い立ての頃)に強い高揚感を得ます。

「この人こそ私が探し求めていた運命の人だわ」と思い込み、一緒にいることで本当の自分を取り戻したような感覚を得ます。これは違法な薬物を摂取したときと同じようなものです。

そして人間の脳は一度でもこういったものを味わってしまうと、それに依存し、それが失われると理性を保てなくなるのです。
(専門的な言い方をするなら神経伝達物質の分泌のされ方が変化してしまうということです)

アルコールや薬物ほどではないにしろ共依存の恋愛においてもこのようなメカニズムが働くため離脱症状が起こるのです。

離脱症状を体験すると多くの人が元恋人との関係を復活させようとします。そしてさらに酷い共依存へと陥っていくのです。

カンザス州立大学のアンバー・ヴェナム博士らが1,000人以上を対象に行った研究では別れと復縁のサイクルは一度そこに入り込むと、その後も繰り返しやすいことが分かっています。

このような負のサイクルを繰り返すことがより辛い離脱症状を引き起こすのです。

離脱症状から抜け出すことはできるのか?

カウンセリングで「共依存の恋愛による離脱症状は起こらないようになります」という話をしてもほとんどの人は信じてくれません。

なぜなら未来の自分を信じることが出来ないからです。

離脱症状が起こっているときの感情は強烈なものですから、その状態のときに自分の心が変わると言われても信じられないのは仕方のないことです。

しかし変われるのです。

なぜなら人間の脳には可塑性(外圧を取り除いても変化した状態がそのまま継続する性質)があるといくつもの研究で分かっているからです。

なぜあなたは自分が変われないと思うのか?(歴史の終わり幻想)

「本当のあなたはいつのあなたですか?」と聞かれれば、ほとんどの人が「今の自分」と答えます。

なぜこのように答えるかというと、人間には「自分は既に完成している」という思い込みがあるからです。

私たちが立っている場所は自分の人生の時間軸における一番最後の時点です。そのため自分が変化の途中にいるということを意識しにくいのです。

ハーバード大学のダニエル・ギルバート博士たちが19,000人以上を対象に行った研究でも、人間は過去の変化より未来の変化を小さく見積もるということが分かっています。

これを「歴史の終わり幻想(The End of History Illusion)」といいます。

共依存の恋愛に陥り、離脱症状に苦しむ今のあなたは本当のあなたではないのです。

人間は変わろうとしなくても変わるのですから、変わろうと意識すればより大きく変われます。それも良い方向にです。

参考文献
・Amber Vennum, Rachel Lindstrom, J. Kale Monk, Rebekah Adams. “It’s complicated:” the continuity and correlates of cycling in cohabiting and marital relationships. Journal of Social and Personal Relationships Volume 31 Issue 3, May 2014.
・Jordi Quoidbach, Daniel T. Gilbert, Timothy D. Wilson. The End of History Illusion. january 2013 Science 339(6115):96-8.