少し前の出来事なのですが、ふと思い出したことがあります。
一緒に食事をしていた友人が「毒親育ちって美人が多いよね」と言ったのです。
まず、私はカウンセラーでも心理学関係の仕事でもない友人から当然のように「毒親」という言葉が出てきたことに驚きました。
それほど市民権を得ている言葉だったのか…と。
毒親育ちに美人が多いというデータはない
ちなみに私は毒親育ちの人のカウンセリングをしていますが特に美人が多いという印象はありません。
顔のレベルの分布は世の中のそれと同じです。毒親育ちだから特別に美人が多いということはないのです。
もしかしたらそういうデータが存在するのかと思い、さきほどAPA(アメリカ心理学会)や論文検索のサイトを調べましたがそのようなデータは見つかりませんでした。
私の探し方が悪いのかもしれませんが…、一日探しても見つけ出す自信がないです。
毒親育ちだと美人になるというデータも、美人は毒親になりやすいのでその遺伝子を継いだ子供も美人ということもないのです。
⇒毒親育ちに友達がいない理由は子供時代に作られた型を使い続けているから
キャバクラで知り合った子って…
でも私の周りの毒親育ちは美人が多いけど…と思った人もいるかもしれません。こう思ってしまうのは自然なことです。
私も友人に「なんで毒親育ちに美人が多いと思ったの?」と聞きました。
友人は「だって、キャバクラで知り合った子って毒親育ちの子が多いじゃん」と言いました。
これが答えです。
男性でも女性でも水商売の世界は毒親育ちが多いです。そして水商売の世界は外見が良いほうが働きやすいです。
つまり美人が多いとされる職業の一部に毒親育ちが多いものがあり、それが目立っているので、毒親育ちは美人が多いように見えるだけです。
バイアスがかかっているのです。
それでも毒親育ちは美人が多いはず
水商売をしていない毒親育ちの子も美人は多いけど…と思う人もいるでしょう。
これもバイアスです。
私たちの多くは「美人は幸せだろう」というバイアスを持っています。
なのでそのバイアスを裏切るような人は印象に残りやすいのです。
今まで出会った毒親育ちの中には美人もそうでない人もいたのです。
しかし美人ばかり強く印象に残ったのです。
「あんな美人なのに毒親に悩んでいたなんて」「お母さんも凄い美人なのに毒親だなんて」と驚きとともに記憶されたことは残りやすいのです。
毒親育ちは美人が多いという説も作れる
とはいえ毒親育ちは美人が多いという説を裏付けるような話をすることはできます。
例えば美人な母親は昔からチヤホヤされますが、成長した娘のほうがチヤホヤされると、それにイラついて虐待する可能性があるとか。
進化心理学では、産める子供の数に限りのある女性は、産まれてくる息子に自分の遺伝子をバラ撒かせようと考え、あえて遊び人の男との間に子供をつくるという説があります。
遊び人はイケメンである可能性が高いですから、産まれてくる子が美人である可能性も高いです。しかし遊び人は親になっても家庭を顧みないので機能不全家族になる可能性が高いということです。
父親が遊び人だと娘が男に弄ばれるという都市伝説の論拠もおそらくこれでしょう。
毒親育ちはブス説も作れる
さきほどの説明とは反対に毒親育ちはブスが多いという話もできます。
たとえばハーバード大学のケイティ・マクラフリン博士らの研究では子供時代の虐待が、染色体の保護部分であるテロメアを短くすることが判明しています。
これは単純化していえば老化しているということなのです。(あくまで染色体での話ですが)
つまり毒親育ちは老けるのが早いのでブスが多いという説も導けるのです。
もっとシンプルな話ではブスは社会から大切にされないので、親になっても子供を大切にできないという説も作れます。
結局、何が言いたいかというと、毒親育ちであることが美人かブスかに関係しているエビデンスは存在しないということです。
どちらの説もそれっぽく話すことはできるということです。
参考文献:McLaughlin, Katie A. (2020). Biological aging in childhood and adolescence following experiences of threat and deprivation: A systematic review and meta-analysis.