アダルトチルドレンが誰かと恋愛をすると相手に強く依存することが多いです。
そして依存は恋愛感情とは異なるため、フェニルエチルアミンなどの恋のドキドキ感を誘発するホルモンの分泌が減った後も、終わることがありません。
なので結婚後、何年経っても相手に執着することが多いです。
そう考えると不健全な関係ではあるものの、離婚率は低いように見えます。
実際、アダルトチルドレンの結婚生活と離婚率はどうなっているのでしょうか?
アダルトチルドレンの結婚生活をダメにするもの
まず初めに言っておくと、アダルトチルドレンは結婚生活に悪影響を及ぼす要因が発生しやすいといえます。
離婚につながる「黙示録の四騎士」
結婚生活に悪影響を及ぼす要因とはパートナーに対する以下の4つの態度です。
- Criticism(批判)
- Contempt(軽蔑・侮辱)
- Defensiveness(自分を守る、正当化する)
- Stonewalling(心の壁をつくり相手に反応しない)
これらは結婚生活や離婚予測の研究で有名なワシントン大学のジョン・ゴットマン博士によって定義されたものです。
博士の長年のカウンセリングや研究によってこの4つが離婚に結び付きやすいことが分かっているのです。
これらは「(離婚・破局を予言する)黙示録の四騎士」と呼ばれています。『ヨハネの黙示録』の災いの予兆とされる「四騎士」がその由来です。
アダルトチルドレンが離婚する確率は高いのか?
アダルトチルドレンの多くが持つ愛着不安と「黙示録の四騎士」には相関があることがシッペンスバーグ大学のメリッサ・マクネリス博士らの調査で分かっています。
この調査では413人の男女を対象に愛着スタイルの質問票に回答してもらいました。
また、「黙示録の四騎士」の発生度合いを調べる質問票にも回答してもらいました。(「パートナーが否定的な態度を示したとき不当に攻撃されたと感じます」などの質問項目があります)
これらのデータを分析したところ、不安型でも回避型でも不安定な愛着スタイルを持つ人ほど、離婚に結びつく「黙示録の四騎士」の態度が発生しやすいことが分かりました。
また、この調査では実際に離婚しているかどうかも聞き取っていましたが、不安定な愛着スタイルを持つ人の離婚率が高いことも判明しています。
結婚後にどうなるかは自分と相手の取り組みかた次第
ここまでの説明はあくまでデータなので実感が沸きにくいかもしれません。では実際のところどうなのかという話をしたいと思います。
アダルトチルドレンのカウンセリングをしていても「結婚したいと思ってるんですけど大丈夫ですかね?」という相談をされることはよくあります。
恋人と会えない時に不安を感じているアダルトチルドレンは結婚して一緒に暮らすようになればこの不安が解消すると思うかもしれません。
確かに最初はそういうこともあります。しかし、すぐにまた同じ不安がやってくることが多いです。
今までは1日会えないと不安だったのが結婚後は数時間会えないだけで不安になります。
相手が飲み会に行ったらその間中ずっと不安になります。帰りが10分遅れただけで不安になることもあるでしょう。
一緒にいる時間が増えることによって不安を感じる機会が増えることもあるのです。
アダルトチルドレンが結婚後にどうなるかは自分と相手の取り組みかた次第といえます。
問題のある相手との結婚
結婚相手に問題があった場合はアダルトチルドレンを克服するのは難しいといえます。
結婚後に行動がさらにエスカレートしても受け入れてしまう
問題というのは相手も同じタイプだったりそうでなくともDVやモラハラの場合です。
これらのタイプは結婚後に行動がさらにエスカレートするのです。
法的な結びつきができたことで相手が逃げないだろうという安心感が生まれるからです。
また今まで以上に一緒にいる時間が増えることによってストレスが溜まり理性で抑えられないことが増えます。
そしてあなたはそれらの行動を受け入れてしまうのです。なぜなら境界が曖昧になるからです。
共依存状態が強固になる
アダルトチルドレンは元々他者との境界が曖昧なことが多いです。自分の問題と相手の問題の区別がつかないのです。
これが結婚によってさらに曖昧になります。曖昧というより間違った認識を強くすると言った方が正確かもしれません。
相手の問題を自分の問題としてしまい、共依存状態が強固になるのです。
そしてそれを愛情による結びつきと勘違いし、永遠に愛が冷めないような錯覚に陥ります。
そこに問題が存在する限りこの錯覚から抜け出すことはできません。
「こんな酷い事をされても離れたくないのは真実の愛があるからだ」などと思い続けるのです。
健全な相手との結婚
アダルトチルドレンは健全な相手といることで自分を肯定できるようになったり見捨てられ不安を取り除けたりすることがあります。
しかしこれは本人が自分の心理状態を認め相手もそれを知り克服に協力してくれている場合の話です。
そうでなければ関係が破綻し離婚することもあるのです。
相手が負担に耐えられなくなったりアダルトチルドレンがより刺激的な不倫相手を求めてしまうこともあります。
幸せに居心地の悪さを感じるアダルトチルドレン
一見うまくいっているように見えてもアダルトチルドレンが健全な愛情に戸惑っていることもあるのです。
自分に価値がないと思っているので「こんなに大切にされて良いのだろうか?」と思い居心地の悪さを感じることがあります。
特に子供時代から愛情を知らずに育った人は経験したことのない愛情に戸惑うのです。
アダルトチルドレンでなくとも結婚生活は問題が起こるもの
健全な相手と結婚した時でもしっかりと話し合い理解してもらうことが必要です。
結婚すること自体は簡単ですがそれだけで問題が解決することはありません
問題のある相手を選んでしまうケースも多いです。
結婚はアダルトチルドレンではない人同士でもうまくいかないことが多いということを忘れないでください。
健全な相手と結婚した時でもしっかりと話し合い理解してもらうことが必要です。
結婚すること自体は簡単ですがそれだけで問題が解決することはありません
問題のある相手を選んでしまうケースも多いです。
結婚は健全な人同士でもうまくいかないことが多いということを忘れないでください。
参考文献:Melissa McNelis & Chris Segrin (2019): Insecure Attachment Predicts History of Divorce, Marriage, and Current Relationship Status, Journal of Divorce & Remarriage, DOI:10.1080/10502556.2018.1558856