HSPの看護師は非HSPの看護師と比べてストレスを感じやすく燃え尽き症候群のリスクも高いことが分かっています。
病院で働く看護師252名の調査
アメリカのアンジェロ州立大学が看護師のHSPとストレス、燃え尽き症候群についての調査を行いました。
この調査では病院に勤務し患者と接する業務に就いている252名(女217名・男35名)の看護師にHSP、看護ストレス、燃え尽き症候群のスケールに回答してもらいました。
その結果、HSPの看護師はストレスの尺度、燃え尽き症候群の尺度の両方で非HSPの看護師よりも高いスコアが出ました。
さらに詳しく説明すると以下の通りです。
ストレス
看護師のストレス要因を測定するために「看護ストレス尺度(NSS)」が使用されました。以下の7つの主要なストレス要因を測定できます。
- 作業負荷
- プレパレーションの不足
- スタッフのサポート不足
- 治療に関する不確実性
- 医師との対立
- 他の看護師との対立
- 死への直面
この中で「他の看護師との対立」と「死への直面」以外の5つはHSPの看護師が優位に高いスコアとなっています。
燃え尽き症候群(バーンアウト)
燃え尽き症候群の測定には医療従事者用のバーンアウト尺度(MBI-HSS)が使用されました。以下の3つの特徴によって定義しています。
- 情緒的消耗感 (力を出し尽くし消耗した状態)
- 脱人格化(患者に対する非人間的な対応)
- 個人的達成感の低下(目標や効力感の喪失)
HSPの看護師は情緒的消耗感と脱人格化のスコアが優位に高いスコアとなっています。
なぜHSPの看護師はストレスを感じやすいのか?
HSPの看護師がもっともストレスを感じているのは患者に分かりやすい説明をしたり不安を取り除くためのプレパレーションの不足でした。
HSPの看護師は患者の心の悩みに敏感でそれに十分な対応をしようと考えます。
しかし他の仕事への対応も同時にしなければならないため満足な対応ができないこともあります。実際に作業負荷は2番目のストレス要因でした。
HSPの看護師は患者や家族のニーズに答えられていないと感じるとそれがストレスとなるのです。
そしてその状態に長く曝されることで燃え尽き症候群につながる可能性も高まると推察できます。
HSPの看護師がストレスを減らすには?
HSPの看護師がストレスを減らすためには自分がどのタイプの患者や同僚と接するときにエネルギーの消費が激しいのかを知ることです。
人と接すると疲れるというのはHSPの特徴としてよく挙げられますが、その疲れ具合は相手によって変わることもあります。
エネルギーを激しく消耗する相手と接するときはどれ位の時間、どのように接するかを出来る範囲でコントロールすると効果的です。
またHSPだからといって全てのストレスを受けやすいわけではないことも忘れないでください。今回の研究でも「死への直面」についてはHSPは無関係という結果が出ています。
もしかすると親しくない他人からの負の感情をうまく回避する能力が高いHSPもいるのかもしれません。
カリフォルニア大学のfMRIを用いた実験ではHSPは親しい人の悲しい顔には反応するが、他人の悲しい顔には反応しないという結果もあります。
HSPとしての優位性を意識しながら仕事を進めることも大切です。
カウンセリングに来る看護師の割合は高い
これは余談なのですがHSPのことに限らずその他の悩み相談やカウンセリングにいらっしゃる方の中でも看護師は多いです。
日本で就業している看護師は約120万人ですから成人の1%強しかいない計算になりますが、カウンセリングにいらっしゃる方の割合はそれよりもだいぶ高いです。
カウンセリングを身近に感じやすい職業だからということだけでは説明できない数字です。
やはりストレスやプレッシャー、責任を感じやすい職業ということが大きいのだと思います。
【関連】HSPは仕事が続かない?
参考文献
・SENSORY PROCESSING SENSITIVITY: IS BEING HIGHLY SENSITIVE ASSOCIATED WITH STRESS AND BURNOUT IN NURSING?
・The highly sensitive brain: an fMRI study of sensory processing sensitivity and response to others’ emotions.