気分一致効果:辛いことばかり思い出す理由

気分一致効果:辛いことばかり思い出す理由

あなたがいつも辛いことばかり思い出すというのなら実際に起こったことよりも自分の心理状態の影響が大きいのかもしれません。

人間は辛いときには辛いことを、楽しいときには楽しいことを思い出す心理を持っているのです。
これを心理学で「気分一致効果」といいます。

そしてこれが実際の人生で起こる事にも影響を与えるのです。

気分一致効果とは

気分一致効果とはそのときの気分と同じような記憶が想起されやすくなったり、覚えやすくなったりする心理のことです。
1985年にアメリカの社会心理学者アリスM.アイセンによって提唱されました。

具体例を挙げるなら遊園地で楽しい気分で遊んでいるときにはそれと類似した家族旅行の楽しい記憶などが思い出されやすくなるということです。
またアトラクションで長時間並ばされたという辛い体験よりも食事が美味しかったなどのポジティブな体験の方が記憶されやすくなります。

なぜこのようなことが起こるかというとハッキリと特定はされていませんが脳内の感情をつかさどる扁桃体と記憶をつかさどる海馬がリンクしているためと考えられます。

気分一致効果は記憶だけではなく他人や物事への判断にも影響を及ぼします。

良いことがあったときには他人の良い面に気がつきやすくなります。
反対に辛いことがあったときは悪い面ばかり気になってしまうのです。

恋人と喧嘩してイライラしているときは全く関係のない第三者の些細なミスにもイラっとしてしまったりします。
職場で怒られて辛いときに無表情な人を見たら「あの人も落ち込んでいるのかな」と判断しやすくなります。

このように自分の現在の気分と一致する方向へと認知のバイアスがかかるのです。

気分一致効果の実験

アリスM.アイセンが気分一致効果を提唱するよりも前にスタンフォード大学のゴードン・バウアーによって感情と記憶のバイアスについての実験は行われています。

バウアーの実験では催眠誘導を用いて実験参加者の気分を楽しいものか悲しいものに振り分けました。
そして幸福なストーリーと不幸なストーリーを読ませます。

翌日その内容について思い出してもらいます。
すると楽しい気分に誘導された参加者は幸福なストーリーについて、悲しい気分に誘導された参加者は不幸なストーリーについてよく覚えていたのです。

またこれは気分一致効果についての実験ではありませんがカナダのウォータールー大学の実験では不安障害を持つ人はハッピーエンドのストーリーを記憶し難いという結果も出ています。

辛いことばかり起こるのはなぜか?

あなたに辛いことばかり起こるのはなぜでしょうか?
それはあなたがそう思い込んでいるからです。

確かに元々の環境や生まれ持った能力などによってスタートの状態は全員が違います。
しかし何年も辛いことばかり起こるというのは自分の思考の影響も大きいのです。

自分は不幸な人間と思っているから気分一致効果によりマイナスの出来事ばかり思い出し確信を強めるということを繰り返すのです。

それだけではなく不幸になるための情報ばかりに注目し記憶します。

それが行動に影響し自分から辛いことに近づいてしまうのです。

人生を変えるにはどうすれば良いか?

あなたが今の人生を変えて幸せになりたいのならまずは楽しいことを思い出す習慣を身につけることです。
辛いときに気分一致効果が起こってしまった場合にも意識して他の思考に切り替えるのです。

楽しいことがないという人も物事をポジティブに捉える習慣をつけるのです。
なぜなら楽しいことに繋がりそうな情報に目が向きそれを記憶しやすくなるからです。

すると意識が変わり行動が変わるので人生が変わります。

私たち一般人は手に入れられる情報に大きな差はありません。
それにも関わらず幸せな人と不幸な人がいます。

この違いはどの情報に注目するかの違いです。
悪い情報にばかり注目していればモチベーションも上がらないので行動できないのです。

気分一致効果は意思決定にも影響します。
いつも辛いことばかり考えているとそうなるような選択を無意識にしてしまうこともあるのです。

類似性の法則

付き合う相手も考えなければなりません。

人間には類似性の法則といって同じような人と引き合う習性があります。
これはカフェや電車の中で友達グループを観察していれば分かります。皆同じ雰囲気を持った人同士で一緒にいるのです。

ネガティブな雰囲気の人の周りには同じような人が集まります。
またこういった人々は自分と同じかそれよりも下の立場の人間と一緒にいることで心の安定が保とうとします。
その中で悪い空気を熟成させるので余計に幸せが逃げていくのです。

足を引っ張り合う人と惰性で付き合い続けていても何も変わらないのです。

物事の良い面を見るクセをつけてください。
そうすればポジティブな人が集まってきます。

最も頻繁に会う5人の平均があなたの年収になると言われることがあります。
幸せについても同じことが言えるのです。

いつも一緒にいる人たちの幸せの平均があなたの幸せのレベルです。

参考文献:
Mia Rmano, et al. (2019). Social anxiety is associated with impaired memory for imagined social events with positive outcomes.
Gordon H. Bower. (1981). Mood and Memory.

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