HSPの被害妄想を改善するためのヒント

HSP(敏感すぎる人)

HSPの相談にくる人の中には被害妄想が強いという人もいます。

この場合の被害妄想というのは妄想性障害の一種としてのものではなく「私のことが嫌いだから言い方がキツいのだ」といった捉え方の歪みということです。

被害的思い込みといったほうが良いかもしれません。

被害妄想にしても被害的思い込みにしてもHSPとの関連を示すエビデンスは現在のところありません。

しかし人に対する感受性が高く、拒絶されたり批判されることを恐れすぎる人は被害妄想を持ちやすいという研究結果は複数あります。

対人感受性が高いと被害妄想を持ちやすい

拒絶や批判を恐れすぎて弱気になる人は対人感受性が高い可能性があります。

対人感受性(interpersonal sensitivity)とは他人の感情や行動を過剰に意識し、それに敏感に反応する傾向のことです。

分かりやすくいえば他人を気にしすぎる人かどうかということです。

ローマ・サピエンツァ大学の研究によると対人感受性の高さと過去のいじめられた体験は被害妄想の持ちやすさに関係することが分かっています。

またノルウェー国立公衆衛生研究所とスウェーデンのルンド大学医学部の長年の調査によれば対人感受性の高い人は妄想型の統合失調症を発症する確率が高いということも分かっています。

つまり「相手の表情に嫌悪感はないだろうか?」「自分の発言や行動が批判されないだろうか?」ということを過度に心配している人は被害妄想を持ちやすいということです。

【関連】人に嫌われるのが怖いHSPは拒絶感受性が高すぎるのです

被害妄想を改善するヒント

冒頭でも説明した通り被害妄想というのは妄想性障害の一つです。

なので誰かが自分を陥れようとしているといった強い信念が何日も続くのであれば病院で相談しましょう。

そうではなく嫌われているとか避けられているような気がするというレベルであれば思考を点検してみましょう。

根拠のない決め付けや、なんでも白黒つける極端な思考、なんでも自分のせいにする自己への関連づけといった認知の歪みがないか確認してください。

認知の歪みは認知行動療法でも点検されるものです。

オックスフォード大学の実験によると認知行動療法によって妄想を特徴とする精神障害の改善が見られたそうです。

またドイツのマールブルクス大学の調査では情動制御の困難さが被害妄想と関連するという結果も出ていますから、情動制御をうまく使えるようになることも有効な対策かもしれません。

参考文献
・Interpersonal sensitivity, bullying victimization and paranoid ideation among help-seeking adolescents and young adults.
・Predictors of psychosis: a 50-year follow-up of the Lundby population.
・Emotion regulation difficulties are relevant to persecutory ideation.
・Effects of cognitive behaviour therapy for worry on persecutory delusions in patients with psychosis (WIT): a parallel, single-blind, randomised controlled trial with a mediation analysis.