恋愛依存症の原因の多くは子供時代の家庭環境、特に親との関係にあることが多いです。
家庭環境が他の原因を生み出しそれが恋愛依存症につながることもあります。
親に見捨てられた体験・見捨てられる不安
離婚や蒸発など親に見捨てられた体験(または育児放棄などにより精神的に見捨てられたという感情)を持っている人の場合、恋人に見捨てられることを極度に怖がることがあります。
子供時代に親から見捨てられたときの記憶を恐怖体験として潜在意識の中に持っているため「二度と同じような思いをしたくない」と思っているのです。
そして恋人から見捨てられないためならどんな要求でも受け入れてしまいます。要求を拒否すれば一人ぼっちになってしまうという不安が常に心のどこかにあるのです。
恋人にお金をあげたり恋人の借金を肩代わりしてしまうこともあります。しかしどれだけ尽くしても相手が真の愛情を注いでくれることはありません。
子供時代に親の愛情が足りなかった場合でも祖父母などが代わりに愛情を注いでくれていた場合には恋愛依存症にならないこともあります。
しかしその愛情の捉え方を間違ってしまうと「辛いときは誰かに依存すれば癒される」という思考になってしまうこともあります。
アダルトチルドレン
アダルトチルドレンとはもともとは親がアルコール依存症のため親としての役割を果たせない家庭で育った人のことです。
現在は親が親としての役割を果たさない機能不全家族で育ったことで生きづらさを感じている人の総称として使われる言葉です。
機能不全家庭で生活する子供は幼い頃から親に代わって家族内での役割を担います。
それは家族の調整役であったり、両親の親の役割であったりします。家族間の問題から目を背けさせるための道化役や生贄(スケープゴート)となる子供もいます。親を刺激しないように自分の存在感を消すこともあります。
このような役割を担った子供は大人になった後も人間関係において同じような役割を果たそうとするため恋人との間に適切な恋愛関係を築くことが難しくなります。
なぜこのような役割を大人になってからも担うのかというとそれが一応は生存に成功した手段だからです。
親密な人間関係において唯一成功した体験がそれしかないため他の方法を知らないのです。慣れ親しんだパターンに親近感を覚えているからともいえます。
そのためこれらのパターンを繰り返させてくれるようなダメな相手ばかりをパートナーにしてしまうのです。
子供時代から愛情を貰えないことへの耐性がついているためどんな不幸な恋愛でも感覚が麻痺してしまう人もいます。
愛情を得るための再チャレンジ
子供時代に親からの愛情を得ることが出来ずに自己肯定感が低いままの人の場合、大人になってから恋人によってそれを穴埋めしようとすることがあります。
このときに恋人として選ぶ相手は親と似たタイプであることが多いです。つまり自分を大切にしてくれない相手を選ぶのです。
なぜなら自分を大切にしてくれない相手を振り向かせて愛情を得ることによって子供時代のリベンジが果たせると思っているからです。
最初から自分を愛してくれる相手や受け入れてくれる相手には恋愛感情を抱き難い人はこのタイプの恋愛依存症かもしれません。
また恋人を子供時代の自分の身代わりと認識することもあります。この場合は相手(身代わり)を愛することによって過去の自分を癒しているのです。
このときの愛情は歪んだものとなりやすいため相手がどんなに酷い振る舞いをしてもそれを受け入れてしまいがちです。
恋人の態度が酷ければ酷いほどに離れられなくなってしまうのです。
親を裏切ることへの罪悪感
例えば暴力や浮気、ギャンブル、アルコールなどで父親が母親を不幸にしている家庭があるとします。
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このような家庭で育った子供は母親に同情しますが、同時に助けることができないことへの罪悪感も覚えます。
そのような罪悪感を抱えたまま大人になると幸せになることを自分から拒否するようになります。
なぜなら自分が幸せになることは母親を裏切ることという誤った認識を持っているからです。
その認識のせいで恋人と良好な関係を築くと幸せである反面どこか居心地の悪さを感じることがあります。
そして無意識のうちに自分を不幸にするような相手ばかりを追い求めるのです。不幸ではあるけれど罪悪感はないので不適切な関係を続けてしまいます。
母親がひたすら「私は結婚したせいで不幸になった」「男は女を不幸にする生き物」などと子供に吹き込み続けることで、幸せな恋人関係に違和感を感じるようになってしまうこともあります。
これは一種の洗脳状態といえます。子供時代に毎日のように親から言われ続けた言葉は潜在意識の中に強く刻み込まれているのです。
抑圧された感情
恋愛依存症になるのは必ずしも問題のある家庭で育った人だけとは限りません。
一見幸せそうに見える普通の家庭で育った場合でも恋愛依存症になることはあります。
例えば過保護すぎる親や子供に期待しすぎる親に育てられることで恋愛依存症になる人は少なくありません。
近所に問題児がいた場合に親が「ああいう子と付き合ってはいけない」としつこく言うことでそれに対する心理的な反発が生まれ、問題のある相手ばかり好きになってしまうこともあります。
性的なことに厳しすぎる親だった場合に抑圧された欲求が開放された途端にだらしない男女関係ばかり追い求めるようになることもあります。
どんな家庭環境で育ったとしても親の何気ない一言が原因で恋愛依存症になる可能性はあるのです。
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