HSPは病気ではないので診断されるわけでもなければ敏感さが外から見えるわけでもありません。
そのため「ただの甘え」と言われることもあります。
しかしHSPとそうでない人では脳や自律神経の反応が異なるという研究もあります。
HSPが甘えでないという科学的な根拠について説明します。
HSPは脳が活発化しやすい
HSPの有名な研究といえばエレイン・アーロン博士たちのグループが行った脳画像のものです。
新婚の被験者にパートナーや他人の様々な表情の顔写真を見せて脳の反応を測定したところHSP尺度のスコアが高い人の脳ほど帯状皮質、島皮質、下前頭回、中側頭回が活性化していることが分かったのです。
これらの部位は意識、感覚情報の統合、共感性、行動計画に関与するとされる場所です。
何もしていないときの脳のつながりも異なる
HSPの脳はリラックスしているときも異なる反応を示します。
カリフォルニア大学の研究によるとHSPは何もしていないときでも記憶に関与する回路のつながりが強く、反対に感情とストレスをコントロールする回路のつながりは弱いということが分かっています。
HSPは仕事で疲弊しやすいという複数の研究がある
HSPは仕事で疲弊しやすいという複数の研究もあります。
イスラエルのハイファ大学が243名の歯科医師を対象に行った研究ではHSPは仕事でストレスを受けやすく燃え尽き症候群のリスクも高いという結果が得られています。
歯科医師だけではなく看護師や学校の教師を対象として調査でも同様の結果が出ています。
偏頭痛とHSPの関係
こちらもハイファ大学の研究です。8歳から12歳までの134名の子供を対象にした研究では偏頭痛を持っている子供は感覚処理感受性が高いという結果が出ています。
そして感覚処理の困難さが生活の質の低下につながっている可能性も示唆されています。
「HSPは甘え」という人にどう対処するか?
あなたがHSPの辛さを訴えたときに「HSPは甘え」という人もいるでしょう。そういう人にどう対処すれば良いかというと何もしないことです。
他人に気を遣えない人、ドアの開け閉めがうるさい人、しゃべる音量やペースを調整しようとしない人などを見たあときあなたは理解できないと思います。
あなたは彼らがわざとそういう行動を取っていると思うかもしれませんが彼らは何も意識せずにそれを行っています。鈍感な人とはそういうものです。
これと同じようにあなたが他人の気持ちや音や匂いに敏感であっても鈍感な人たちは理解できません。
単に気にしすぎなだけ、甘えているだけとしか思えないのです。
分かってもらえない人に分かってもらおうとするのはリソースを無駄に使うということです。疲弊してしまうのでやめましょう。
参考文献
・The highly sensitive brain: an fMRI study of sensory processing sensitivity and response to others’ emotions.
・Sensory Processing Sensitivity Predicts Individual Differences in Resting-State Functional Connectivity Associated with Depth of Processing.
・Burnout and professional quality of life among Israeli dentists: the role of sensory processing sensitivity.
・Sensory Processing Difficulties Correlate With Disease Severity and Quality of Life Among Children With Migraine.