毒親の呪縛から逃れるための対処法はいくつかあります。
代表的なものとして許す、仕返しする、絶縁するなどが挙げられます。
和解して許すことが正しいように思われますが現実はそんな綺麗事では解決できません。
完全に関係を切ってしまう絶縁が最も効果的なこともあります。
絶縁することで幸せになる
自分や家族にとって害悪にしかならない毒親なら絶縁しても良いのです。
それによって幸せな人生を手に入れたという人は大勢います。
話しても永遠に分からない人間というのは存在するのです。
世の中の全員が話せば分かる人ならテロや犯罪は起こりません。
毒親の要求に応えたり関係修復のためにに時間を使うということは大切な人といるべき時間を減らしているということです。
仮にまだあなたが大切な人と出会っていなかったとしても未来の時間を減らしているのです。
親と絶縁するということについて抵抗を感じる人もいるでしょう。
しかし自分の意思で毒親の元に生まれたわけではないのですからいつでも抜け出す権利はあるのです。
日本語で「生まれる」というと分かりにくいですが英語で書くと「I was born」です。
つまり受け身なのです。あなたには何の責任もないことです。
親と過ごした時間というのはせいぜい20年前後です。その後の人生の方がはるかに長いのです。
人生のほんの一時のしがらみにとらわれて残りの何十年を過ごす必要はありません。
絶縁よりも和解のほうが正しい解決策ということはありません。
毒親への対処方法は全て並列の関係です。人によって最適解は異なるのです。
許そうとすると余計に苦しむ
毒親育ちで悩んでいる人に「親を許すことで解放される」とアドバイスする人がいます。
確かにそれで心が軽くなるという人もいます。
しかしそれは親が罪悪感を持って心からの謝罪をするという前提があってのことです。
それでも憎しみが消えず許せない人はたくさんいます。
毒親の場合は自分自身も毒親育ちであるケースが多いです。
なので「お母さんも大変だったんだね」と許してあげなさいと言われることもあります。
しかし世の中には自分が虐待されて育ったからこそ子供には同じ思いをさせないと誓い負の世代間連鎖を断ち切る人もたくさんいるのです。
自分が虐待されたからといって子供にも同じことをして良い理由にはなりません。
毒親でも許さなければと考えるのは非常に危険です。
許そうと決めても心のどこかに怒りや憎しみがこみ上げてくると自分を責めることになります。
親を許せない自分は心が狭かったのだろうか?自分が悪いのだろうか?と考えて苦しむのです。
許すという行為は毒親育ちを克服するために必ずしも必要なステップではありません。
数あるオプションの一つです。
許せなくても全く気にする必要はないのです。
毒親の謝罪は本心とは限らない
毒親が今までのことを懺悔しながら許しを請いそれを娘が許す。
そして二人で泣きながら抱き合う。
道徳の教科書的には素晴らしい結末かもしれません。
しかし毒親育ちの克服方法としてはこのパターンで大団円というケースは稀です。
親子の確執を解決する方法としてこういった美しい形が正解のような空気が蔓延しています。
なぜなら商業主義によってつくられた「感動したい病」が流行しているからです。
親が泣いて謝ったからといって本当に反省しているとは限りません。
むしろ「涙ながらに子供に謝罪している自分ステキ!」と一時的な感動に浸っているだけかもしれません。
特に外面の良い毒親は自分に酔う傾向があるので注意しましょう。
謝罪についてはそれが本心なのかしっかりと見極める必要があります。
その時だけではなくその後の行動も見て判断しましょう。
たった一回の謝罪で今までの事がチャラになるわけではないのです。
それを理解しているのかどうかを確認しなければなりません。
仕返しは悪いことではない
仕返しや復讐を否定する人がいます。
何も生み出さないし自分が虚しくなるだけだからと言ったりします。
果たしてそこにエビデンス(科学的根拠)はあるのでしょうか?
自分が攻撃されたら復讐したくなるのは自然な感情ですから否定する必要はありません。
最近読んだ論文では人間は自分が損をしてでも仕返しをしたいと思うことがあると書いてありました。
毒親に仕返しをしたときにどのような感情を持つかは人によって異なります。
気持ちが晴れたという人もいれば余計に落ち込んだという人もいます。
何も感じなかったという人もいます。
私は微表情(顔の筋肉の些細な動き)からある程度は心理を読むことができるのですが穏やかそうな雰囲気を演じながら「人を憎んではいけない」と言っている人ほどキレやすい気がします。
何か指摘すると1秒未満の短時間ですが怒りの表情が見えるのです。
普段無理に感情を抑えつけているから出てしまうのでしょう。
自分の中に湧き上がる憎しみの感情を否定する必要はありません。誰にでもあるものです。
ただし憎しみが連鎖されやすいのは事実です。
ですから中途半端に仕返しするならしない方が良いです。
やるなら反撃する気も起きないくらいに徹底しなければなりません。もちろん法律の範囲内においてです。
法律上の親子の縁は切れない
毒親と絶縁したとしても法律上のつながりまで切ることはできません。
実の親子の縁を切るという法的な手続きは存在しないからです。
ここで問題となるのは相続と扶養義務です。
親が借金を残して死んだら相続放棄をしなければそれを引き継がなければなりません。
あなたが先に死んだとしても子供がいなければ親には相続の権利が発生します。
結婚していて子供がいない場合はあなたの死後に配偶者に迷惑を掛ける可能性があります。
配偶者とあなたの毒親に相続権があるため話し合いの必要が生じるかもしれないからです。
また親の生活が苦しい場合には出来る範囲で助けなければならないと民法877条に規定されています。
この扶養義務をもとに親が訴訟をすることもできます。
ただし過去に虐待などの事実があればこれを拒否できることもあります。この場合親の財産を相続できなくなります。
親子関係に関する法律については他にも細かい規定がいくつかあります。絶縁する前に調べておいた方が良いでしょう。