回避依存症の彼氏と自然消滅したかもしれない、という悩みを相談にくる女性はとても多いです。
「別れ話をしたわけでもないのに急に音信不通になって…」
「気が付いたら連絡頻度が減ってこちらからしないと全く音沙汰なしです」
こんなパターンに陥っています。
⇒「回避依存症」と「回避型愛着スタイル」は別物!恋愛の特徴も違います
「彼女と別れて寂しい」とは思っていない
回避依存症の人が音信不通にするのはよくあることですが、自然消滅を狙っているパターンもあります。
しばらくしてから、連絡が取れることもありますが、特に大事な話はできずに終わります。このやり取りを何度か繰り返して、やがてサヨウナラとなります。
「自然消滅の状態になったらそのまま別れるのが正解です」とアドバイスしても、それを受け入れられないのが恋愛依存状態になってしまっている人です。
「相手はこのまま自然消滅しても何とも思わないのでしょうか?」と疑問に思う人もいます。
というか自然消滅状態になっている相手の心理を知りたくて仕方なくなってしまうのです。
では実際に自然消滅したとき回避依存症の彼はどう思っているのでしょうか?
答えはあなたが思っているほどには何も考えていないし、感情も動いていないです。
仮に感情的になっていたとしても。それは「彼女と別れて寂しい」というものではありません。
「追いかけてきたらどうしよう」「突然、家に来たらどうしよう」という感情です。
回避依存症の彼氏は自然消滅が理想
回避依存症の彼氏が彼女と別れるときに最も理想とするパターンは自然消滅かもしれません。
自分が振られるのは根底にある見捨てられ不安が強まります。(相手に主導権を握られることから逃げる回避依存症ですが「見捨てられるくらいなら最初から近づかない」という潜在的な見捨てられ不安も持っています)
自分から別れを切り出せばまだ気持ちが残っているであろう彼女の感情と向き合わなければなりません。
なので音信不通にして、そのままブロックすることもあるのですが、それだと「彼女が追いかけてきたらどうしよう」という恐怖心を持つことになります。
なので返信までの期間を少しずつ延ばして自然消滅させるのが最もストレスとリスクが少ない別れ方ともいえます。
回避依存症の脳は感情を制御する
あなたは「私がこんなにも気にしているのだから、彼氏も同じようにモヤモヤしているはず」と思うかもしれません。
しかし、回避依存症の彼氏はあなたが思うほどには気にしていません。
そもそも彼らの脳は普通の人とは異なる反応をするのです。
中国の西華師範大学のグァンミン・ランらがMRIを用いた過去の複数の研究を分析したところ、回避傾向のある人間の脳は刺激を受けたときの下前頭回の反応が鈍いことが分かっています。
これは感情的な出来事に遭遇した場合に脳が感情を制御する反応をしているということです。
つまり恋人と上手に自然消滅させられるくらいに冷静だったパターンでは、そのことに対する感情的な反応はそれほど大きくなかったと考えられます。
回避依存症の人は感情的なやり取りを避けるだけでなく、そのような事態に遭遇しても感情的にならないという特徴まで持っているのです。(もちろん自分の回避依存症に気づいていて、それに戸惑っているなら感情的になる可能性はあります)
ちなみにこの研究では恋愛依存症の人によく見られる不安傾向を持つ人は感情的な刺激を知覚したときに扁桃体が反応しやすいことも分かっています。
つまり感情が動かされやすいということです。
回避依存症の彼と恋愛依存症のあなたの感情の温度差が大きいのはこのためなのです。
自然消滅した回避依存症の彼が戻ってくる可能性はどれくらいあるのか?ということを知りたい人も多いと思いますが、その可能性は低いです。
戻ってくるのは新たなターゲットが見つからないときくらいなのです。
自然消滅と音信不通状態は同じことではありませんが、どちらにせよ深追いしないことが正しい選択なのです。
参考文献:Guangming Ran and Qi Zhang. The neural correlates of attachment style during emotional processing: an activation likelihood estimation meta-analysis. Attachment & Human Development,Volume 20, 2018, Issue 6.