アダルトチルドレンの中でも困りごとを持ち込んだり非行に走るタイプをスケープゴートと言います。
家族内に横たわる問題の原因が全てその子にあるように錯覚させるための生贄のような存在です。
病気がうれしかった思い出
幼い頃に自分が病気になると嬉しかったという人がいます。
いつもケンカしたり怒鳴りあう親がその時だけは優しくなるからです。
一番の思い出が入院しているときに両親が心配そうに自分を見ていたことだという人もいます。
スケープゴートの病気は家族の厄介事を一時的に保留することがあります。
そのため愛されている実感がなくても繋がりはできていると思えるのです。
一度この感覚をつかむとそのうち仮病を使ってみたり困りごとを持ち込むようになります。
元気でいるよりも弱々しい姿でいた方が良いのだと思い始めるとやがて本当に心が暗くなるのです。
歪んだ自己主張
怒りの感情を表現することが許されない環境にいるとゆがんだ自己主張をすることがあります。
具体的には暴力、アルコール、薬物、リストカットなどが挙げられます。
これらは今まで親の顔色ばかり伺いながら過ごしたことへの反発なのです。
外国で書かれたアダルトチルドレンの本にはスケープゴートが非行に走るのは両親のトラブルを自分に向けさせる為と書いてあることがあります。
しかしそういった目的で行動を起こすタイプは稀です。多くは「自分がもめ事を起こせばどうにかなるだろう」という期待を持っていません。
スケープゴートが何かやらかした場合に全ての不都合の原因がその子にあると錯覚させることはできますが家庭内にあるいざこざが余計にこじれることの方が多いです。
そもそも機能不全の家庭で育ったアダルトチルドレンが非行を起こすとは限らないのです。もっと目立たない反応の方が多いのです。
愛情を計る
養子に出された子や下の兄弟が生まれた子がわざと親を困らせるような態度を取ることがあります。
これは親の愛情を計るために行われるもので「試し行動」と言われます。
(関連記事:愛着障害の試し行動は大人になっても続く)
スケープゴートタイプのアダルトチルドレンが大人になった時恋人に対してこれと同じことをしてしまうことがあります。
弱っている姿を見せたり嫌われるようなことをして心配させると同時に愛情を計っているのです。
このようなことをしてしまう原因は見捨てられることへの恐れです。
それを避けるために唯一できることが問題を起こして注目させるということなのです。
子供時代に相手の注意を向けさせることができた方法をいつまでも引きずってしまうのです。
※ここで説明した意味とは少し異なりますが、職場などで責任をなすりつけられたりイジメられたりしやすい人をスケープゴートと呼ぶこともあります。機能不全家族で育てられたことがそうなってしまう原因の一つでもあります。