ACEとは子供が家庭内で遭遇する有害な体験の中でも発生する可能性が高い10個の項目のことです。
「Adverse Childhood Experiences: 逆境的小児期体験」の略でACEsと表記されることもあります。
アメリカの医療保険会社カイザー・パーマネンテと疾病予防管理センターが行った「ACE Study」という研究が基となっています。
質問紙に回答することで最大10の点数が出されます。この点数のことをACEスコアと呼びます。
ACEスコアと成人後の精神的問題の発生率や病気の罹患率には相関があるとされています。10項目中4項目以上が該当すると抑うつや不安を感じやすいという研究もあります。
ハーバード大学子供発達センターの資料に疾病予防管理センターで使ったとされるACEの質問紙が載っていたので紹介します。(※意訳ibrain)
ACEスコア計測のための質問紙によるテスト
18歳の誕生日前までに以下の出来事がありましたか?
精神的な問題だけではなく心臓病などのリスクも
1995年から1997年に実施された「ACE Study」では17,000人の子供を対象に調査しています。
その報告によると身体的虐待を受けていたのは約3割で精神的虐待は約1割、性的虐待は約2割でした。
ACEスコア2以上、つまり2つ以上の虐待を経験している割合はおよそ4割でした。ACEスコア4以上の子供も1割以上いました。
ACEスコアが高いと愛着の問題を抱えたりアダルトチルドレンになったりする可能性があると言われています。
それだけではなくアルコール依存症、うつ病、その他の精神疾患、HIV、心臓病、癌などの発症率との関連を示唆する研究もあります。
注意しなければならないことはACEスコアが低いまたは0だからといって何の問題もないということではありません。
親からの何気ない一言が刷り込みされることによって大人になった後の人間関係にいつまでも影響を及ぼすこともあるのです。
参考文献:The Adverse Childhood Experiences (ACE) Study.
Center on the Developing Child at Harvard University. Take the ACE Quiz – And Learn What It Does and Doesn’t Mean.
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