自己中な母親に振り回された娘は、成人後に感情がコントロールできない

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あなたは、不安や怒りに飲み込まれやすいタイプでしょうか?

少し否定されただけで傷ついたり、涙が出たり、急に怒りがわいたりすることはないでしょうか?

もし、そうなら、原因は自己中な母親に振り回され続けたことにあるかもしれません。

それによって、エモーショナル・バランスが失われているのです。

エモーショナル・バランスとは

エモーショナル・バランスとは、自分の感情を適切に扱う能力のことです。

日本語でいうと、「感情的な平衡力」とでもいったところです。

エモーショナル・バランスがある人は、自分の中に沸き起こる感情を落ち着いて受け止め、調整することができます。

たとえば、不安や怒りを感じたときに、感情に飲み込まれず、自分を落ち着かせることができるのです。

対人関係においても、適切な距離を見極めることができます。意見が衝突したときでも、適切に自分の主張を伝えることができます。

反対に、エモーショナル・バランスが失われていると、ちょっとしたことで感情が乱れたり、相手の顔色をうかがいすぎて何も言えなくなったりします。

そうした状況がフラストレーションを溜め、どこかで怒りを爆発させてしまうこともあります。そして、その後に自己嫌悪に陥ったりもするのです。

自己中な母親が娘に与える影響

母親の自己中心性が、娘にどんな影響を与えるか調べた、キング・ファイサル大学のチームによる研究があります。

この研究では、18歳から24歳までの女性416名を対象に、母親の自己中さをどう認識しているかと、本人のエモーショナル・バランスを分析しました。

母親の自己中さとは、具体的に次のようなことです。いわゆる自己愛傾向です。

  • 支配性:娘を自分の思い通りに動かそうとする
  • 嫉妬:娘の成功や注目に対して張り合ったり、不快感を示す
  • 傲慢さ:自分の考えが正しいと思い、娘の意見を軽視
  • 優越感:自分は特別で、他の人より上だと感じている
  • 易怒性:思い通りにならないとすぐ感情的になり怒る
  • 搾取性:娘を自分の都合や満足のために利用する
  • 特権意識:自分は特別扱いされて当然だと思う
  • 不寛容:娘の失敗、反論を受け入れない
  • 自己充足性:自分は一人で十分やっていけると考えている

これらのデータを検証したところ、自己中な母親がいる女性ほど、エモーショナル・バランスが低いことが分かりました。

特に影響が大きかったのは、母親の「不寛容」と「搾取性」でした。

つまり、娘を受け入れなかったり、利用するタイプの母親に育てられた女性は、自分の感情を落ち着かせたり、人間関係の中で意見を適切に表現しにくくなってしまう傾向があるということです。

なぜ自己中な母親のせいでエモーショナル・バランスを失うのか

なぜ、このようなことになるのでしょうか?

それは、自己中な母親のもとで育った娘は、「安心して感情を出す経験」を持てないからです。

本来、子どもは母親との関わりの中で、「悲しいときは慰めてもらえる」「怖いときは助けてもらえる」「怒っても嫌われない」といった経験を重ねながら、少しずつ感情の扱い方を学んでいきます。

それによって、ちょっとしたことでは動じないエモーショナル・バランスを育てるのです。つまり、親との関係は、感情を調整する力の土台になるものなのです。

しかし、自己中な母親は、娘の感情よりも自分の都合や機嫌を優先するため、娘の気持ちを否定したり、無視したり、批判したりします。

たとえば、「そんなことで泣かないの」「お母さんの方が辛い」などの言葉を投げかけるのです。すると娘は「自分の感情は受け入れてもらえないのだ」と学習してしまいます。

そして、自分の感情を抑え込み、母親の顔色をうかがうようになります。怒られないように振る舞うことが優先になり、「自分が何を感じているのか」がわからなくなってしまうのです。

この状態が長く続くと、大人になってからも、自分の感情が分からず、うまくコントロールできなくなるのです。

何歳になっても母親に振り回され続ける

自己中な母親に育てられた女性は、「さんざん振り回され、迷惑を掛けられて、もう懲り懲りです」と言います。

しかし、それでもまだ、母親に振り回さ続けているという人も少なくありません。30歳になっても、40歳になっても関係性が変化しないのです。

なぜなら、子どものころに身についた反応が、大人になっても自動的に働いてしまうからです。

そして、母親の機嫌が悪いと不安になったり、何か頼まれると断りたいのに断れないといった事態に陥るのです。

成人して経済的・物理的には自立していても、心理的には母親の言葉や態度に強く揺さぶられてしまうのです。

特に、自己中心的な母親は、娘が距離を取ろうとすると、「親不孝」「冷たい」「育ててやったのに」と罪悪感を刺激しながら責めてきます。

すると娘は、自分を守るために距離を置きたい気持ちと、母親を見捨ててはいけないという思いの間で苦しくなります。

ここで見捨てられる娘は滅多にいませんから、いつまでも振り回され続けるのです。

母親に会ったあとにどっと疲れたり、母親の一言で何日も落ち込むことが分かっていても、そこから抜け出せないのです。

子供の頃に身に着けた反応というのは、それくらい強いものなのです。

母親を変えようとしない

母親に振り回されてきた人ほど、「母親をどうにかしなければ」と考えます。

分かってもらおうとする。反省してもらおうとする。いつか謝ってくれるのではないかと期待する。

こうした期待が強いということは、心がまだ母親に縛られているということです。

自分の心を変えるのに、母親の心は関係ありません。

母親が反省しなくても、謝らなくても、あなたは自分の感情を整えていくことができます。

必要なのは、母親を説得することではありません。母親の反応と、自分の感情を切り分けることです。

母親の機嫌が悪くても、自分の責任だと決めつけない。

嫌な頼みごとは、その場で引き受けない。

傷つくことを言われたら、無理に聞き続けない。

こうした小さな線引きが、自分の心を守る練習になります。

母親の感情を背負うことは、愛情ではありません。あなたは、母親の機嫌を取るために生きているわけではないのです。

エモーショナル・バランスを取り戻すとは、感情を揺さぶられても、少しずつ自分の中心に戻れるようになることです。そこに他人は関係ありません。

参考文献
  • E. Alnashmi, H.M. Alboray. (2025).The narcissistic personalities of mothers as perceived by their daughters and its relationship to emotional balance among female students at King Faisal University.