一口に回避依存症といっても人によって恋愛のやり方は異なります。
最もよく知られている特徴としては連絡を取らなかったり自分を見せないことで徹底的に距離を置くというものです。
しかし他にも暴力を振るったり金品を搾取するタイプも存在します。
代表的なタイプについて説明しますがここで挙げるのは一例に過ぎません。
他人と親密になることを恐れる原因が家庭環境やトラウマ等にある場合はここで説明する特徴に当てはまらなくても回避依存症の可能性はあります。
距離を置きたがるタイプ

回避依存症者の中で最も多いのがこの距離を置くというタイプです。
恋人として付き合うことになっても親密になることを避け、追いかけられると逃げ出します。
デートなどで先の予定が決まっていると自分の自由を奪われているような気分になる人もいます。
パートナーとしてはそんなつもりはなくても「○日は予定空いている?」先の予定を確認しただけで束縛されたと感じてしまうこともあります。
趣味などに没頭して一人になる時間をとても大切にします。
たとえ前もってデートの約束をしていても当日に趣味を優先させたいという気持ちが出てくれば急にキャンセルすることもあります。連絡すらせずに来ないということもあります。
彼らは自分に対する情報(例えば家族構成や職場のこと過去の経歴など)もあまり話したがりません。
長年付き合っているのに相手のことが全く分からないということもあります。
二人にとって深刻なことでも真剣に話し合うことを避ける傾向もあります。感情が揺さぶられるのが苦手なため感情をぶつけ合うくらいなら離れたほうが良いという思考になっています。
なぜこのような回避依存症者になってしまうのかというとその多くは親に原因があります。親の過剰な干渉や支配が影響しているのです。
特に母親が子供にベッタリのタイプだとそこに息苦しさを感じたまま大人になってしまい、女性は男性を縛りつけるものという意識を強く持ってしまいます。
母親からいつも夫や姑の悪口を子供に聞かされ続けていた子供がそのまま回避依存症になってしまうというパターンは多いです。
回避依存症は女性よりも男性に多い傾向があります。これは本来であれば自分の夫にすべき話を全て子供にしてしまう母親のせいで子供の心が疲弊し、重たい話を聞かされることに苦手意識を持ってしまうパターンが多いためだと考えられます。
別のパターンとしては子供時代の見捨てられ体験があります。そのトラウマによって再び同じような寂しい気持ちは味わいたくないという思いが強化されます。
誰かと親しくなり始めるとその先のことを悪い方へと想像してしまうのです。つまり自分が見捨てられると勝手に思い込みます。
見捨てられた体験というのは物理的なものだけではなく暴言や暴力によって自尊心を傷つけられた場合も含みます。
親によって自尊心を傷つけられると「自分は価値のない人間」「何も出来ない人間」という思いを強くします。
そしてそんな自分を知られたら嫌われるに違いないと思い自分をさらけ出すことができなくなります。
暴力や支配をするタイプ

回避依存症者の中には恋人に暴力を振るったりわざと傷つけるようなことを言って支配しようとするタイプもいます。
彼らは常に誰かを自分の支配下においてコントロールしていないと精神を安定させることが出来ないのです。
常に自分は正しくて間違っているのは周囲の人間という思い込みが強いので自分の非を認めることができません。
反論されるとバカにされたと思って激昂し暴力を振るったりモノにあたったりすることがあります。暴力によって恋人を支配しようとするのです。
そのほかの支配の方法としては暗にほのめかしたり、何も言わずに不機嫌な態度を取ることもあります。恋人に察することを求めるのです。
自尊心の低い人がこのようなタイプと一緒にいると洗脳されたのと同じような状況に陥ります。
身体的にも精神的にも追い詰められることで冷静な判断力を失い逃れられなくなります。
何をするにも相手にどう思われるだろうか?ということが判断の基準となります。
暴力を振るった後に優しくされるとそのギャップによって余計に離れられなくなってしまいます。
回避依存症の男性が暴力を振るうのは父親の影響が大きいと言えます。父親が母親に暴力を振るう家庭で育つことでパートナーにはそのように接するのが当然と思ってしまいます。
本やネットによって暴力を振るう関係が異常だという情報を得ても潜在意識に刷り込まれた感情を抑えることが出来ないのです。
「でも私の彼氏は父親のことが嫌いと言っていたけれど……」と思う人もいるでしょう。しかし父親のことを好きだったかどうかは関係ないのです。
自分は父親のようにはならないと言っている男性が同じようにパートナーに暴力を振るうケースは多いのです。
母親のことを憎んでいた男性が他の女性に母親の影を見出して子供の頃の仕返しのために暴力を振るうということもあります。
女性を利用する・金品の要求をするタイプ

恋愛依存症の女性のカウンセリングをしていると出会ってからすぐに同棲が始まったという人が少なくありません。
この場合の相手は女性を利用するタイプの回避依存症の男性である可能性が高いです。最初の頃は家賃を半分出すと言ったりもしますが数ヶ月で払わなくなります。
家賃から生活費、遊興費まで全てを女性に出せようとするのです。
お金やモノを要求したときにそれを断わると不機嫌になり口を利かなくなったりします。
すると女性は「お金をあげない自分が悪いんだ」という気分になってしまい最終的には相手の要求を受け入れてしまいます。
しかし女性がいくら尽くしたところで対等な関係を結ぶことは出来ません。10万円のプレゼントをあげたからといって同じ値段のお返しがもらえることはないのです。
このタイプの回避依存症者は女性から搾取することに対して罪悪感を持っていません。
むしろ相手に尽くさせれば尽くさせるほどに自分の自己肯定感を高めることができるので要求はエスカレートしていきます。
自分は「これだけしてもらう価値のある人間だ」と思えるからです。
女性を利用することで自己肯定感を高めようとする回避依存症者は何も出来ない自分を認めることを恐れているのです。
このタイプは子供時代に親から散々甘やかされていたケースが多いです。
親が我慢するということを教えなかったために欲しいものがあれば駄々をこねれば良い、それでもダメなら不機嫌そうにして喋らなければやがては手に入るという認識のまま大人になってしまったのです。
それが何かを手に入れるための唯一の方法なのです。
父親が働いていないでゴロゴロしていたような家庭でも女性を利用するタイプの回避依存症者を生み出すことがあります。
自分は父親のような情けない人間にならないように真面目に働こうと思えれば良いですが、働かなくても案外なんとかなるものだなと思ってしまうこともあります。
すると仕事で少しでも嫌なことがあると辞めてしまい女性に食べさせてもらえば良いとなってしまうのです。
しかし心の底では周りが甘やかしてくれたから何とか今日までやって来れたけれど自分一人では生きていくだけの力はないということを思っています。
それを自分で認めたくないため強がってみたり自分には才能があるのだと根拠のない自信を持とうとして自分をごまかします。
このタイプは優秀な相手には苦手意識を持っています。実力のない自分を見透かされているような気分になるからです。
そのため自尊心の低そうなタイプを恋人に選ぶのです。そしてそういう相手を探す嗅覚も優れています。
自分に自信のない女性がこのタイプの男性に狙われやすいのはこうのような理由があるのです。
「回避」の意味
ここまでの説明を見て暴力を振るったり女性を利用するタイプは積極的に近づいてきているのだから回避していないのではないかと思うかもしれません。
しかしこのどちらも本当の自分をさらけ出して親密な信頼関係を築こうとしないという点においては相手の心を回避しているのです。
回避依存症の「回避」は逃げるというより正面から向き合うことを避けるという意味で捉えたほうが理解しやすくなると思います。
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