HSPの物忘れが多い原因と改善のテクニック

HSPが物忘れをしやすいという科学的根拠はありません。

しかし、相談に来る方から「物忘れが多いのはHSPだからな気がする」という話をされることがあります。

それにより仕事のミスが増えたり、勉強の効率が落ちているのではないかと…

それを証明する研究はありませんが、確かに記憶に悪影響を与える刺激はHSPの人のほうが受けやすいのかもしれません。

そこで今回はHSPの物忘れの原因とそれを改善するための全米記憶力チャンピオンも使っているテクニックを説明します。

なぜHSPは物忘れが多いのか

物忘れが多くなる原因として、うつ病などの精神疾患や若年性アルツハイマー、脳の老化などがあります。

そのような原因が存在しない場合、HSPの物忘れの多さには以下の要因が関係しているかもしれません。

ストレス

HSPの人は環境からのストレスを受けやすいです。

ストレスにより分泌されるコルチゾールというホルモンは脳内で記憶を司る海馬にダメージを与え物忘れにつながります。

ハーバード大学メディカルスクールの研究でもコルチゾールの多い人は記憶力が悪くなっていることが判明しています。

脳の萎縮につながっている可能性も示唆されています。

睡眠不足

人は寝ているときに脳で情報を整理し記憶を定着させるといわれています。

HSPの人は疲労が溜まりやすいので長時間の睡眠が必要な人が多いですが、睡眠の質が低いため夜中に何度も起きてしまうという人もいます。

そのため記憶がうまく定着していないのかもしれません。

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スマホの使いすぎ

HSPの人は不安になると何でも検索して調べないと気が済まないため常にスマホを見ているという人もいます。

人間の脳には何もせずぼーっとしているときに活発化する「デフォルト・モード・ネットワーク」というものがあります。この状態を適度につくることが情報の整理などに必要とされています。

しかし何もすることがないとすぐにスマホに触れてしまう習慣のある人はデフォルト・モード・ネットワークが働かずに記憶の定着も阻害されます。

スマホの使いすぎによって物忘れが増えることを「デジタル認知症」と呼ぶこともあります。スマホから与えられる情報量が多すぎて脳がオーバーフローしているのです。

記憶力を高め物忘れを改善するテクニック

物忘れを防ぐためには、さきほど説明した原因となるような習慣を減らすことが大切です。

それ以外にも記憶力を高めるためのテクニックを取り入れると効果的です。

記憶の宮殿

誰でも記憶力を鍛えることはできます。

ジョシュア・フォアという科学ライターが全米記憶選手権を取材したときに、自分も記憶術の練習をしてみようと考え毎日練習をしたところ、翌年の大会で優勝してしまいました。

このときに使った記憶術が「記憶の宮殿」というテクニックです。

どういうものかというと自分のよく知っている場所に覚えたいものを当てはめていくという方法です。

例えば日本には海のない県が8つありますがそれを覚えたいとします。

よく行く公園に柳の木があればそこの下で梨にグサッと包丁を刺すシーンを思い浮かべてみてください。

「やなぎ・なし・ぐさ(ッ)と」

これは山梨・長野・岐阜・奈良・滋賀・群馬・埼玉・栃木の頭文字になっています。

語呂とよく知っている場所のイメージを結びつけることで忘れにくいということです。

これは私がいま思いついたものなのであまり良いイメージではないですが、自分なりに覚えやすいものを考えてみましょう。

有酸素運動

有酸素運動をすることにより記憶を司る海馬の働きがよくなるだけでなくサイズも変化するといわれています。

週に2回以上30分の運動をするだけでも変化があるとされています。10分の運動でも効果があるという研究もあります。

120秒の運動でもその直後に行う課題であれば集中力と記憶力を高めるという研究もあります。

アウトプットを意識してインプットする

学校の授業で先生が「ここテストに出るよ」と言ったところはよく覚えているということがあります。

人間はアウトプットするつもりでインプットしたことをよく記憶しているのです。

仕事でも同僚や顧客に伝えるシーンをイメージしてインプットすると忘れにくいでしょう。

参考にした論文:Circulating cortisol and cognitive and structural brain measures: The Framingham Heart Study.