HSPの自己肯定感が低い理由は育った環境?高めるための捉え方

HSP(敏感すぎる人)

HSPの敏感さは生まれ持った気質(遺伝的特徴)の影響が大きいです。

外からの刺激に敏感に反応したり他人の気持ちを察することが得意なのは先天的に備わった特徴です。

HSPとしての特徴を持っている人の中にもそれを長所として自分に自信を持って生きている人もいれば、短所としてしか捉えられずに自己肯定感の低いまま生きている人もいます。

HSPの自己肯定感が低い理由には生まれ育った環境が大きく影響していると考えられます。

また環境によって元々の敏感さにさらに磨きがかかることもあります。

敏感さを悪いものと捉えられると自己肯定感が低くなる

アメリカの研究者が行った実験では生後4ヶ月の赤ちゃんのうち約2割が他の赤ちゃんよりも激しい反応を示すという結果が出ています。これは人口に占めるHSPの割合とほぼ同じです。

だからといってこの実験の2割に該当する赤ちゃんが全員HSPとは言い切れませんが、敏感さが先天的に備わっている人がかなりの割合でいるという証明にはなるでしょう。

親の接し方がHSPの自己肯定感に影響する

親の立場で考えた場合に自分の子供がちょっとした刺激や変化に対して敏感に反応した場合、「そんなことを気にしないで」とか「ビクビクしすぎないで」と言いたくなってしまうのは珍しいことではありません。

現代では敏感に物事を捉えることは生きづらさに繋がると考えられがちだからです。

しかしHSPの子供の敏感さが悪いことであるかのような接し方をしてしまうと自己肯定感の低いまま成長してしまうのです。

このように敏感な気質を持って生まれた場合にそれを両親や周りの大人たちがどう扱ってきたかということが自己肯定感に影響を与えるのです。

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周囲と違うことが悪いことという思い込み

親に限らず学校の先生の言動がHSPの自己肯定感を低くすることもあります。

HSPは子供の頃からゆっくりと自分の内面と向き合うことに楽しみを覚えることもあります。

そんなときに学校の先生から「外で皆と遊んできなさい」と言われることもあります。

特に日本では多様性(ダイバーシティ)という概念が認められるようになったのはここ最近の話なので皆と同じが正しいことだと勘違いしている人は少なくありません。

このような環境で育ったHSPは周りと違う自分が悪いように思い込んでしまいます。

そして自己肯定感の低いまま大人になってしまいますので自分に自信を持つことが難しいのです。

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敏感さを尊重されると自信が持てる

これとは反対に周囲の大人がHSPの敏感さを尊重し好意的に受け止めていた場合には自己肯定感は高まりやすいです。

これはかなり恵まれた環境で育ったパターンと言えます。

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多くのHSPにとって「自分に自信を持っているHSP」というのは想像しにくいかもしれませんがそういう人達も多く存在しています。

例えば親が芸術や音楽に造詣が深かった場合もしくはそういった職業に就いている場合などは敏感さをマイナスと捉えずにその感覚を大切にしてくれる可能性が高いと言えます。

親自身がHSPで自分自身の扱い方を心得ていた場合にも適切な環境を与えてくれていた可能性が高いでしょう。

親ではなく他の身近な大人がその役割を果たしていた場合も考えられます。

このような環境で育った場合はHSPが自分の敏感さを欠点として認識することは少なく長所として捉えることができるでしょう。

自分を信じることが出来るのでそれが自己肯定感へと繋がるのです。

そして社会に出てから周囲との違いを認識するようになってもそれを自分の強みと思うことが出来るのです。

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どのように育てられたかを知ることでヒントを得られる

もしあなたが自分のことをHSPだと考えているのであれば両親に子供時代のことを聞いてみると何か分かるかもしれません。

そして両親があなたに対してどのように接していたのかも聞ければ聞いてみましょう。(親は自分に都合の良いようにしか話さないかもしれませんが…)

子供時代の作文や絵画などがまだ残っていればそれを見返してみることで自分が当時の環境からどのような影響を受けてきたのか分かることもあります。

どのような環境で育てられたかがHSPの自己肯定感に大きな影響を与えているのです。

どのような育てられ方をしたのかを知ることがこれから自分をどのようにケアするべきかというヒントを知ることにつながります。

敏感さに磨きをかけるもの

愛着という言葉をご存じでしょうか?愛着とは発達心理学における専門用語ですが簡単に言うと「人間同士の心理的な絆」です。

子育てにおいては親子間の愛着をどのように築いていくかが重要と言われています。

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愛着が形成されているとチャレンジできる

子供というのは親からの無条件の愛情を感じることで安心感を得ることができます。

この安心感があることで新しいことにチャレンジすることができるのです。

たとえ失敗しても親が守ってくれるから大丈夫と思えるから知らない物に触ったり時には危険なことをしてみたりするのです。

子供がこういった行動を取るのは親子間の愛着が健全に構築されているからと言えます。

愛着が不安だとより敏感になる

この愛着がしっかりと構築されていないと安心感を得ることができませんから子供は不安を感じやすくなってしまいます。

世界は危険なものだと本能的に思い込んでしまうのでチャレンジしませんし、自分を守るために敏感さは磨かれると考えられます。

親が子供に無関心すぎても過保護でも健全な愛着は構築されません。

親の愛情をたっぷりと受けたはずなのに敏感さが磨かれているというHSPは過保護が原因だったかもしれません。

愛着の問題は親の保護が必要ではなくなった後、つまり大人になった後も残ると言われています。

「世界は危険だ」という認識が残り続けると危険を回避するために敏感さを磨き続けてしまう可能性があります。

機能不全家族

HSPが敏感さに磨きをかけるもう一つの原因に家庭の機能不全があります。

アルコール依存症や激しい暴力を振るう親のように親が役割を果たしていない家庭では子供がその役割を果たす場合があります。

このような家庭では子供が両親の仲を取り持つように振舞ったり、どちらか一方の愚痴の聞き役になったりします。

自分の役割を認識した子供は家庭内で不和が起こらないようにと常に空気を読むようになります。

その子供がHSPだった場合は家庭内の不穏な空気をすぐに察知するために敏感さにさらに磨きがかかるのです。

HSPの自己肯定感を高める

HSPが持つ敏感さは生まれ持った才能です。

それをどのように認識するかは環境の影響が大きいということがここまでの話からお分かりいただけたと思います。

環境から受けた影響というのは修正することが可能です。

自己肯定感が低いHSPでも認識を変えることで敏感さを長所と捉えることができます。

HSPの敏感さというのは決して欠点ではないのです。その才能を活かしてクリエイティブな仕事で成功している人もいます。

まずは自分の才能を肯定的に捉え、必要以上に不安を覚えてしまう認知を修正することで自己肯定感を高めましょう。

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