回避依存症の中には暴力や搾取など何らかの危害を加える男性もいますが親密なることが怖いだけという男性もいます。(脱走型・逃走型)
距離が近づくことで感情が乱されたり束縛されたり親密になった後に捨てられることを恐れているタイプです。
親密になることが怖いだけの回避依存症の愛情表現は人によって異なります。また同じ人でもその心理状態によって変わることがあります。
親密になれたと思っても急に距離を置いたり、音信不通になったと思ったら急に連絡をしてきたりするのです。
だからといって恋人に対して愛情がないわけではありません。「好きな気持ち」と「それ以上好きになることへの恐れ」の間で葛藤しているのです。
私がカウンセリングの中で見かける回避依存症の愛情表現についていくつか紹介したいと思います。
これをやったらから必ず好きな気持ちを持っているとは言い切れませんが考え方の参考にはなると思います。
アプローチ(付き合う前)
回避依存症の人は出会ったばかりの頃は積極的にアプローチしてくることもあります。
自分のことを語ったり相手の魅力を褒めたりします。マメに連絡してデートに誘うこともあります。
なぜならこの時点ではその女性のことを自分でもコントロールできる相手だと思っているからです。
特に恋愛依存症の女性は出会ったばかりの頃は与しやすい印象を与えるため回避依存症の人は安心して愛情表現をすることができます。
しかしお互いのことを知るにつれて相手の重たさに気づくと急に距離を置くようになります。相手に巻き込まれてしまうような恐怖を感じ始めるのです。
好きな女性にしか取らないであろう好意がバレバレの態度(頭をなでたり、一人だけにお土産を渡したり)を取っておきながら関係をハッキリさせることは拒むことがあります。
恋人同士のような関係を維持しながらも「付き合っているのだよね?」というとそこだけは頑なに拒否します。
彼らの中では独自の境界線が存在するのです。「付き合っている」と言わない限りは自分の領域を犯されることはないという思い込みが独自の境界を作っていることもあります。
キスや性行為がなければ距離は保てているといったように身体的接触を持たないことで境界が作れていると考える場合もあります。
「好きです」と言っておきながらしばらくすると「自分はそういうつもりではなかった」と言い逃れしようとすることもあります。
この場合、本当に好きな気持ちを持っている可能性はあります。しかしそれ以上に親密になりすぎる恐怖のほうが大きいのです。
そして女性のほうが距離を置くとまた愛情表現を見せることもあります。「やはり彼女はそれほど重いタイプではないのか?」と思っているのです。もちろん寂しさもあります。
(とはいえ本物の回避依存症者の場合は音信不通になったらそれきりというケースが多いです)
こういったことを何度も繰り返すため回避依存症の人と友達以上恋人未満のような立場になってしまうと非常に混乱させられます。
(※回避依存症者と遊び人の男性は区別がつきにくいこともあります。付き合うまでの過程をゲーム感覚で楽しむために他の女性にも同じような愛情表現を見せているなら単に遊び人である可能性が高いです)
もちろん付き合う前段階でまったく愛情表現をすることができずに遠くから見つめているだけという場合もあります。
付き合った後の愛情表現
回避依存症の人と付き合った後も一般的な恋人同士がするような愛情表現を期待することは難しいです。
それでも「好き」という思いを持っている場合は彼らなりのささやかな愛情表現を見せることがあります。
例えば会っていないときに何をしていたか教えてくれるというのはひとつの愛情表現といえます。
自分のことを教えるということつまり自己開示というのは回避依存症の人にとっては大きな課題です。
今まで何も教えてくれなかった恋人が教えてくれるようになったならかなり頑張っているといえます。
また最近の回避依存症の愛情表現の方法としてSNSを利用することが増えています。
直接的な表現ではなく恋人の好きなモノについて投稿してみたりプロフィール画像を恋人を連想させるものに変えたりします。
これも彼らなりの精一杯の愛情表現といえるでしょう。
(※暴力・搾取タイプがヨリを戻すためのアピールとして同じことをする場合もありますがそれは愛情表現ではありませんので混同しないでください⇒回避依存症の試し行為)
回避依存症の愛情表現の方法を体系的にまとめることはできませんが、自分を開示するか自分から距離をつめようとする行為は愛情を示すために行っている可能性が高いと言えるでしょう。
彼らから見た恋人は寒い日の焚火と同じようなものです。離れすぎると暖かさを感じることはできませんが近づきするぎると火傷をしてしまいます。
そして焚火の大きさ(=恋人の感情)はいつも同じようには見えません。自分が近づくと火が大きくなるように見えるのです。なぜなら自分が愛情を表現すると恋人が過剰に反応するからです。
注意しなければならないことはどのような愛情表現があったとしても完全に心を開くことはないということです。
暴力は愛情表現ではない
ここまで説明してきたのはいわゆる脱走タイプ(逃走タイプ)の回避依存症についてです。それとは関係ない内容ですが勘違いしている人が多いのでここで以下のことも説明しておきます。
恋愛依存症の人が好きになる暴力男のタイプには2つあります。
1つは潜在意識で捨てられることを恐れているために暴力によって支配しようとする暴力タイプの回避依存症です。
そしてもう1つは恋人に暴力をふるうこと自体に喜びや興奮を覚える人格破綻タイプです。
恋愛依存症の人はこのどちらと付き合っても暴力を愛情表現の一種であると勘違いしてしまいます。
しかし男性の暴力は本人の感情のための行動でしかありませんからそこに愛情があることはありません。
恋人からの暴力を愛情表現と勘違いしないように気をつけてください。そうしないと苦しい恋愛から永遠に脱することが出来なくなります。
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