父親か母親、場合によってはその両方が本来の役割を果たさない時にそれを代わりにやるのがイネイブラーです。
世話役、支え役と呼ばれることもあります。
料理や洗濯、下の子の面倒を見たりします。
ただでさえ壊れている家族がそれ以上に酷くなることを恐れているのです。
アダルトチルドレンに限らず人間というのは日常の安定が続かないリスクに大きな不安を抱くのです。
安定した家庭を維持することは親の役割ですがその責任が果たされない時に子供が代役を果たすのです。
精神的近親姦
イネイブラーは親の代わりだけではなく配偶者の代わりをすることもあります。
自分の配偶者が妻や夫としての役割を果たしてくれない場合にそれを子供に求めてしまう親がいるのです。
大人の判断するべき事柄まで相談することがあります。
心の拠り所を求めているのです。このような関係を精神的近親姦といいます。
この時に子供は負担だけではなく期待される心地良さを感じることがあります。
パートナーの役割を果たすことは肉体的な近親姦が行われてしまう危険も孕んでいます。
誰がその環境を作っているのか?
働きもしないアルコール依存症者がいます。彼らはなぜ収入がないのにお酒を飲みながら生きていけるのでしょうか?
それはそのままでいることを可能にする人がいるからです。大抵は妻や夫です。
なぜそんなことをしてしまうのでしょうか。
それは必要とされることと相手の生命の権利を握っていることに快感を覚えているからです。
機能不全の家族を支えているアダルトチルドレンも心のどこかで同じような心地良さを感じていることがあります。
そして支え役となることで機能不全家族がその状態でいることを許してしまうのです。
イネイブラーとは不健全な状態を「可能にする人(enabler)」でもあるのです。
抜けない不毛な習慣
小さな頃から家庭をまとめて引っ張ってきたイネイブラーは大人になってからも仕事などでリーダーのポジションにつくことがあります。
それと同時にプライベートの人間関係では世話が必要な相手をパートナーにしてしまうことがあります。
家庭で身につけた「自分を犠牲にしてでも人の面倒を見る習慣」とそれによって得られる「心地良さ」が世話の焼ける相手を欲してしまうからです。
精神や身体の虐待をする相手と離れられなくなることもあります。