HSPが子育てに向いてないと感じる理由!愛着の問題かもしれない

HSPの中には子育てに辛さやイライラを感じている人もいるでしょう。

カウンセリングにいらっしゃる方が「子育てに向いていない気がする」と悩んでいることもあります。

HSPはそうでない人と比べて子育て中にしんどいと感じることが多いです。これは複数の調査からも分かっています。

しかしHSPが子育てに向いていないということではありません。むしろ矛盾のない子育てをする傾向が高いと判明しています。

それでも子育てに向いていないと考えてしまうのはHSPに愛着の問題が加わっているからかもしれません。

愛着の問題とは

特定の重要な他者との間にできる心の絆のことを愛着といいます。

親との間に愛着が形成されるとそれをほかの人にも適用するので上手な人間関係を築くことができます。

しかし虐待や育児放棄、家庭内不和などがある機能不全家族で育つと健全な愛着が形成されず、大人になった後も他人とうまく付き合えなくなることがあります。これが愛着の問題(愛着障害)です。

愛着の問題には「不安」と「回避」があります。

不安の主な特徴は親密な人から見捨てられるのではないかという思考です。それにより相手に執着しすぎることがあります。

回避は他人と親密になり自分が圧倒されることを恐れます。そのため何年一緒にいても距離が縮まらないということが起こります。

愛着の問題を抱えている人は自己肯定感が低いという特徴もあります。

そしてこの愛着の問題が親になったときの子育てにも影響するのです。

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HSPと愛着・子育ての調査

イスラエルの大学がHSPと愛着、子育てスタイルの関係について調査しました。

参加者(121組の親と子)

この調査には121組の親子がオンラインで参加しました。

参加した親の比率は母親が83.5%、父親が16.5%でした。平均年齢は44歳です。

子供の比率は女の子が57.9%、男の子が42.1%でした。平均年齢は13歳です。

調査の内容(子育てを子供に評価させる)

親はHSPスケールと愛着を測定するためのECRS(Experiences in Close Relationships Scale)という質問票に回答しました。

ECRSには不安傾向を測定する「見捨てられるのではないかと心配している」という質問や、回避傾向を測定する「心の中で感じていることを相手に見せたくない」という質問が含まれます。

子供はWPI(Weinberger Parenting Inventory)という子供から見た親の子育てスタイルを測定する指標に回答しました。

これには子供中心主義、心理的介入、寛容さ、厳しいしつけ、矛盾した育児などに関する質問が含まれています。

この調査のポイントは子育てスタイルを子供に評価させているということです。

親が子供のことを考えて育児をしているつもりでも子供はそう感じていないという相違を排除することができます。

結果1(HSPは矛盾のない子育てをする)

調査の結果、HSPの親は矛盾のない子育てをしている傾向が高いことが分かりました。

つまり子供から見て「言っていることとやっていることが違う」という育児方法が少ないということです。

あまり意識されませんが子育てにおいて親が矛盾していないというのは非常に大切なポイントです。

なぜなら親の言動が矛盾していると子供がコミュニケーションに困難を感じやすくなったり、自己肯定感が低くなったりするからです。

結果2(子供への心理的介入をしがち)

HSPの親は心理的介入性も高いことが分かりました。子供の生活に干渉しすぎてしまうのです。

これは傷つくことに敏感だったり否定的な感情を苦手とする親は子供に心理的介入をする傾向が強いという過去の研究とも一致します。

またHSPの親は愛着不安を抱えている傾向も高いことが分かりました。

愛着不安の傾向が高まると厳しい子育てをする可能性が高いことも分かりました。頭ごなしに叱ったりしてしまうということです。

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HSPと愛着不安が育児に与える影響

HSPは自分の悩みやストレスに対処しようとするときそれでいっぱいになってしまうと子供のニーズに適切に対応する能力が低下する可能性があります。

また神経症傾向が強い性格特性を持っているとされるHSPの場合、ストレスのかかった状態で子供と意見が食い違うと適応しにくいこともあります。

これらが子育ての辛さにつながっているのかもしれません。

そこに愛着の問題が加わると余計に負担がかかるのです。

愛着の不安を持つ親が自分の愛着のニーズに執着すると子供を含む身近な人間が支援を必要とするときにストレスを感じます。

それが思いやりの低下につながり厳しい子育てをしてしまうこともあるのです。

そして自分はHSPだから子育てに向いていないという思考につながってしまいます。

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変わることはできる

HSPのネガティブな側面に対応するにはマインドフルネスや情動制御など様々な方法があります。

愛着の問題は原因を知り、心理的な安全基地となってくれる人との絆の形成や、認知の歪みを調整することで克服できます。自分で自分を癒すこともできます。

このように自分が変わることで子供の反応も変わるかもしれません。

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HSPの繊細さは子育てにメリットをもたらす

HSPが子育てに向いてないということはありません。感受性の高さは子育てに大きなメリットをもたらします。

ウルム大学などの数年間にわたる縦断的研究によれば、繊細な育児が生涯にわたる心身の健康に関連していることが分かっています。

子供の苦痛に気づき反応できる親とそうでない親に育てられた場合では、医療費等の支出が10倍以上変わっていたのです。

子供のネガティブな感情に気づくのは悪いことではありません。それを自分の感情と区別して考える癖をつけましょう。

HSPの特性はより良い子育てに活かせるのです。

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参考文献
・How do highly sensitive persons parent their adolescent children? The role of sensory processing sensitivity in parenting practices.
・A good investment: longer-term cost savings ofsensitive parenting in childhood.