HSPが考えすぎて眠れないときに見直すべきこと

HSP(敏感すぎる人)

HSPの中には布団に入った後も色々なことを考えすぎて眠れないという人がいます。

このときにまず考えるべきことは自分が以下のどちらのパターンなのか?ということです。

  • 考えすぎて眠れない
  • 眠れないから考えすぎる

カウンセリングに来る人を見ていると本人は前者と思っていても実は後者というパターンが多いです。

睡眠のサイクルは一度崩れてしまうと何日も悪影響が出てしまうものです。

夜に考えすぎて眠れないというHSPは次のような生活習慣を持っていないでしょうか?

  • 目覚ましやスマホのアラームで起きている
  • スヌーズ機能を使っている
  • 夜コンビニに行くことが多い
  • 寝る前によく音楽を聴く

これらの習慣は当カウンセリングルームに「考えすぎて眠れない」と相談にくるHSPがよくやっているものです。

睡眠の質を落とす非常に厄介な習慣です。

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人間は光で起きるようになっている

太陽の光で起きて、暗くなったら寝るというのが人間の体にとって自然なリズムです。どういうことかもう少し詳しく説明しましょう。

わたしたちがなぜ眠くなるのかというと脳内の松果体でメラトニンというホルモンが生成されるからです。(※1)

このメラトニンは光を浴びると生成が抑えられます。朝と夜では生成量が10倍以上違います。朝になると太陽の光で起きることが出来るのはこのためです。

人間の体は太陽光によって体内時計を調整するようになっているのです。

(※1:眠くなるメカニズムとしては他に疲れが溜まるからということがあります)

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HSPは音で起きると負担が大きい

当たり前のことですが目覚まし時計の音やスマホのアラームは急に鳴り出します。このように驚かされて起きるのはHSPにとって良くありません。

目覚ましが鳴る⇒「敵が来た」と思ってしまう

ビックリして起きるとストレスホルモンであるコルチゾールのレベルが上がります。自律神経が高ぶり心拍数と血圧も上がります。

この反応を「闘争か逃走の反応」といいます。

敵に遭遇したときに闘うにも逃げるにも適した体の状態ということです。リラックス状態とは真逆の状態です。

朝起きた瞬間から急にこのモードにしてしまうと大きな負担がかかります。急な音で起きると人間の体は「敵が来た!」と判断してしまうのです。

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目覚ましは心拍数と血圧にも悪影響

目覚ましやアラームを使って起きるのは毎朝ライオンに襲われているようなものです。これはHSPに限った話ではありません。

自分のタイミングで起きた人と比べたときに音で起きた人は心拍数と血圧が高いという研究結果もあります。

HSPの場合、寝起きでバランスを崩すとそれが影響してその日ずっと調子が悪いということにもなりかねません。それを夜まで引きずって眠れなくなってしまうこともあります。

スヌーズ機能は健康に悪い

一回で起きる自信のない人や二度寝が好きな人の中にはスヌーズ機能を利用している人もいるでしょう。しかしこれも健康にはよろしくありません。

二度寝を繰り返すと起きられない体になる

人間は目が覚める少し前から起きるための準備をしています。そして目が覚めてからも神経伝達物質が準備を整えるまでに時間がかかります。

そのときに二度寝をしてしまうとそれがリセットされてしまうのです。

そして脳が「起きるの?寝るの?どっちなの?」と混乱します。

これを毎日繰り返していると起きるのが困難になっていきます。起きるのが困難になると昼間にウトウトしてしまいそれが夜の眠れなさにもつながります。

スヌーズ間の眠りは回復につながらない

スヌーズ間の眠りは気持ち良いものですがそれが回復につながることはありません。

目が覚めたらその状態で布団の中でゆっくりするのは良いですが、二度寝はするべきではありません。体に負担を掛けないようにゆっくりと布団から出ましょう。

「しまった!遅刻だ!」と焦って急に起き上がるのも心臓に負担がかかるのでやめましょう。

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コンビニに行くと眠れなくなる

これまで説明してきたように人間は光の刺激でゆっくりと起床するのが一番良いのです。

メラトニンの分泌を抑制し目覚めさせてくれる光のレベルはおよそ500ルクス以上です。

日中の屋外だと曇りの日で5,000ルクス以上、晴天だと100,000ルクスを超えることもあります。

ですから外の街灯が眩しくないのであればカーテンを開けたまま眠って朝の光で起きるというのも一つの方法です。

光で起こしてくれる目覚まし時計もありますからそれも良いでしょう。

レム睡眠時に起きればスッキリする

HSPの中には眩しいのが苦手で光で起きることは難しいという人もいます。そういう場合は目覚ましが鳴る前に目覚める習慣をつけましょう。

自分のタイミングで起きるということは浅い眠り(レム睡眠)のときに起きるということです。この状態のときはスッキリと目覚めることが出来ます。

反対に深い眠り(ノンレム睡眠)のときに起きると目覚めが悪いです。

繰り返しノンレム睡眠のときに起きていると認知機能に悪影響を与えるという研究もあります。

どうしても音でないと起きられないという人はボリュームがだんだんと大きくなるアプリもありますからそういったものを活用すると良いと思います。

コンビニの照明は明る過ぎるので眠れなくなる

それから遅い時間にコンビニに行くことも睡眠の質を悪くする一つの要因となります。

なぜなら照明の明るさが1,000から2,000ルクスほどあるためメラトニンの分泌が抑制され眠りにくくなってしまうからです。

「眠れないからちょっとコンビニでも行って気分転換しよう」というのは逆効果でしかないのです。

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寝る前に音楽を聴くと睡眠の質が低下する

寝る前に音楽を聴くとリラックスして安眠できると言われています。しかし最近アメリカで行われた実験では逆効果になる可能性が示唆されています。

音楽をよく聴く人はイヤーワームの頻度が高い

ベイラー大学で睡眠の研究を行っているマイケル・スカリン博士らのチームが睡眠の質や音楽を聴く習慣について聞き取りを行ったところ、音楽をよく聴く人ほどイヤーワーム(※2)の頻度が高く睡眠の質も低い傾向にあることが分かりました。

(※2 イヤーワームとは頭の中で何度も同じ曲が繰り返し流れて離れない状態のことです)

さらに博士らは実験参加者にイヤーワームが起こりやすそうな曲、具体的にはテイラー・スウィフトの『Shake It Off』、カーリー・レイ・ジェプセンの『Call Me Maybe』、ジャーニーの『Don’t Stop Believin’』の3曲を聴かせて眠らせ、その間の脳波や心拍数などを計測しました。

その結果、寝る前に音楽を聴くことが睡眠の質を低下させていることが分かりました。

特に歌詞の入っていない演奏のみのインストゥルメンタルを聴くことが睡眠の質を低下させました。

寝る前に聴いた音楽を睡眠中も脳が処理しようとする

また音楽を聴いて寝ると脳内で短期記憶から長期記憶へと変換するプロセスに関連する部位が活性化することも分かりました。

つまり寝る前に聴いた音楽の情報を睡眠中も脳が処理しようとしているということです。それによって睡眠の質が低下している可能性があるのです。

寝る前に音楽を聴く習慣のある人は自分の睡眠の質を確認したほうが良いかもしれません。

ちなみにイヤーワームを打ち消すにはその曲を最後まで歌いきることが有効とされています。

無意識にしている行動が睡眠の質を下げている可能性がありますから、考えすぎて眠れないというHSPは生活習慣を見直してみてください。

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参考文献:Bedtime Music, Involuntary Musical Imagery, and Sleep.