HSPが面接を苦手に感じるのは視線の錯覚が原因

HSPが就職や転職活動の面接を受けるときに覚えておくと緊張が和らいで便利なことがあります。

それは「自分が思っているほどには相手と視線は合っていない」ということです。

面接が苦手なHSPは多い

HSPは面接が苦手な人が多いです。他人の視線に恐怖を覚えたり、ずっと見られていると感じて上手く話せなくなったりするからです。

目を見られると心の中を読まれているような「透明性の錯覚」が起こることもあります。

しかし面接に限らず対面の会話であなたが目を見られていると感じているとき、相手が本当に目を見ているとは限らないのです。錯視の可能性があるのです。

視線の錯覚

エディスコーワン大学の研究者がアイコンタクトについての実験を行いました。

アイコンタクトを増やすグループと減らすグループで比較

この実験では研究者が46人の学生と視線を追跡できるメガネを着用し4分間のビデオチャットをしました。

研究者は半分の学生に対して意図的にアイコンタクトを多用しました。その結果、52%の時間で目が合いました。

残り半分の学生にはアイコンタクトを減らして相手の口を見ていました。このときは3%の時間でしか目が合いませんでした。

口を見られても目が合っていると錯覚する

ビデオチャットの後で参加者の学生に「どれ位目が合ったと思うか?」という質問をしましたが2つのグループの回答に差はありませんでした。

また「相手がどれくらい楽しそうに会話をしていたか?」という質問に対する回答にも差がありませんでした。

つまり相手が口を見ていても目が合っていると錯覚してしまうということです。

そして視線が合っていなくてもつまらなそうにしているとは感じないのです。

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人間は見られていると勘違いしがち

このような視線の錯視は頻繁に起こることが知られています。

よほどの近距離でない限りは顔を見られたら目が合っていると思ってしまうのです。

HSPが他人の視線を怖がるのもこの錯視が影響している可能性があります。

アイシャドウを塗っている人の視線は分かり難い

アイシャドウを塗っている人の視線の向きは正しく判断できないという錯視も知られています。

こういった錯視は髪の毛の影や周辺の肌とのコントラストによっても起こります。

恥ずかしがり屋さんの場合は相手の顔をよく見ることが出来ませんから余計にそう思ってしまうのです。

モナリザ効果

絵画の中に描かれた人物が自分を見ているように感じる現象のことを「モナリザ効果」と言います。

レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナリザ』という有名な絵画が元となっています。

一定の角度の中に入ればどの方向を見ていてもこちらを向いているように見えるのです。

モナリザ

ただし本物の『モナリザ』ではモナリザ効果は起こらないことが最近の研究で分かりました。

視線を分析すると鑑賞者の右肩あたりを向いているのではないかと言われています。

それでも自分を見ていると思う人はたくさんいるのです。思い込みなどのバイアスも影響しているからです。

つまり人間は相手の顔が自分の顔を向いているだけで視線が合っていると勘違いしがちということです。

面接中に目を見る必要はない

相手と目が合うのが苦手というHSPはまずこのようなトリックが起こっているということを知って安心しましょう。

そして面接で自分が話をするときは目ではなく鼻や口を見るようにしましょう。そうすれば余計な緊張をせずに済みます。相手には気づかれないのですから大丈夫です。

それでも本当に目が合うこともあるでしょう。しかしそのときに見透かされているような気がするのも勘違いです。

そもそも面接官が数十分の面接でその人を見抜くことができるのなら会社に変な社員は存在しないはずです。

さらにいうならそんな短時間で人を見抜ける能力のある人間が一般的な給料で会社員をやっている確率は低いです。

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参考文献
・Shane L. Rogers, Oliver Guidetti. (2019). Contact Is in the Eye of the Beholder: The Eye Contact Illusion.
・Gernot Horstmann, Sebastian Loth. (2019). The Mona Lisa Illusion?Scientists See Her Looking at Them Though She Isn’t.