回避型の彼氏に疲れたら「自律性」を意識してサポートを減らせ

回避型の彼についての相談
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回避型の彼氏と付き合い続けるのは疲れるものです。

気を遣ったりサポートを提供しても、それを喜んでいるのか分かりにくいですし、理由も分からずに急に距離を置かれることもあります。

「そもそも私に対する愛情がないのでは?」と思ってしまうこともあるでしょう。

だからといって別れるという決断もなかなか難しいものです。

そこであなたは自分の精神的な負担を軽くしようと考えて、働き掛けを減らすかもしれません。

しかしそうすると今度は「見捨てられた」と思われてしまうリスクがあります。

もしあなたがこのようなジレンマに陥っているのなら、基本的な欲求だけを満たすことを意識して、働き掛けを減らしてください。

それによって愛着の安全性が変化し、サポートし過ぎていたときよりも、心の距離が近づきます。

3つの基本的欲求と愛着の安全性

人間の動機づけと幸福感を説明する心理学の概念に「自己決定理論」というものがあります。

簡単に説明すると、人間は「自律性」「有能感」「関係性」の3つの基本的欲求を持っており、これらが満たされることで自分から動きたいという動機や幸福感が向上するというものです。

それぞれの基本的欲求の具体的な内容は以下の通りです。

  • 自律性:自分の行動を自分で決定できる感覚
  • 有能感:自分の能力を発揮し、達成感を感じること
  • 関係性:他者とのつながりや愛されていると感じること

実はこれらの基本的欲求が満たされるかどうかはモチベーションや幸福感だけではなく、愛着の安全性にも関与することが分かっています。

愛着の安全性とは「この人は自分を傷つけない」「見捨てないでいてくれる」といった感覚を持てるかどうかということです。

回避型の人が恋人に心を開かないのは愛着の安全性が低いからです。

愛着の安全性が相手によって変わる理由

ロチェスター大学のジェニファー・ガーディア博士らが行った愛着に関する調査があります。

この調査では400人以上の男女を対象に、母親、父親、恋人、親友など親密な相手との間に感じる愛着の安全性を調べました。

参加者から得られたデータを分析したところ、愛着の安全性は相手との関係によって大きく変動することが確認されました。

なぜこのようなことが起こるかというと、さきほど説明した「基本的欲求」の充足度が相手によって異なるからです。

実はこの調査では基本的欲求がどれくらい満たされているかも確認していたのですが、どの関係においても、基本的欲求の充足度が高いほど、愛着の安全性が高いことが分かりました。

特に自律性と関係性の充足度が愛着の安全性に強く関連していました。

例えば、母親は自分の決定を尊重してくれる(=自律性を充足してくれる)けれど、父親はしてくれないケースがあったとします。

この場合、母親との間では愛着の安全性が高くなりますが、父親との間では低くなるということです。

回避型の彼氏はどうされたいのか?

ここまでの説明から、回避型の彼氏との関係を良くするには基本的欲求を満たし、愛着の安全性を高め、心を開かせることが重要だと分かると思います。

では具体的にどうすれば良いのでしょうか?

まず、このサイトで何度も説明していることではありますが、回避型の心理的な特徴について簡単に確認しておきましょう。大まかにいうと以下の特徴を持っています。

  • 他者との親密な関係を避ける
  • 感情を抑制しやすい
  • 他人に依存することを好まない
  • 自立や自己完結を重視する
  • 感情的なサポートを求めることに抵抗を感じる

上記の特徴から回避型の愛着スタイルを持つ人は「自分で決める」「自分で解決する」ことを重視することが分かると思います。

つまり、ここまで説明してきた3つの基本的欲求の中でも「自律性」が確保されていると安心感を持ちやすくなるということです。

回避型の彼氏の自律性を尊重する具体的な方法

回避型の彼氏と付き合って疲れたという女性はあれもこれもとサポートし過ぎてしまっていることが多いです。

そして、気づかないうちに彼氏の自律性を損なっているのです。

そのせいで余計に距離を置かれてしまい、「私はこんなに頑張っているのに報われない…」と悪循環に陥ってしまうのです。

ですから今現在、与えているサポートを見直し、やり過ぎている部分を削りましょう。

そして以下のポイントに注意しながら、自律性を尊重してあげましょう。

1.彼氏の意思を尊重する

回避型の人は自分の意思で物事を決めたいと考えているため、無理に距離を詰めようとするとかえって関係がぎくしゃくしてしまうことがあります。

親しい間柄であっても、相手が快適に感じるペースを尊重することが大切です。

「もっと頼ってほしい」と強く求めるのではなく、「あなたのペースでいいよ」「必要になったら声をかけてね」と伝えることで、負担を感じずに関係を続けやすくなります。

こちらの関心を伝えつつ、選択肢を相手に委ねるような姿勢を持つと良いでしょう。

2.感情を押しつけない

感情的なやりとりにストレスを感じやすいのも回避型の特徴です。

そのため、「もっと素直になって!」と感情表現を求めたり、相手の反応を過度に気にしたりすると、余計に距離を取られてしまう可能性があります。

彼氏が自分の気持ちを話したときは無理に深く掘り下げるのではなく、「話してくれてありがとう」と受け止めることが大切です。

また、感情的なサポートよりも、具体的な解決策を提示するほうが相手にとって受け入れやすい場合もあります。

3.適度な距離感を保つ

回避型の人は一人の時間を大切にすることが多いため、その時間を尊重することが重要です。

関係を深めたいからといって、常に一緒にいようとしたり、頻繁に連絡を取ろうとしたりすると、相手は圧迫感を感じてしまいます。

「放っておく」のではなく、「気にかけているけれど、あなたのタイミングでいいよ」というスタンスでいることで、相手にとって居心地の良さを感じさせることができます。

4.サポートを「選べる形」で提供する

回避型の人は自分のことを他者に決められることを好まないため、サポートを押しつけるのではなく、選択肢を提示する形で提供すると受け入れやすくなります。

「手伝うよ」と直接的に申し出るのではなく、「何かあったら言ってね」と伝えたり、「もし助けが必要なら、いつでも頼ってね」といった柔軟な態度でいると良いでしょう。

相手が必要なときに頼れる環境を整えることで、関係がスムーズになります。

また、サポートを申し出る際には「いくつかの選択肢の中から選べる」ようにすると、回避型の人は安心しやすくなります。

回避型といっても程度は様々

回避型の彼氏から元カノの話を聞いたときに、「元カノにはずいぶん自分をさらけ出していたんだな」と思うこともあるでしょう。

これは元カノとあなたでは彼氏が感じる愛着の安全性が異なっていることが原因かもしれません。

あなたが自分自身が疲れるほどに対応しているせいで、彼氏は自律性が奪われたと感じて、愛着の安全性が低くなっているのです。

ですから自律性を奪わない程度のサポートに変えましょう。

そうすることであなたの疲労感も軽減され、彼氏の愛着の安全性も高まるはずです。

それと最後に回避型といってもその程度は様々であることを忘れないでください。

重度の回避型や、回避依存症といえるレベルであれば、何年掛かってでも自分が克服させるという気持ちがないのであれば、疲れたと感じた時点で別れるというのも選択肢の一つとして考えるべきかもしれません。

「回避依存症」と「回避型愛着スタイル」は別物!恋愛の特徴も違います

参考文献:La Guardia JG, Ryan RM, Couchman CE, Deci EL. (2000). Within-person variation in security of attachment: a self-determination theory perspective on attachment, need fulfillment, and well-being.