ロストワン(失われた子供)|ACの種類

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ロストワンとは過酷な家庭環境を生き抜くために自分の存在を消していたアダルトチルドレンのことです。

家族が集まっているときでもいつの間にかいなくなったりしますがそのことに誰も違和感を覚えません。

失われた子、ロストチャイルドなどと言われることもあります。

相手の顔色を伺いすぎたり空気を読みすぎるという特徴も持っています。

アダルトチルドレン(AC)のタイプと役割の一覧

感情と期待を持たないことにした

常に緊張状態で些細な刺激で夫婦喧嘩や暴力が始まるような家庭環境にいるロストワンは感情を表出しません。

家族の中に波風が立ち自分や他の誰かが攻撃されるからです。

それだけでなく傷つかないために自分の存在を消すことさえします。

アダルトチルドレンが嵐のような家庭環境の中で生き抜くために唯一できることが自分の存在を消すことだったのです。

また問題を抱えた父親とそれを支える母親といった共依存状態の両親を持ってしまうと自分の気持ちを通すことに罪悪感を覚えることもあります。

家族が大変なときに自分が迷惑を掛けてはいけないという誤った認識を持つからです。

少しでも迷惑を掛けないようにするため言いたいことも言わずに部屋に閉じこもるのです。

そして親もそれに甘えるため存在しないような扱いとなってしまうのです。

これとは反対に自分に注目して欲しいと思って存在を消すこともあります。

他の兄弟姉妹が問題を抱えていてそちらばかり注目されていると最初は注目を引くような行動をとります。

そしてそれが叶わないときに存在を消すことで注意を引こうとすることがあるのです。

それも叶わないとやがて諦めてさらに家族と距離を置きます。このとき子供は家族に期待することをやめます。

ロストワンは家族の中で孤立しやがて外出もせずに引篭もりになることもあります。

なぜ関係が成り立つのか?

ロストワンの程度にも差があり中には何年も親と口を利かなかったという人もいます。

このタイプの人は過去を振り返った時になぜ自分がそのような形で存在できたのか疑問に思うかもしれません。

子供がそこに存在しなければ親が何らかの行動をとるはずだからです。この行動には良いことだけではなく暴力なども含みます。

常に緊張を強いられる子供は夫婦喧嘩が始まったり険悪なムードを察知すると部屋に篭ります。そのうち何もなくても家族から距離を置くようになります。

やがて普段のコミュニケーションがなくなります。

何故親はこの状態を放置するのでしょうか?

それは親がアダルトチルドレンであるため家族の面倒を見る余裕が無いからです。

自分のことで精一杯なので子供の心のケアまでする余力がないのです。

潜在意識の一部では子供に自立して欲しいと思っているのです。子供に面倒を見て欲しいと思っていることさえあります。

ロストワンは存在を消すことで親を甘えさせてあげたともいえます。だからそこに自然に存在できたのです。

自分が存在を消した場合だけでなく親から無視されたというケースもあります。

「母親から無視されていたので家庭内に私の居場所がなくいつも一人だった」という女性はカウンセラーからすると珍しくありません。

(関連記事:自分の居場所がないと感じる理由と改善策

そういった女性に「父親は何をしていたのですか?」と聞くと「よく分かりません」という答えが返ってくることがあります。

父親に何かされたわけではないけれど他人行儀な関係ということもあります。

このときに何が起こっていたのかと言うと父親が母親のことを気にして子供と距離を取っていたということです。

母親に意見出来なかったのか子供と関わることで口論になることを避けたのか分かりませんが積極的に介入することをやめたのです。

信じがたいことかもしれませんが実際に起こることです。

なぜなら父親もまたロストワンだからです。

あなたは育てやすい子だったから

ロストワンは大人になってから母親に「あなたは育てやすい子だった」と言われることがあります。

これを言われた方は混乱します。本当にそんなことを思って育ててきたのかと驚くのです。

なぜこんなことを言うのでしょうか?それは母親がそう思い込みたいからです。

この手の母親は機能不全家族の根本原因であった自分の夫が他界するなどして表面上の落ち着きを得ると過去の問題をなかったことにしたがるのです。

自分の人生は失敗だったとは思いたくないからです。

そしてまだ生存している家族にも同意を求めるのです。

「あなたが大人しかったのは私たちが悪いのではなくあなたがお利口さんだったからよね」と意味の付け替えをしようとするのです。

それが彼女なりの罪悪感の消し方であり幸せな人生だったと思い込むための手段なのです。

孤独に強いわけではない

「子供の頃から孤独には慣れているはずなのに寂しさに耐えられない」と言う人がいます。

イギリスの精神科医ドナルド・ウッズ・ウィニコットは幼少期に1人でいた体験が「独りでいられる能力」を育てると言いました。

これが正しければロストワンは孤独に強くなるはずです。

しかしウィニコットの提唱した説には「母親と一緒にいる時に」という条件が付きます。

呼べばいつでも親が来てくれるという精神的なつながりや安心感があるときに1人でいれば孤独に耐えられる力がつくということです。

ロストワンの場合は安心できる環境で1人だったわけではありません。

そのため大人になった後も1人になると子供時代を思い出し余計に寂しくなってしまうのです。

※ロストワンは末っ子に多いと言われますが、私のアダルトチルドレンのカウンセリングの経験から言わせてもらえば長女でロストワンという人も珍しくはありません。