仕事が続かないというHSPは会社の選び方を間違っています。
HSPはやりがいがないのに必死さや時間の制約、プレッシャー、対人関係の負担を要求する仕事に就いてはいけないのです。
また人手不足、サポートが不十分、自己効力感を発揮させないといった資源が不十分な職場も避けなければなりません。
HSPは仕事の要求度と資源のバランスが悪い職場でストレスを感じやすく、やる気も起こりにくいことが研究からも分かっています。
そのような会社ではどれだけ努力しても仕事が続かないのです。
仕事のストレスとモチベーションを決めるもの
仕事内容とそこで働く人の心理の関係を表す「仕事の要求度-資源モデル(Job Demands-Resources model)」というものがあります。
簡単にいうと仕事上のストレスやモチベーションは以下の要素で決まるというものです。
- 求められる仕事内容
- 職場のサポート体制
- 個人の持つリソース
つまり肉体的にも精神的にもハードな要求をされる仕事はストレスになり、反対にサポートや助言のある環境は成長や苦痛の低減につながるということです。
また個人の環境に対する適応力や回復力もストレスやモチベーションに影響を与えると考えられます。
職場環境がHSPにどのような影響を与えるか
HSPは仕事の要求度やリソースが精神的疲労とより強く関連していることが研究から分かっています。
オランダのルーヴェン・カトリック大学が職場環境がHSPにどのような影響を与えるかを調査しました。(対象者1,019人、67.6%が女性)
この調査では参加者のHSPの傾向がどれくらいあるかを調べ、今いる職場環境、精神的疲労度、援助行動についての質問票に回答してもらいました。(援助行動とは同僚を助けたいと思うかということです)
まず全体の結果として仕事の要求度が高い職場環境にいると精神的疲労度が高いことが分かりました。
それと職場のサポート体制があると自分も同僚を助けようという援助行動が増えることも分かりました。
HSPの傾向はさらに細かく興奮しやすさ、美的な感受性、感覚応答の閾値の低さという3つの因子に分類して仕事との関連を調べました。それぞれの影響は以下の通りです。
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興奮しやすさ
HSPの興奮しやすさとは他人の気分に左右されたり、短時間で多くのことをしなければならないとき混乱するといった傾向のことです。
この項目が強いと精神的疲労は高まりやすく、援助行動は低下することが分かりました。
美的な感受性
美的な感受性とは芸術や音楽に深い感動を覚えたり、周りの環境の微妙な変化に気づくという傾向です。
これが高い人は精神的疲労が低いことが分かりました。HSPは仕事においてマイナスの影響しかないと思われがちですが特徴を細かく分類することでプラスの影響もあることが分かります。
感覚応答の閾値の低さ
感覚応答の閾値の低さとは些細な刺激からの影響の受けやすさのことです。強い光や騒音、悪臭に不快感を覚えやすかったり、暴力シーンが苦手だったりという傾向です。
感覚応答の閾値の低さだけでは精神的疲労との関係は見られませんでした。
しかし仕事の要求度の高い職場にいると他の人よりも精神的に疲労しやすくなることが分かりました。
HSPの会社の選び方
以上の結果から分かる通りHSPは仕事の要求度の高い会社とサポート体制の整っていない会社に入ってはいけないということが分かります。
入社前にそれらの会社を見抜くために夜遅くに会社の電気が点いているか見に行ったり、電話をしたときの後ろで聞こえている雑音や社員の声に注意を向けるというのも有効な対策です。
社員のSNSを探し出して投稿内容をチェックすることで本音が分かることもあります。
カウンセラーなどが「HSPに向いてる仕事」などを紹介していますがアテにしないほうが良いでしょう。
私が経営コンサルティングの仕事で何社も見てきた経験からいえば同じ職種であっても会社によって仕事内容や働き方、社内の雰囲気は全く違います。
それをひとまとめにして「向いている仕事」と言っている時点でその仕事のことを何も分かっていないといえますからそういうカウンセラーのアドバイスを信じるのは危険です。
仕事が続かないのはHSPだからではなく選び方を間違っているからということを忘れないでください。
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