アダルトチルドレンの中には短期間に何度も転職を繰り返す人もいます。
カウンセリングでも「仕事が続かないのです」という悩みを相談する人は少なくありません。
そしてその理由を「自分が無能だからだ」と考えてしまっている人もいます。しかしその考えは間違っています。
アダルトチルドレンの仕事が続かない原因の一つはバーンアウト(燃え尽き)しやすいことにあるのです。
バーンアウトとは心身の極度の疲労により燃え尽きることです。
これにより意欲を失い、社会に適応できなくなることをバーンアウト・シンドローム(燃え尽き症候群)といいます。
バーンアウトすることで仕事のパフォーマンスが落ちることも分かっています。
愛着の問題→バーンアウト→仕事の質が低下→続かない
愛着の問題を抱えたアダルトチルドレンはバーンアウトしやすいことが米国の心理学者アヤーラ・パインズの研究で判明しています。
また、ウエスト・ティミショアラ大学のデリア・ヴィルガらの研究ではそのことが仕事の質にまで影響することが分かっているのです。
およそ400人を対象にしたこの研究によると、愛着不安を持つ労働者はバーンアウトによって仕事のパフォーマンスも落ちやすいという結果が出ています。
つまりアダルトチルドレンの仕事が続かない理由は、燃え尽きやすいことと、それにより仕事の質が落ちて自分に自信を持ちにくくなることなのです。
⇒自分を認められないのはインポスター症候群(詐欺師症候群)だから
バーンアウトしないためにどうする?
アダルトチルドレンの仕事が続かないという問題を解決するにはバーンアウトを防ぐことが大切と分かっていただけと思います。
そのためにはどうすれば良いのでしょうか?
実はバーンアウトにつながりやすい仕事と同僚というものが存在します。これは同じ職場にいても人それぞれ違うものです。
あなたも働いている中でこの仕事をすると疲れる、この同僚といると疲れるということがないでしょうか?
そういう状況になったときは、まず自分でそのことを意識しましょう。
「いま私はこの人とこの仕事をしているから消耗してるんだ」と第三者的に自分を見るのです。
このような視点をメタ認知といいます。メタ認知をしながら「消耗しないように適度に抜こう」と考えるのです。
またアダルトチルドレンは上司や同僚の目を気にしすぎて必要以上に頑張りすぎたり、断ることができずに抱えすぎることもあります。
これらは全てバーンアウトにつながる要因です。他の人と比べて頑張りすぎていないか見直すことも大切です。
「アダルトチルドレンに向いている仕事」に騙されないで
「私の仕事が続かないのは向いていない仕事にばかり就いているいるからだ」と考える人もいるでしょう。
そしてネットで「アダルトチルドレンに向いている仕事一覧」などという記事を参考に転職活動をしようとする人もいるかもしれません。
しかしこれらの記事は何の科学的根拠もない内容ですから騙されないように気をつけてください。
そもそもこれらの記事を書いている人たちがその仕事内容を全く理解できていないのです。
私は長年、経営コンサルティングの仕事もしていますから、様々な顧客企業に入り込んで一緒に仕事をしていますが、同じ業界の同じ職種でも会社によって仕事内容は全く異なります。
詳しくは「アダルトチルドレンに向いている仕事は嘘だらけ」の記事をご覧ください。
どんな仕事をするかよりも、どんな人たちと働くかのほうがアダルトチルドレンの精神衛生上は大切なことです。
参考文献
・Pines, A. M. (2004). Adult attachment styles and their relationship to burnout: A preliminary, cross-cultural investigation. Work & Stress, 18(1). ・Delia Virga, Wilmar B. Schaufeli, Toon W. Taris, Ilona van Beek, and Coralia Sule. Attachment Styles and Employee Performance: The Mediating Role of Burnout.THE JOURNAL OF PSYCHOLOGY 2019, VOL. 153, NO. 4.