面前DV:子供の前で夫婦喧嘩をすると脳が破壊される

面前DV:子供の前で夫婦喧嘩をすると脳が破壊される

子供の目の前で夫婦喧嘩をして殴ったり暴言を吐いたりするとどのような影響が出るでしょうか?

直接、手を出していないのだから虐待には当たらないと思うかもしれません。
しかしこれは「面前DV」という虐待です。

このような状況に曝された子供は脳に重大な変化が生じます。

面前DVの定義について

面前DVとは子供の前で配偶者を殴ったり口汚く罵ったりすることです。
モノを投げたり破壊したりする行為も含みます。
子供に対して向けられたものでなくとも恐怖を与える行いは面前DVといえます。

児童虐待は大きく以下の4種類に分類されています。

  • 心理的虐待(88,389件)
  • 身体的虐待(40,256件)
  • ネグレクト(29,474件)
  • 性的虐待(1,731件)

※カッコ内は厚生労働省が発表した児童相談所での相談対応件数(H30速報値)です。

面前DVという言葉を使用して定義している法律はありませんが、児童虐待防止法2条では「児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力」として面前DVを心理的虐待に分類しています。

面前DVが脳に与える影響

子供は自分が攻撃されていなくとも目の前で夫婦喧嘩を見せられれば脳に深刻なダメージを受けます。

面前DVによって海馬や扁桃体に変化が生じると不安を感じやすくなったり怒りやすくなったりします。
また他の部位も萎縮し学習能力も低下することが分かっています。

この影響は一時的なものではなく将来に渡って継続します。
職場や学校にいるときなども常に神経が高ぶり緊張状態が続くことがあります。

他にもPTSD(外傷後心的ストレス障害)など様々な身体的、精神的な問題が発生しやくなります。

良心的な人さえも信用できなくなる

どんなに優しくて誠実な彼氏と付き合っていようとも、結婚して何年も大切にしてくれる夫と結婚しても不安を持つ女性がいます。

「いつか態度が急変してDVやモラハラをするのではないか?」と心配しているのです。

このような悩みを相談に来る人に幼少期のことを聞くと直接的な虐待はなくても父親が母親に激しい暴力を振るうのを目の前で見ていたという人がいます。
目の前でなくとも自分の部屋の中で夫婦喧嘩の激しいやり取りを震えながら聞いていたということもあります。

面前DVを体験するとたとえ良心的な人であっても信用するのが難しくなります。

大人を対象に行ったものですがイェール大学とスタンフォード大学の研究でも暴力と良心的な他者への信頼度の相関が出ています。

同じことを繰り返す

面前DVを受けて育つと大人になった後の人間関係で苦労することがあります。

他の虐待同様に暴力的な相手をパートナーに選んでしまい共依存に陥ることがあるのです。
特に女性に多く見られる傾向です。

また面前DVによって暴力を学習してしまうこともあります。

カナダの心理学者アルバート・バンデューラが子供たちに大人が人形を乱暴しているビデオを見せるという実験を行いました。
そうしたところ大人が単に遊んでいるだけのビデオを見せられた子供たちよりも暴力的な行動を取りました。
「観察学習」が起こったのです。

観察学習以外にも心の防衛機制による「置き換え」により親以外の相手に仕返しとして暴力を振るうこともあります。

男性も女性も面前DVにより誤って覚えた人間関係のパターンを踏襲してしまうことがあるのです。

しかし仮にあなたが面前DVのサバイバーだったとしても諦める必要はありません。

きちんと対処することによって脳は回復するのです。

参考文献:厚生労働省,「平成30年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)」
Jenifer Z. Siegel, et al. (2019). Exposure to violence affects the development of moral impressions and trust behavior in incarcerated males.

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