不安型の愛着障害を克服するためには何かを変えなければならないことのほうが多いです。
認知、行動、人間関係など変えるべきことは様々です。各々の性格や置かれた環境によって適した克服方法は異なります。
皆バラバラなのですが不安型の愛着障害を持つ人に共通することもあります。それは変化を好む人が少ないということです。
そのため克服に向けてのステップをなかなか踏み出せないという人もいます。
たとえ今の現状が最悪に近いものであったとしてもそこに留まろうとします。変わることは全て悪い方へいくことという思い込みがある人もいます。
不安型の愛着障害を持つ人は不規則な図形が嫌い
不安型の愛着障害の人が変化を好まないというのはカウンセリングをしている中で私が何となく感じていることです。
そのため科学的根拠を出せと言われると難しいところなのですが、ヒントになりそうな研究があります。
イェール大学の研究者が不安型の愛着スタイルを持つ人について調べたものです。
この研究の中で200人以上の参加者が愛着についてのアンケートに回答しました。
その中には「恋人が本当は私を愛していないのではなかと不安になる」などの項目が含まれています。
そして参加者は幾何学的形状が崩れた図形を見せられ評価するように求められました。
すると不安型の愛着を持つ人はそのような不規則な図形に不安や嫌悪感を表す傾向があったのです。
逸脱したマークに何を連想したのか?
なぜこのような結果が出るのか理由は明示されていません。
私の個人的な見解としては2つ原因が考えられます。
悪い方向への環境の変化を想起
まず1つは逸脱したパターンが自分自身の環境の変化を想起させるからです。
冒頭でもお伝えしましたが「変わるということは悪くなること」と思っている愛着障害の人は多いです。
たとえば今の恋人との関係が悪い方へ変化したり、別れてしまったりといった想像ことにつながるのです。
それによって心がザワつくため不規則なものに変化を抱くのです。
仲間外れの自分を重ねた
もう一つの理由は寂しさを連想させるからです。
この実験に用いられた図形は円や三角形が規則的に並んでいる中の1つだけがはみ出していたり、違う形状になっているものです。
こういった図形を見たときに愛着障害を持つ人はその仲間外れになっているマークに自分を重ね合わせているのです。
不安型の愛着障害を持つ人はちょっとした手がかりから想像を膨らませる傾向にあります。しかもネガティブな方向にです。
恋人と連絡がつかないだけで「自分は見捨てられるのだ」と考えてしまうのもその典型です。
(関連記事:見捨てられ不安の原因と克服方法)
ズレた図形を見たときにこういったネガティブな思考と結びつけるため嫌な気分になるのです。
不安型の愛着障害を克服するためにはマイナス方向への逞しい想像力を変える必要があります。
参考文献:Anton Gollwitzer, Margaret S Clark. (2019). Anxious attachment as an antecedent of people’s aversion towards pattern deviancy.
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