HSPで映画やドラマが苦手な人でも楽しく鑑賞する方法

HSP(敏感すぎる人)

HSPは情動が反応しやすいため映画やドラマが見られないという人もいます。

しかしすべての映画やドラマが苦手というわけではありません。穏やかで楽しい作品であれば見たいという人もいるでしょう。

そんなHSPはどうすれば良いのでしょうか?

それは作品の内容を事前に調べてしまうことです。

ネタバレは面白さを失わせません。それどころか内容を知っている作品を見ることは楽しみを増やし、メンタルの回復につながることもあると心理学の実験で分かっています。

なぜHSPは安心して映画やドラマを見られないのか?

HSPが映画やドラマを苦手な理由としては登場人物の感情が伝染して疲れてしまうからといえます。

HSPは共感力が高いので登場人物が悲しんでいたり苦しんでいると自分も同じ感覚になってしまうのです。

また暴力的なシーンを見るのも苦手な人が多いです。

HSPは他人の行動を見たとき自分もそれをしているかのように反応する脳内の神経細胞が活発なことが原因と考えられます。

暴力シーンを見ると自分まで殴られているような気分になってしまうのです。

感覚器官が敏感なため突然大きな音が出るホラー映画なども苦手なことが多いです。

もちろん元来の用心深さがたとえスクリーンの中の出来事であったとしても神経を高ぶらせ疲弊させる可能性も考えられます。

事前に内容を確認すると精神的負担が減らせる

映画やドラマが苦手なHSPがそれを楽しむにはどうすれば良いでしょうか?

理解のある家族や恋人、友人が事前に見たものから安全なものを教えてもらえれば良いでしょうが毎回そうするわけにもいきません。

そこでおすすめの方法が映画のレビューサイトなどで事前に内容を確認してしまうというものです。

これにより暴力や残虐なシーンを含む作品を避けることができます。

この方法のメリットはそれだけではありません。

HSPは映画やドラマを見るときにこれからドロ沼の人間模様や複雑なストーリーが展開されると考えるだけでも精神的な負担が大きくなります。

事前に内容を知ることでこういった負担を減らすこともできます。

ネタバレは楽しみを増やす

事前に内容を知ってネタバレしたら面白くなくなるのではと心配になるかもしれません。

しかし私達は映画やドラマがどのように完結するのかだけを求めているのではありません。

ネタバレは楽しみを増やすこともあるのです。

ミステリーでさえネタバレしたほうが面白く感じる

カリフォルニア大学が816人を対象に1,000文字から4,000文字で書かれた小説を読ませる実験を行いました。

このときネタバレ有りのパターンと無しのパターンを読ませ、その後で面白さを評価させました。

その結果、たとえミステリーであってもネタバレ有りのほうが面白いと評価されたのです。

理解のための負荷が減ると楽しむことに集中できる

なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

それは内容を知っているとストーリーを理解するための認知負荷が減るからです。

それにより脳のリソースを楽しむことに集中させられるのです。

またすでに知っている結末に向かって主人公がどう進んでいくのかをまるで全知全能の神のような視点から見ることができるのも楽しみを増やす要因といえます。

私たちは映画やドラマを鑑賞するときにストーリーを追うことばかりに楽しみを求めがちですが、それ以外の部分にも楽しむべき要素はたくさんあるのです。

(※もちろん全ての作品がネタバレしたほうが面白くなるわけではありませんし、反対の結果になっている実験もあります)

【おすすめ】『思い出のマーニー』の解説!アダルトチルドレンの再生物語としての考察

メンタルを回復させる効果もある

すでに見たことのある映画やドラマを再び見るという楽しみ方もおすすめです。

なぜならやる気を高めたり、メンタルを回復させる効果があるからです。

好きな番組や映画がパフォーマンスとモチベーションを高める

ニューヨーク州立大学が複雑なパズルを解かせる実験をしました。

このとき参加者は「お気に入りの番組」か「部屋にあるもの」について文章を書かされました。

するとお気に入りの番組について書かされた参加者のほうがパズルのパフォーマンスが良かったのです。

また別の調査では好きな映画やドラマを視聴すると下がったモチベーションが回復する人が多いことも分かりました。

知っている行動やセリフが安心感を与えてくれる

なぜこのような効果があるのでしょうか?

ポイントは一度見たことのある映画やドラマは登場人物の行動やセリフが分かっているということです。

その反応を見ることで安心感やつながりを得られるためメンタルの回復が起こると考えられます。

映画には困難な出来事でもポジティブに捉えられる効果がある

映画やドラマが苦手というのはHSPによくある特徴です。

エレイン・アーロン博士のHSPチェックリストにも「暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにしている」という質問項目があります。

しかし事前に情報を仕入れておくことで安心して楽しむことは可能です。

それどころか面白さが増えたりメンタルに良い影響を与える効果も期待できます。

映画を見ることで人生の捉え方が変わったり自分の心の新たな一面に気づくこともあります。

オハイオ州立大学の実験によると『ショーシャンクの空に』や『シンドラーのリスト』といった感動や深い意味での幸福をもたらす映画を見たことを思い出すことで自分の人生で直面する困難な出来事もポジティブに捉えることができる効果があることが分かっています。

また人生で本当に大切なものを探そうという気持ちも高まることも分かっています。ぜひ様々な作品を楽しんでください。

芸術的な映画を鑑賞することが人の心を読む能力を高めるトレーニングになることも分かっています。

参考文献
・Story Spoilers Don’t Spoil Stories.
・Energized by Television: Familiar Fictional Worlds Restore Self-Control.
・Eudaimonic Media in Lived Experience: Retrospective Responses to Eudaimonic vs. Non-Eudaimonic Films.