子供が父親から暴力を振るわれたり性的虐待を受けても助けてくれない母親がいます。
近くでオロオロしていることもあれば何事も起こっていないかのように家事をしていることもあります。
虐待が始まりそうになるとこっそりその場を離れることさえあります。
このような母親に助けを求めてもはぐらかされて解決にはなりません。
「どこの家庭も同じなんだから我慢しなさい」と言われることもあります。
もっとひどいと「お前が悪い子だからだ」と突き放すこともあります。
自分に被害が及ぶのが嫌なので助けない
母親がなぜ助けてくれなかったのかと言うと自分に被害が及ぶのが嫌だったからです。
子供を虐待しているのを止めようとすれば矛先が自分に向かいます。
母親は命を賭けてても子供を守るという神話は全員には当てはまらないのです。
全員が素晴らしい母性を持っているわけではありません。
自分も暴力を受けているケースでは自分も耐えているのだから子供も耐えるべきと考えていることがあります。
「今日は私ではなくて娘を殴ってくれれば良いのに」と願っていることさえあるのです。
子供の頃は母親がそんな人間だとは思いません。
しかし大人になってから冷静に観察すると母親の人間性が垣間見えてしまうことがあるのです。
そのときにようやく母親が助けてくれなかったことに気がつくという人もいます。
母親がアダルトチルドレンのケース
虐待が起こった場合は何もしないことが正しいと思っている母親もいます。母親自身がアダルトチルドレンのケースです。
助けなければならないという感覚自体が起こらないのです。
なぜなら母親もまた同じような家庭で育ったからです。父親が母親と自分を虐待しそれにひたすら耐えるという環境が当たり前だったのです。
怒りの嵐が過ぎ去るのをただ待つという方法以外を知らないのです。
暴力的な親に育てられた人が同じような相手を配偶者に選ぶことは珍しいことではありません。
アダルトチルドレンは連鎖してしまうのです。
愛着に不安を抱えている母親は子供の苦痛に対する認知が弱いというメリーランド大学の研究もあります。
母親と向き合おうとすると傷つく
どうして助けてくれなかったのか?と聞いてみたい人もいると思います。
それを聞くことで今の苦しみから抜け出すヒントになるかもしれないと考えているのかもしれません。
しかし母親がちゃんと答えてくれたり謝罪してくれることは滅多にありません。
「そうするしかなかったのよ」と開き直ったり無かったことにされることの方が多いのです。
申し訳なさそうな態度を見せることもありますが真剣に向き合ってはくれないでしょう。
するとあなたは再び傷つくことになってしまいます。
親が心からの謝罪をしてくれることで回復が早くなることがあるのも事実です。
しかし親と関わらなくてもアダルトチルドレンを克服することは可能だということを覚えておいてください。
参考文献:Jacquelyn T. Gross, Jessica A. Stern, et al. (2022). Mothers’ Attachment Style Predicts Response to Child Distress: The Role of Maternal Emotions and Attributions.