アダルトチルドレン(AC)は家族の中でタイプごとに役割を演じます。それによって家族としての機能をギリギリのところで維持するのです。
アダルトチルドレンの代表的なタイプには次のような種類が存在します。
一つだけとは限らずに複数を同時に持つこともあれば、途中で変化することもあります。
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アダルトチルドレンの種類
アダルトチルドレンの種類には以下の6つの典型的なものがあるとされています。それぞれのタイプを解説します。
ヒーロー・英雄
勉強やスポーツで実績を残すことで家族に自尊心を持たせ、バランスを保たせるのアダルトチルドレンががヒーローです。
表面的には上手くいっているように見えますから親も本人も問題には気づきにくいという特徴があります。
家族の期待を一身に受けているのでプレッシャーも大きなものとなります。
このタイプはどこかで挫折したときに抑え付けていたものが爆発してしまうことがあります。
そして家族に反撃することで立場の逆転が起こることもあります。問題児へと転換することもあります。
プラケーター・慰め役
傷ついた家族を慰めたり、怒りを宥めたりするのがプラケーターです。
家族全員の心が安定するための調整役なのです。
自分よりも他人の感情を優先する癖がついているため大人になったあとも空気を読みすぎてしまいます。
本当の感情が分からなくなったり喪失してしまうこともあります。
気をつかいすぎるため自己主張も苦手です。
イネイブラー・世話役
子供の頃から家族の面倒を見てきたアダルトチルドレンをイネイブラーといいます。
親が本来の役割を果たさなかったためにそうせざるを得なかったのです。
父親役や母親役だけではなく配偶者の代わりをすることもあります。
このタイプは大人になった後で世話の焼けるパートナーを選択し、彼らがなんらかの依存症にとどまることを手助けしてしまうことがあります。
潜在意識では相手の生殺与奪の権利を握っていることに快感を得ているのです。
スケープゴート・生け贄
トラブルを起こすことによって家族の問題が全てその子にあるように錯覚させているのがスケープゴートです。
例えば学校で暴力沙汰を起こしたり、自傷行為に走ることもあります。
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叱られる役を引き受けることで家族内にある真の問題から全員の目を背けさせているのです。
ただし本人がそれを意図して行っているケースは日本では稀です。
心を抑圧したことの反発として問題行動が出ているのです。
この子さえいなければ全てが上手くいくと思い込むことで機能不全家族の親は本来の問題を誤魔化しているのです。
クラウン・ピエロ・道化役
おかしなことを言って雰囲気を和ませようとするのがクラウン(ピエロ)です。
夫婦喧嘩や誰かか怒られて家庭内が険悪になったときに面白いことを言わなければと考えてしまうのです。
何も考えていないように振舞っていますが実は相手を敏感に観察しています。
そして少しでもネガティブな空気を感じ取ると自分を貶めてでも笑いを取ろうとするのです。
このタイプはいつもニコニコしていますが心の中では泣いているのです。
ロストワン・失われた子供
傷つかないために存在を消していたのがロストワンです。
家族全員が揃っているときでもいつの間にか姿を消していることがあります。
そして機能不全家族ではいないことを誰も疑問に思わないのです。
親とほとんど口を利いた記憶がないというタイプもいます。
当初は姿を消すことで親の注目を引こうとしていたケースもあります。
しかし親が本来の役割を放棄しているためそれが叶わずに最終的には諦めてしまうのです。
大人になった後もタイプを引きずる
アダルトチルドレン(AC)が役割を果たすことで機能不全家族は一応の安定性を見せます。
問題が発生したときに誰が何をすべきかという暗黙の共通認識が出来るからです。
例えば父親が酔っ払ったとき当たり散らされるのは誰で、小さいきょうだいを避難させ安心させるのは誰かということが分かっていれば対処することができます。
しかしそれによって本当の問題が永遠に解決されないということにもつながります。
そしてアダルトチルドレンは子供時代に身につけたタイプを大人になった後も引きずり続けてしまうのです。
参考文献:Wayne Kritsberg. (1985). The Adult Children of Alcoholics Syndrome.