回避依存症の多くはパートナー(もしくは恋愛関係に発展しそうな異性)と距離を置くという特徴を持っています。
このようなタイプをカウンセリングの世界では「脱走者」と呼ぶことがあります。
「好き避けと同じようなものでしょ?」と考えている人もいます。
しかし回避依存症者の「脱走」と世間一般でいう「好き避け」は分けて考えたほうが良いでしょう。それぞれ行動の根底にある心理が異なります。
好き避け
好き避けはそれほど珍しい行動ではありません。シャイな男性であれば好きな人に対して消極的になってしまうこともあります。
自分の好意に気づかれたくないという思いが強いのです。
また好きな女性の前では緊張して話せなくなってしまったり、顔が赤くなってしまうために好き避けしてしまうということもあります。
男子校出身者など思春期に女性との接触が少なかった人によくある反応です。恋愛経験が少なくどのように対応して良いか分からないのです。
過去の恋愛の失敗によって好き避けをするようになってしまう人もいますが、回避依存症者が抱えているほどの大きなトラウマとは異なります。
好き避けをしているからといって回避依存症なのではと考えるのは早計でしょう。
回避依存症の脱走者
回避依存症の脱走者は根底に親密さへの恐怖があります。
幼少期の親との関係や過去の恋愛におけるトラウマによってパートナーと親密な関係を築きにくくなっているのです。
親密になることへの恐怖も回避依存症者のタイプによっていくつかの種類があります。
母親からの過度な期待や束縛を受けた男性の場合、女性に近づきすぎると自分の自由を奪われるという思い込みを持つ傾向があります。
女性と距離が近づくとその女性に対して母親の影を重ねてしまうのです。そして子供時代のような息苦しさを味わうくらいなら逃げ出そうという思考になります。
恋愛関係になるとその先を悲観的に想像してしまうこともあります。誰かを好きになりその人の存在がなくてはならないものとなったとします。それ自体は幸せなことです。
しかし回避依存症者の場合はその先の別れまで想像してしまうのです。恋愛の始まりは不幸の始まりでもあると思ってしまうのです。
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過去の見捨てられ体験や恋愛のトラウマがこれらの思考の原因と考えられます。
自己肯定感が低いため本当の自分を知られたら嫌われるという強い思い込みを持っている場合もあります。
このような恐怖から逃れるために脱走しようとするのです。
しかし恐怖を覚えてはいるものの好きという感情(又は何らかの興味)もあるためその狭間で苦しんでいると考えられます。
(※回避依存症者は必ずしも恋愛的な好意のみによって女性を選ぶとは限りませんのでそこは注意してください)
見分けかた
回避依存症の脱走者の距離の置き方は常軌を逸しています。消息不明状態になることも珍しくありません。(こうなってしまった回避依存症が戻ってくる確率は低いです)
住んでいる場所や休日の予定などの個人情報を開示したがらないという特徴もあります。
情報を与えることで自分が管理されるという恐怖や、本当の自分を知られて嫌われるという恐怖があるからです。
それに対して好き避けをする男性は近くにいるときは接触を避けようとしますが、聞いたことに対しては特に隠すことなく答えてくれます。
また連絡に対する返信もそっけなかったり要領を得ないこともありますがちゃんと反応はしてくれることが多いです。
根底にあるのは怖いというよりも恥ずかしいという感情ですので相手に情報を与えることで恐ろしいことが起こるという思考にはならないのです。
たとえ反応が悪かったとしても、回避依存症者のように反応するときとしないときの落差が大きすぎるようなことはありません。
また好き避けをしている男性の場合は付き合いが始まると普通のカップルのように愛情表現をしてくれることもあります。
付き合いが長くなるにつれ恥ずかしという感情は薄れていきますので二人の距離が縮まっていくのです。
回避依存症の脱走者の場合は長年一緒にいても二人の距離が近づいていくという感覚は得られないことが多いです。
回避依存症者が抱えている恐怖は慣れによって軽減される類のものではないからです。
パートナーがそういう人なのだと理解できるようになることはありますが結びつきが強固になるという実感はないのです。
それでも惹かれてしまう場合はあなた自身が恋愛依存症に陥っている可能性もあります。