仕事でミスしたときに生きた心地がしない原因と対処法

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仕事をしていると、思わぬ失敗や計画の遅延など、さまざまなことが起こり得ます。

こうした失敗を経験すると落ち込んだり、動揺したりするのは自然なことですが、中には生きた心地がしないほどの恐怖を感じる人もいます。

こうした恐怖感は、ミスに対処するための次の行動をためらわせたり、萎縮したコミュニケーションを招き、個人や組織全体に悪影響を及ぼします。

そもそも、どうして仕事のミスをきっかけに、これほどまでに強い恐怖心を持ってしまうのでしょうか?

今回は、その原因や対策を、心理学的な知見を踏まえながら説明します。

仕事でミスしたとき生きた心地がしない人の心理的な特徴

同じようなミスをしても、冷静に受け止められる人と、強い恐怖に飲み込まれてしまう人がいます。

これは、性格の弱さや気合いの問題ではありません。

背景には、思考パターンや自己評価のあり方、失敗に対する捉え方など、いくつかの心理的要因が関係しています。

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

1. 回避志向が強い思考パターン

人間のモチベーションには良い成果を出したいという「接近目標」と、失敗を避けたいという「回避目標」の二つの方向性があります。

接近目標を軸に行動している人は、たとえミスをしても、「それを学びに変えて成功に近づこう」と比較的ポジティブに捉えることができます。

一方、回避目標が強い人は「とにかく失敗してはいけない」「批判を受けるなんて絶対にいやだ」という心理が強く、常にミスをしないよう神経を張り詰めている状態になっています。

このような回避志向が強いと、何らかのミスが生じたときに、「避けきれなかった」というショックが非常に大きくなります。

失敗を「絶対に防ぐべきもの」とみなしていた分だけ、実際に失敗したときに「これ以上ない不名誉」「人生やキャリアに大きな傷がついた」と感じやすくなるのです。

また、回避目標が強いほど常に自分を守りたいという意識を持って仕事をしており、失敗をきっかけにさらに自己防衛を強めようとします。

その結果、周囲への相談や失敗要因の共有を怠り、かえって状況を悪化させることもあります。

2. 自尊感情や自己効力感の不安定さ

仕事でミスをしたときに、生きた心地がしないという人は、自分自身の評価が他者の意見に左右されやすいです。

心理学でいう、自尊感情や自己効力感が不安定な状態です。

自尊感情とは自分の価値や存在意義をどう感じているかを示す概念で、自己効力感とは「自分はこの課題をうまくこなせる」という確信です。

どちらも、失敗や批判から自分を守るクッションの役割を果たす大切なものですが、これらが脆弱な人の場合、ミスをしたときに「自分の価値そのものが否定された」と感じやすくなります。

ちょっとした失敗でも、「自分は能力がない」「自分はダメな人間だ」と極端に思い込むことが多くなるのです。

その背景には、幼少期の体験や、これまでの仕事上での失敗歴、他者からの顔色を強く気にする性格傾向など、さまざまな要因が絡んでいます。

また、自尊感情や自己効力感が低いと、自分のことを過小評価してしまいます。

そのため、ミスをした瞬間に「やはり自分は周囲より劣っている」と、自分の存在の弱さを実感しますから、恐怖感が芽生えやすくなるのです。

3. 失敗を個人の本質的欠点とみなす認知の歪み

失敗やミスというのは多くの場合、個人の能力不足だけでなく、外部環境や運、チームの協力体制など、複数の要因が重なって起きるものです。

しかし、一部の人は失敗を「自分の欠陥だけが原因」と極端に捉えます。

たとえ、プロジェクト全体の不備や予算不足、期限の厳しさなどが影響していたとしても、「自分がダメだから失敗した」と考えてしまうのです。

このような認知の歪みは、自分の行動や努力ではどうにもならない、「固定された欠陥」を抱えていると思い込むことにつながり、それが生存の危機とさえ認識され、生きた心地がしなくなることがあるのです。

失敗を個人的資質の欠陥とみなしやすい人ほど、失敗による恐怖心を感じやすくなることは、ペンシルバニ州立大学のデビッド・コンロイ教授らの研究でも分かっています。

4. 完璧主義

完璧主義的な考え方をもつ人は、「常に100点でいなければならない」「1つのミスも許されない」という厳しい基準を持っていることが多いです。

そのため、わずかな誤りが生じただけでも、「完全に失敗した」と極端に落ち込んでしまい、恐怖や不安に支配されてしまいます。

また、完璧主義者ほど自分の欠点やミスを人に知られたくない、という思いが強くなるため、ミスを指摘されそうな場面で強い恐怖を抱きます。

どうすればミスの恐怖心を克服できるのか?

仕事でのミスに対する恐れを克服するには、いくつかの具体的な方法があります。

これらの方法を実践することで、不安を軽減し、より前向きな姿勢で仕事に取り組むことができるようになります。

1. 失敗を客観的に見直す

まず、大切なのは失敗を客観視することです。

ミスをした直後は、どうしても感情的になりやすく、「大変なことをしてしまった」と自分を責めてしまうことが多いものです。

しかし、そのまま感情に流されてしまうと、正しい判断ができなくなります。

一歩引いて冷静に、「このミスが本当に致命的かどうか」を考えてみましょう。多くの場合、自分が想像しているほど深刻な問題ではありません。

ミスの内容を具体的に把握し、その影響範囲を整理することで、必要な対応も見えてきます。

また、過去の経験を振り返り、「同じような失敗を乗り越えたことがある」と思い出すのも効果的です。

客観的な視点を持つことで、冷静に次の一歩を踏み出せるようになります。

2. 自己評価を見直す

自己評価を見直すことも重要です。

仕事でミスをしたときに、自分を責めすぎる傾向がある人は、「ミスは成長の一部である」という考えを取り入れてみましょう。

すべての成功者が、最初から完璧だったわけではありません。むしろ多くの失敗を経験し、そのたびに改善を重ねて成長しているのです。

ミスを自己否定の材料にするのではなく、「今後どのように改善すればよいか」を考えるきっかけにしましょう。

また、ポジティブな面にも目を向けることが大切です。

これまでの成功体験を振り返り、自分が持つスキルや強みを再確認するのです。失敗した後でも行動する姿勢が、最終的には自信へとつながります。

3. 周囲とオープンに話す

周囲とオープンに話すことも、非常に効果的です。

ミスをしてしまったとき、多くの人は「隠したい」「ばれたくない」という気持ちになります。

しかし、ミスを隠すことで、事態が悪化してしまうケースも少なくありません。周囲の信頼を取り戻すためには、素直に正直に伝えることが大切です。

ミスの内容や原因、今後の改善策を冷静に説明することで、周囲はあなたの誠意を感じます。

特に上司や同僚にサポートを求めることは、自分の成長にもつながります。

「ミスを認めるのは恥ずかしいことではなく、次への成長の一歩」と捉えましょう。

参考文献
  • Conroy, D. E., Willow, J. P., & Metzler, J. N. (2002).Multidimensional fear of failure measurement: The Performance Failure Appraisal Inventory.