大人になってからの対人関係には子供時代につくった愛着(アタッチメント)の型が影響を及ぼすことがあります。
愛着とは特定の相手(母親であることが多い)との間に形成された強い絆のことです。
これがしっかりと形成された人は安定型の愛着スタイルを持ちますから他者と健全な人間関係を持つことが出来ると言われています。
養育者との間にこの結びつきが作られなかった場合には不安型や回避型の愛着スタイルを持つことになります。
前者は見捨てられることを恐れるため相手の顔色ばかり伺います。後者は他人を重荷に感じやすいため距離を取りたがります。
愛着スタイルは性的行動にも影響を与えます。
不安型も回避型もパートナーの数は多いがリスク許容度に差がある
南カリフォルニア大学のヘミン・キムとリン・キャロル・ミラーが既に発表されている論文を分析したところ愛着スタイルが性行動に及ぼす影響が分かりました。(いわゆるメタアナリシスという分析方法です)
まず不安型と回避型ともに生涯のセックスパートナーの数は多い傾向にありました。複数の相手と同時進行で関係を持つ人も多かったです。
これは愛着の障害を持つ人が特定のパートナーと安定した関係を長続きさせることが難しいことからも説明できます。
一方で不安型と回避型で異なる部分もありました。
それはセックスのときに避妊をするかしないかということです。つまりゴムを着けるかどうかです。
不安型はセックスのときに避妊をしないことにリスクを感じないのに対し、回避型はその反対でした。
この違いについてはそれぞれがセックスに何を求めるかによって説明できます。
一時的な愛か?一時的な快楽か?
なぜ不安型は避妊をしないのかというと親密なつながりを持ちたいという欲求が強いからです。
また相手から避妊しないことを求められるとそれを受け入れてしまいやすい性格も影響しています。
なぜなら断ることによって嫌われるのが怖いからです。
不安型の人は一時的にであれ相手を惹きつけることができるのであればセックスのリスクを小さく評価してしまうのです。
回避型が避妊をするのは自分の身を守るためです。
回避型の人は多くの相手とセックスをすることにより性的快楽を追求したいと考えています。
しかし性病やHIV、妊娠のリスクは負いたくないと思っています。
そのためゴムを着用して安全を手に入れているのです。
不安型と回避型のこの違いは「一時的な愛」を求めるか「一時的な快楽」を求めるかというセックスの目的の違いに起因するといえます。
それは愛しているからではない
恋愛依存症の人はダメな相手に少しでも良い面があるとそれを過大評価します。
何の意味もないことさえ自分のためにしてくれたと勘違いすることもあります。
だから気をつけなければなりません。
彼氏が避妊してくれたからといってそれはあなたを愛しているからとは限りません。彼氏が守りたいのはあなたではなく自分かもしれないのです。
もちろん避妊せずにセックスをしたからといって本気で愛してくれていると考えるのも間違いです。