褒められても信じられない人は抽象的に捉え直すと変われる

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あなたはパートナーからの「本当に頑張ってるね」「~なところが魅力的だね」という言葉を、どれほど信じられるでしょうか?

内心で「お世辞に決まってる」「本心で言っているわけがない」と疑ってしまうことはありませんか?

もしそうなら、その原因は自己肯定感の低さにあるかもしれません。

それによってパートナーからの愛情や称賛を素直に受け入れられないことがあります。

自己肯定感が低いと日常生活においてもさまざまな困難に直面します。

自分に対しての自信が持てないため、仕事や人間関係においても不安が常につきまといます。

そして、最も大切なパートナーとの関係においてもその影響は顕著です。

そこで今回は自己肯定感の低い人がパートナーから褒められたときに、それをどのように受け入れ、自分自身や関係性をよりポジティブに捉えることができるかを、具体的な方法とともに解説します。

なぜ褒められても信じられないのか?

褒められてもそれを素直の信じられない背景には、自己防衛が大きく関係しています。具体的には以下の3つの理由を持っていることが多いです。

理由1. 再び傷つくことを避ける

自己肯定感が低い人は過去に他人から傷つけられたり、期待を裏切られたりした経験が持っていることが多いです。

そうした経験から「他人の言葉や行動を簡単に信じてしまうと、再び傷つくかもしれない」という恐れを抱くようになります。

このため、称賛を疑ったり否定的に捉えたりすることで、自分が再び傷つくことを避けようとするのです。

理由2. 本当の自分を知られたらという恐怖

自己肯定感が低い人は褒めらられたとき嬉しいという気持ちよりも、「自分の真の姿を知られてしまったら、その評価が変わってしまうのではないか?」という不安が大きくなることのが多いです。

また、褒められたとき、それに見合った行動や結果を出さなければならないというプレッシャーを感じることもあります。

そして、その期待に応えられなかったと感じたとき、自己評価がさらに低下し、自己嫌悪に陥るリスクが高まります。

これらの恐怖心があるために、称賛を受け入れることを避けたり、時には無視したりすることで、自分を守ろうとするのです。

理由3. 無意識のうちに関係を一定の距離で保つ

称賛を信じることで、パートナーとの関係がより深まる可能性がありますが、自己肯定感が低い人はその親密さに不安を感じることがあります。

関係が深まるほど、もしその関係が壊れた場合のダメージが大きくなるため、そのリスクを回避しようとするのです。

称賛を疑うことで、無意識のうちに関係を一定の距離で保ち、自分が受ける可能性のある傷を最小限にしようとするのです。

受け入れるには?

褒められても信じられないという人が、素直に受け入れられるようになるためにどうすれば良いのでしょうか?

まず、ウォータールー大学のデニス・マリーゴールド博士らの実験を紹介します。

この実験では参加者の男女にパートナーから言われた誉め言葉を思い出してもらいました。

このとき参加者は以下のどちらかのグループに割り当てられました。

  • 具体的グループ:パートナーが言った具体的な言葉や状況の詳細を説明するよう指示される。
  • 抽象的グループ:パートナーがその褒め言葉を言った理由や、その褒め言葉が自分や2人の関係にとって何を意味するのかを説明するよう指示される

それから参加者は幸福度や自分自身に対する感情、二人の関係についての評価を行いました。

これらのデータを分析したところ、抽象的グループに割り当てられた人の中でも自己肯定感の低い人たちは、幸福度や自己評価、関係の満足度が向上することが分かったのです。

これは褒められたことを素直に受け入れることができたことの証左といえるでしょう。

さらにこの効果は2週間後も継続していました。

どうやって抽象的に捉えるか?具体的なステップ

実験から分かるように、褒められたときはそれを単なる出来事として捉えるのではなく、その背後にある意味や意義を考えることが、受け入れるうえ重要であることがわかりました。

では、実際にパートナーからの称賛を抽象的に捉えるにはどうすれば良いのでしょうか?ここでは、いくつかの具体的なステップを紹介します。

1.「なぜ彼/彼女は私を褒めてくれたのか?」と考える

パートナーから褒められたとき、その言葉の背後にある理由を深く考えてみてください。彼/彼女はなぜあなたを褒めたのでしょうか?

称賛が具体的な出来事に基づいている場合でも、その背後にはあなたの特性や行動、価値観が反映されていることが多いです。これを理解することで称賛の価値がより深くなります。

2.「この称賛は私たちの関係にどんな意味があるのか?」と問う

次に、その称賛があなたたちの関係にどのような影響を与えるかを考えてみましょう。

たとえば、「君のサポートがあるからこそ自分は頑張れるんだよ」とパートナーが言った場合、その言葉が示すのは単なる感謝だけではありません。

それは、あなたが彼/彼女にとって重要な存在であり、関係において欠かせない役割を果たしているという証拠でもあります。

こうした視点で称賛を捉えると、その言葉の重みを感じることができ、自己肯定感も高まります。

3.ポジティブなフィードバックを記録する

パートナーからの称賛やポジティブなフィードバックを日記やメモに記録しておくことをお勧めします。

これにより、後で振り返ったときに、過去の肯定的な経験を思い出しやすくなります。

特に自己肯定感が低いと、ネガティブな出来事や失敗にばかり目が行きがちですが、ポジティブなフィードバックを記録することで自己評価をバランス良く保つことができます。

4.称賛を日常的に反芻する

一度得た称賛をただその場で終わらせるのではなく、日常的に思い返すことで、その意味を再確認しましょう。

「彼/彼女は私をこういう風に見ているんだ」という事実を意識することで、自己評価が自然と高まり、関係性も深まります。

誉め言葉を受け入れることで得られるメリット

褒められたときにそれを抽象的に捉えることで、自己肯定感が高まり、関係性の満足度が向上することが期待できます。

研究によれば、称賛を抽象的に捉えた人は、具体的に捉えた場合と比べて、自分自身をよりポジティブに評価し、関係についてもより強い安心感を持つようになったと報告されています。

これは、誉め言葉をその場限りのものとして捉えるのではなく、背景にある意味まで考えることで、より持続的で強固な自己評価を築くことができるからです。

また、こうしたポジティブな自己評価が続くことで、自己肯定感が持続的に向上し、最終的には関係全体に対する満足度も高まることが示されています。

過去の失敗から学べない理由とその克服法

自己肯定感が低い人は過去の失敗を糧にすることを避ける傾向があります。

これは、自己防衛の一環として、自分の失敗を過剰に意識し、それが再び起こることを恐れるためです。

しかし、称賛を抽象的に捉えることで、このような回避行動を克服し、成長の機会として捉えることができます。

たとえば、大きな失敗を経験し、その影響で自己評価が著しく低下したとします。

その後パートナーから「それでも君は素晴らしい」と言われた場合、その言葉をどう捉えるかが重要なのです。

「彼/彼女は私の失敗を理解し、なおも私を尊重してくれている」と捉えることで、過去の失敗を新たな視点から見ることができ、その経験を乗り越える力が得られるのです。

参考文献:Marigold DC, Holmes JG, Ross M. (2007). More than words: reframing compliments from romantic partners fosters security in low self-esteem individuals.